2022年4月16日土曜日

米・NATO「致命的誤謬」の否認による近未来の帰結


NATOはアメリカの外交の道具だ。同盟国はいない、属国だけだ。一度NATOの加盟国になってしまえばーー、アメリカの圧力にあらがうのは難しい。

私が思うに、自らを世界唯一の超大国だと考えて、国民に選民的な認識を植えつけてしまうと、現実離れしたメンタリティーが社会に生まれる。そして外交政策は社会の期待に応えることが求められる。国家の指導者は帝国主義的論理に従い、アメリカ国民の利益を損なう可能性がある。私はそう考える。最終的には、問題や欠陥につながるんだ。(オリバー・ストーンによるプーチンインタビュー(2015~2017)より)


米国主導のNATOが「東方拡大」という自らの政策の「致命的誤謬」を今後も認めることはおそらくあり得ないだろう。

ジョージ・ケナン等の警告(参照)を4半世紀ものあいだ無視してきたのが彼らである。


NATOの東方拡大は、冷戦後の全時代を通じて、アメリカの政策における最も致命的誤謬となるだろう。そのような決定は、おそらくロシアをナショナリズム的・反西洋的・軍事主義的傾向へと駆り立てうる[expanding NATO would be the most fateful error of American policy in the entire post-Cold War era. Such a decision may be expected to inflame the nationalistic, anti-Western and militaristic tendencies in Russian opinion;](ジョージ・ケナン「致命的誤謬」George F. Kennan, “A Fateful Error,” New York Times, 05 Feb 1997



とはいえ米国・NATOが自らの致命的誤謬を否認し続ける政策こそ究極の悪夢のシナリオへの道に他ならない。


Alzhacker @Alzhacker  2022年4月16日


https://cato.org/commentary/mccarthyism-re-emerging-stronger-ever-ukraine-policy-debates…

ウクライナ政策論議に再び強く現れるマッカーシズム

Ted Galen Carpenter

外交政策のタカ派が反対者を中傷し、それによって米国の政策構想に疑問を呈する議論を封じようとする厄介なパターンが、数十年にわたり展開されている。


McCarthyism Re‐ Emerging Stronger than Ever in Ukraine Policy Debates

Zealous anti‐ Russia voices are actually demanding that anyone opposing their views be silenced, and even criminally prosecuted.

APRIL 11, 2022 

By Ted Galen Carpenter


熱狂的な反ロシアの声は、実際に彼らの意見に反対する者は黙殺され、刑事訴追されることさえ要求している。


1990年代からNATOのロシアへの進出は東西関係を悪化させ、運がよければ新たな冷戦、運が悪ければ熱い戦争につながると評判の高い学者たちが警告を発していた。


そのような学者には、冷戦時代の対ソ封じ込め政策の知的立役者であるジョージ・ケナンや、現実主義的国際関係論者の長であるジョン・ミアシャイマーが含まれていた。このような冷静な批評が存在することを認めようともせず、ましてやその本質的な指摘を取り上げようともしない。


米国はすでに、ロシアとの直接的な軍事衝突を招きかねない危険な政策をちらつかせている。このような衝突は、核兵器の使用に容易にエスカレートする可能性があり、究極の悪夢のシナリオである。





Alzhacker @Alzhacker


https://theguardian.com/commentisfree/2022/feb/28/nato-expansion-war-russia-ukraine…

多くの人が、NATOの拡大は戦争につながると予測していた。その警告は無視された。2022年2月28日

Ted Galen Carpenter ケイトー研究所国防・外交政策研究シニアフェロー


我々は今、アメリカの傲慢さの代償を払っている。

Many predicted Nato expansion would lead to war. Those warnings were ignored


It has long been clear that Nato expansion would lead to tragedy. We are now paying the price for the US's arrogance


Ted Galen Carpenter 28 Feb 2022 

果たしてウクライナ危機は回避できたのだろうか。

この数カ月間の出来事は、東欧での熱い戦争を回避する最後のチャンスであった。プーチンはNATOに対し、いくつかの安全保障上の問題の保証を要求した。


バイデン政権は、西側諸国が意味ある譲歩と安全保障を求めるロシアに対して、冷淡で回避的な対応に終始した。その後、プーチンは明らかに事態をエスカレートさせることにした。

ウクライナをNATOの政治的・軍事的な駒にしようとするアメリカの試みは、(ウクライナが正式に同盟に加盟していなくても)結局はウクライナの人々に大きな犠牲を強いることになるかもしれない。

ウクライナの悲劇

ソ連崩壊後の数十年間、ワシントンがロシアを扱ったことが、大失策であったことは歴史が示すとおりである。NATOの拡大が、最終的に悲劇的な、おそらく暴力的なモスクワとの関係断絶につながることは、完全に予測できたことだった