次の資料にみられる高齢者人口増は、2025年までが激しく、その後は穏やかになるのは、団塊の世代効果である。
通常、労働人口は15歳から64歳とされるが、非就業率もあるので、ここでは20歳から64歳までを労働人口とすれば次のようになる。
こうやって見ると、2000年からこの今の2020年のあいだにトンデモ高齢化が起こったことが瞭然とする。2020年から2040年のあいだの予測は、それに比べて高齢化進捗率は穏やかである。
この数字への対応として、いまさら経済成長やらを期待してもどうなるものでもない。
すくなくとも半世紀にわたるこの国の経済成長も、もうひとつの戦争であった、と私は見る者である。武器弾薬こそ使わなかったが、あらゆる「大量(マス)」の方法と技術を挙げての、総動員戦であった、と。戦死者もすくなからず、心身の負傷者に至っては数知れぬことだろう。
初めは踵に迫る貧困が敵であったが、そのうちに敵の正体もはっきりしなくなり、くりかえし襲ってくる不況からの脱出がそのつど危急の要請となった。「景気回復」がかつての「聖戦」にひとしい合言葉となって叫ばれる。いよいよ戦死者負傷者が出る。(古井由吉「六十五年目」『楽天の日々』)
あの高齢化比率を是正するためには、唯一可能な策は、事実上、1000万人単位での急激な移民施策のほかはない。
アメリカの潜在成長率は 2.5%弱であると言われているが、アメリカは移民が入っていることと出生率が高いことがあり、生産年齢人口は年率1%伸びている。日本では、今後、年率1%弱で生産年齢人口が減っていくので、女性や高齢者の雇用を促進するとしても、潜在成長率は実質1 %程度に引き上げるのがやっとであろう。
丸めた数字で説明すれば,、アメリカの人口成長率が+1%、日本は-1%、生産性の伸びを日米で同じ 1.5%と置いても日本の潜在成長率は 0.5%であり、これをさらに引き上げることは難しい。なお過去 20年間の1人当たり実質GDP 成長率は、アメリカで 1.55%、日本は 0.78%でアメリカより低いが、これは日本においては失われた 10 年といった不況期があったからである。
潜在成長率の引上げには人口減少に対する強力な政策が必要だが、出生率を今すぐ引き上げることが出来たとしても、成人して労働力になるのは20年先であり、即効性はない。今すべき政策のポイントは、人口政策として移民政策を位置づけることである。現在は一時的に労働力を導入しようという攻策に止まっているが、むしろ移民として日本に定住してもらえる人材を積極的に受け入れる必要がある。(『財政赤字・社会保障制度の維持可能性と金融政策の財政コスト』深尾光洋、2015年)
こんなことは共産党やら山本太郎やらの左翼ポピュリズム道化師政治家やその取り巻き連中以外は誰もがわかることである。
少子化の進んでいる日本は、周囲の目に見えない人口圧力にたえず曝されている。二〇世紀西ヨーロッパの諸国が例外なくその人口減少を周囲からの移民によって埋めていることを思えば、好むと好まざるとにかかわらず、遅かれ早かれ同じ事態が日本にも起こるであろう。今フランス人である人で一世紀前もフランス人であった人の子孫は二、三割であるという。現に中小企業の経営者で、外国人労働者なしにな事業が成り立たないと公言する人は一人や二人ではない。外国人労働者と日本人との家庭もすでに珍しくない。人口圧力差に抗らって成功した例を私は知らない。(中井久夫「災害被害者が差別されるとき」2000年『時のしずく』所収)
移民無策以外にも、21世紀に入ってから20年のあいだに増税等のたいした手が打てなかったのが致命的だっんだろうよ。いまさら言ってもしょうがないことだが。
そこで伺いたいのですが、問題の渡辺という人物は現在通産大臣をしておりますが、この間有名な毛針発言というのをやりました。本会議できょう陳謝が行われるようですから、毛針発言については私は聞きません。しかし、案外世間には知られてないことですが、もう一つ重大な発言をしております。(……)
「二十一世紀は灰色の世界、なぜならば、働かない老人がいっぱいいつまでも生きておって、稼ぐことのできない人が、税金を使う話をする資格がないの、最初から」、こう言ったわけであります。渡辺通産大臣は、それ以外にも、八三年の十一月二十四日には、「乳牛は乳が出なくなったら屠殺場へ送る。豚は八カ月たったら殺す。人間も、働けなくなったら死んでいただくと大蔵省は大変助かる。経済的に言えば一番効率がいい」、こう言っておられます。(第104回国会 大蔵委員会 第7号 昭和六十一年三月六日(木曜日) 委員長 小泉純一郎君……)
ひどい発言とはいえ、消費税導入の布石でもあろう。高齢者から恒常的に税金を取る手法は、消費税しかないのだから。その他の税は、相続税等を除けば基本的にはすべて労働人口からの税である。
消費税の「導入」と「増税」の歴史
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大平正芳
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1979年1月
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財政再建のため「一般消費税」導入を閣議決定。同年10月、総選挙中に導入断念を表明したが、大幅に議席を減らす。
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中曽根康弘
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1987年2月
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「売上税」法案を国会に提出。国民的な反対に遭い、同年5月に廃案となる。
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竹下 登
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1988年12月
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消費税法成立。
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1989年4月
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消費税法を施行。税率は3%。その直後、リクルート事件などの影響もあり、竹下首相は退陣表明、同年6月に辞任。
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細川護煕
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1994年2月
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消費税を廃止し、税率7%の国民福祉税の構想を発表。しかし、連立政権内の足並みの乱れなどから、発表翌日に撤回。
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村山富市
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1994年11月
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消費税率を3%から4%に引き上げ、さらに地方消費税1%を加える税制改革関連法が成立。
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橋本龍太郎
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1997年4月
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消費税率を5%に引き上げ。
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鳩山由紀夫
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2009年9月
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「消費税率は4年間上げない」とするマニフェストで民主党が総選挙で勝利、政権交代を実現。
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菅直人
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2010年6月
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参院選直前に「消費税10%」を打ち出し、選挙に惨敗。
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野田佳彦
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2012年6月
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消費税率を2014年に8%、15年に10%に引き上げる法案を提出。8月10日、参院本会議で可決成立。
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安倍晋三
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2014年4月
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消費税率を8%に引き上げ。
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2014年11月
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2015年10月の税率10%への引き上げを2017年4月に1年半延期。
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2016年6月
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2017年4月の税率引き上げを2019年10月に2年半延期。
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2018年10月
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2019年10月に税率10%に引き上げる方針を表明。軽減税率を導入し、食品(外食・酒類を除く)は現行の8%の税率を維持する。
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1997年から2014年という長いあいだの消費税増据え置きが、太平洋戦争時を超える債務残高/GDP比率を生み出した(1997年のアジア通貨危機と2008年のリーマンショックがあったから、ある程度やむえないこととはいえ)。
債務残高の激増は、あの少子高齢化が、社会保障給付費急増を生んだせいである。
ところでアジア通貨危機とリーマンショックのあいだは11年だから、周期説をとれば、2008+11=2019年で、次の大ショックは今年おこってもいいハズである。
おそくともたぶん来年ぐらいだよ、みなさんお待ちかねを!
どうせなら日本発の前代未聞ショックを引き起こして、この際、歴史上に「燦然たる」名を残すべきではなかろうか。
いずれにせよ、柄谷行人の60年周期説をいくらか修正した蚊居肢50年周期説によれば、2020年には革命的出来事が起こるはずである・・・
(柄谷60年周期説から50年周期説へ) |
あわよくば、レイシピックとなることが瞭然としている2020年の東京オリンピック前にこれが起こり、1940年の東京オリンピック同様に中止になることをこよなく願う者である。