国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)が把握しているだけで、408万9千人がシリアの紛争によって国外へ逃れています(2015年8月末時点)。また、国外に逃れることができず国内で避難生活を送る人は760万人。つまり、シリアの人口の半数以上が避難民となっているのです。 国外に逃れた中で、その9割以上は、トルコ193万人、レバノン111万人、ヨルダン62万人、イラク25万人、エジプト13万人(※1)と、周辺国に留まっています。しかし、周辺国で難民キャンプに入れる人はごくわずか。多くの人は劣悪な環境で困窮を極めています。欧州にたどり着いたシリア難民は、実は約34万人・全体の6%(※1)に過ぎません。周辺国の政府やUNHCRは、欧州をはじめとする国際社会に受け入れ枠を増やすよう要請しています。
ーー日本は三人受け入れたそうだ。
@kawakami_yasu: 70年代のインドシナ難民は特別ですが、この時も150万人近い難民のうち日本が受け入れたのは1万人強で、カナダの受入数の10分の1ですね。呼び寄せ家族を入れて、2万人近くですか。アジアのことなのに、相対的には少ない受け入れですね。 https://t.co/vaeeNldPel
※「ドイツまで歩いたシリア難民の証言」(川上泰徳)
「私たちは、国連が創設されて以来、最も人道支援を必要とする歴史的瞬間に生きています。」(ステファン・デュジャリック国連報道官 2015.08.19)
シリア難民は過去 30 年で世界最悪の難民危機に発展した。…紛争などで家を追われた人の数が第二次世界大戦以降初めて 5,000 万人を超えた。その 5 人に 1 人がシリア人だ。 (アムネステ ィ ・ インターナシ ョ ナル報告書2014.12)
グテレス難民高等弁務官は「これほど恐ろしいペースで難民が出るのは(100万人近くが犠牲になった1994年の)ルワンダ大虐殺以来」と指摘した。(The Huffington Post 2013年07月18日)
タルトゥース(シリア) |
シリアでの化学兵器使用疑惑に関して9月16日、国連がサリン使用を断定した。しかし安全保障理事会での廃棄に向けての決議に至るには欧米各国とロシアの間で曲折が予想される。また、トルコがシリアのヘリを撃墜するなど、依然としてシリア周辺は不安定な状態が続いている。
国連は9月16日、シリアの化学兵器使用に関する調査報告書を公表。8月21日にダマスカス近郊で起きた攻撃で神経ガスのサリンが使用されたと断定した。化学兵器を使用したのがアサド政権か反体制派かについては言及していない。(The Huffington Post 2013年09月17日)
トルコの隣国のシリアも、アサド政権がすぐ崩壊するかと思いきや、内戦が長引き、反政府勢力の中にアルカイダのような過激派が入り込んでるとも言われる。バラク・オバマ米大統領が「化学兵器を使ったらレッドラインを越えたとみなす」と警告したにもかかわらず化学兵器が使われ、仕方なくアメリカが軍事介入しようとしたものの、国連の安全保障理事会の決議が得られないのはもちろん、協力してくれるはずだったイギリスでさえ議会が軍事介入を拒否、化学兵器を国際管理下に置くっていうロシアの提案に乗ることで辛うじて面子を保つ始末。確かに、アサド政権に代わる政権の見通しもなしに軍事介入したって、解決にはならないからね。
オバマは、ジョージ・ブッシュ前大統領の負の遺産を背負って、なんとかアフガニスタンとイラクから撤退する目処をつけたものの、今回のシリアのように、結局ブッシュと似たような立場に立たざるをえず、ブッシュの暴挙に懲りた各国からそっぽを向かれる羽目に陥ってる。対テロ戦争でも、無人機による暗殺や、スノーデンの曝露したような大規模なネットの盗聴(情報傍受)に頼らざるを得ず、そこでも各国から批判を受けてる。ちなみに、この点では日本は鈍感すぎるよ。アメリカを批判するどころか、アメリカとの軍事協力を進めるために、報道の自由を侵害しかねない特定秘密保護法案を通そうっていうんだから。(浅田彰「憂国呆談」)