2019年3月15日金曜日

イナンナとニンフルサグ

inanna goddess of life and royal power and her alter-ego ninhursaga


いやあ、やたらに美しいな、こんなのありか。最近見出されたそうだが。

イナンナとかニンフルサグってのは、シュメールの母なる大地としての女神らしいが、wikiで見ちゃったよ、無知には役立つね、wikiというのは。

・Inanna(イナンナ、別名イシュタル Ishtar)、
・Ninhursag(ニンフルサグ


首から肩にかけての流れが、荒木経惟の撮った写真のなかで最もお気に入りの作品のひとつ、あのオッカサマの写真をまず思い出したね。





こう比べてみるとオッパイだって似てるな。

でもボクの関心は、オメガのほうにもっとずっとある。





オメガってとは、みなさんはゴゾンジだろう、わたくしは最近ようやく知ったのだが。

そもそもの原初のlogos はどの地域からどのようにして出てきたものなのか。それはインドの原始ヒンズー教(タントラ教)の女神 Kali Ma の「創造の言葉」のOm(オーム)から始まったのである。Kali Maが「創造の言葉」のOmを唱えることによって万物を創造したのである。しかし、Kali Maは自ら創造した万物を貪り食う、恐ろしい破壊の女神でもあった。それが「大いなる破壊の Om」のOmegaである。

Kali Maが創ったサンスクリットのアルファベットは、創造の文字Alpha (A)で始まり、破壊の文字Omega(Ω)で終わる. Omegaは原始ヒンズー教(タントラ教)の馬蹄形の女陰の門のΩである。もちろん、Kali Maは破壊の死のOmegaで終りにしたのではない。「生→死→再生」という永遠に生き続ける循環を宇宙原理、自然原理、女性原理と定めたのである。「古代母権制社会研究の今日的視点 一 神話と語源からの思索・素描」( 松田義幸・江藤裕之、2007年、pdf


肝腎なのは大文字のオメガではなく小文字である。



いやあなんでこんなに似てるんだろ? 似ているというのはミナサンとはたぶん違って、あれら女神像のことだけど。






むかしの男はみんなひどくコワカッタんだろうな、今だってそうかもしれないけど。

(『夢解釈』の冒頭を飾るフロイト自身の)イルマの注射の夢、…おどろおどろしい不安をもたらすイマージュの亡霊、私はあれを《メデューサの首 la tête de MÉDUSE》と呼ぶ。あるいは名づけようもない深淵の顕現と。あの喉の背後には、錯綜した場なき形態、まさに原初の対象 l'objet primitif そのものがある…すべての生が出現する女陰の奈落 abîme de l'organe féminin、すべてを呑み込む湾門であり裂孔 le gouffre et la béance de la bouche、すべてが終焉する死のイマージュ l'image de la mort, où tout vient se terminer …(ラカン、S2, 16 Mars 1955)




母なる去勢 La castration maternelleとは、幼児にとって貪り喰われること dévoration とパックリやられること morsure の可能性を意味する。この母なる去勢 la castration maternell が先立っているのである。父なる去勢 la castration paternelle はその代替に過ぎない。…父には対抗することが可能である。…だが母に対しては不可能だ。あの母に呑み込まれ engloutissement、貪り喰われことdévorationに対しては。(ラカン、S4、05 Juin 1957)
ジイドを苦悶で満たして止まなかったものは、女性のある形態の光景、彼女のヴェールが落ちて、唯一ブラックホール trou noir のみを見させる光景の顕現である。あるいは彼が触ると指のあいだから砂のように滑り落ちるものである。(ラカン, Jeunesse de Gide ou la lettre et le désir,Écrits, 1966)

昔はオメガじゃなかったら、渦巻がやたらに多いからな、わが縄文「仮面の女神」をふくめて。




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もっともボクの真の愛はこれらの彫刻ではなく、キクラデス彫刻、そして次のフォルムと白大理石なのを強調しておかねばならない。20代の前半からこよなき愛を捧げているのである。

上に貼り付けた荒木のあの写真にうたれたのは、実はキクラデスとの形態的近似性のためである。




ボクは値段にはあまり関心がないがーーああ、あのとき、あの35年前だったら1000万円程度で買えたんじゃないか?--最近ではこんなことが起こっている。

There was no doubt as to the top lot as a Cycladic marble reclining female figure -the name-piece of the Schuster master, from the early Cycladic II, circa 2400 BC time sold for $16,882,500, far above its $3m-5m listing and a world auction record for a Cycladic marble figure.(CHRISTIE'S SCORES WORLD RECORD PRICE AT AUCTION FOR A CYCLADIC MARBLE FIGURE)






ちなみに我が書斎のコレクション棚である。世界はここにしかないのである。