2020年2月4日火曜日

ルーカス・デバルグとニコライ・ペトロフ

■Lucas Debargue. Domenico Scarlatti Piano sonata K 132




とってもステキなスカルラッティ、ルーカス・デバルグ、1990年生まれ。

このK 132は冒頭の30秒ぐらいが好みであとはどうでもいい(シツレイ!)、その半分ほどのあいだにキラキラ輝く箇所がある。ルーカス・デバルグはそこをピアニッシモでやっていてハッとした。

何年かまえクララ・ハスキルの1950年ライブのその部分のクレッシェンドにひどく魅せられた。一般に流通しているのは1953年ライブだが、この箇所は1950年ヴァージョンのほうがずっといい。ハスキルという天才の溢れる心情がよくきこえてくる。






以下、ルーカス・デバルグのその冒頭だけをもういくらか長く抜き出した。さきほど冒頭の30秒がいいといったが、この2分ぐらいまででダキョウ(?)したっていい。




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ここで、上とは直接には関係がないが、一月ほどまえ知ったとてもお気に入りのシューマンを貼り付けておこう。

■Nikolai Petrov: Robert Schumann - Symphonic Studies Op 13 (Symphonic Études), 1988




ニコライ・ペトロフ Nikolai Petrovの演奏を初めて聴いたのだが、じつに豊かな情動をもったピアニストだ。この交響的練習曲はシューマンの代表作のひとつで、多くの名高い演奏家が弾く。だが今のわたくしにはこれほど魅惑される演奏はない。もっとも数年前、ヒトラーが愛した、いわゆる総統のピアニストElly Neyの演奏にイカレテこれこそナンバーワンだ感じていた身だからいつ変わるかわからないが。わたくしの愛は彷徨うのである。

だが今はニコライ・ペトロフの冒頭の深みから湧き上がってくる音、この作品のなかで最も愛している箇所の夢見るような途轍もないリリック、そのゆらめく閃光ーーじつはルーカス・デバルグのあのキラキラするピアニシモをきいてシューマンのこの箇所をなぜか想起したのであるーー、これらをはじめとして多くの細部に心がドキンドキンと踊り限りなく魅了されている。