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2024年5月24日金曜日

自らの傲慢と自惚れに気付かない米国

 

巧いこと言ってるな、この虹子さんって方は。




実際、連中はわかんないだろうな、自分たちがどんなに奇妙か。

この2年ほどのあいだ、YouTubeでの発言が注目されている伊藤貫だが、彼は2015年に西部邁ゼミナールに参加して《僕はそれをアメリカの『傲慢病』と『自惚れ病』という風に呼んでいるんですけども、とやかく傲慢と自惚れというのは、これはやってる本人は気が付かないんですね(笑)》と言っている。伊藤貫の米批判のエッセンスは既にこれらにほとんどすべてあるんじゃないか。


◼️「アメリカニズムを如何にせん」2015年12月31日 西部邁ゼミナール (伊藤貫 佐伯啓思)YouTube 8分45秒あたりから

伊藤貫)……今のアメリカのgrand strategy(グランド・ストラテジー)は、1991年に決められたんですね。1991年というのはどういう年かと言うと、ソ連帝国が崩壊して、アメリカに対する軍事的な対立国が遂に消滅したという時なんですね。〔・・・〕

その時にアメリカはもう舞い上がっちゃって、「今後は俺たちの能力はローマ帝国以上だ、世界に俺たちに敵う者はいない。」というんで、1992年2月にアメリカは、Defense Planning Guidanceという秘密文書を作って、その秘密文書(DPG)で、アメリカがヨーロッパと中東とアジアと中南米も全て支配すると。


それからもう一つ(DPGに)書いてあったのは、ロシアと中国がアメリカのPeer Competitor(ピーア・コンペティター=同等の競争相手)、Peerは「同僚」、要するに、「同じような力を持つチャレンジャーになることを許さない!」と。

で、(DPGの)もう一個、3つ目に重要なのは、第二次大戦の敗戦国である日本とドイツには、決して自主防衛能力を持たせないと。〔・・・〕


で、僕はそれを読んでて、まず胃袋が煮え返ったんですね。この野郎!!と。こういうことを考えていたのかと(笑)


西部邁

(笑)

で、もう一つ(DPGについて)思ったのは、こんなこと出来るわけないだろうと。あまりにもover ambitious(オーバー・アンビシャス)であると。だって、世界中を自分たちだけが支配すると決めたら、世界中で戦争しなけりゃいけないわけですよ。そんなこと、だって当時すでにアメリカは貯蓄率がどんどんどんどん減ってって世界中からお金を借りなきゃいけないと。世界中の純貯蓄の毎年の新しい貯蓄の7割をアメリカの債券を買って貰わなきゃならないということをやりながら、世界中を俺たちが支配するんだって、これはちょっとオカシイなと。


で、lo and behold ! (ロー・アンド・ビホールド)、じっと見てたら、アメリカは世界中に介入して、結局、2011年の9月11日のテロ事件を口実として、イラクを属国にしようとしていま大失敗したわけです。

アメリカのglobal hegemony(グローバル・ヘゲモニー)はグラグラし出した時に、日本の外務省の人たちはおバカさんだから、「アメリカにくっ付いていれば大丈夫だ!」とそういう吉田茂以降のこの人たちは本当に馬鹿で、馬鹿と言っちゃ悪いんだけど、すごく鈍いんですよ。吉田茂はそういうふうに決めて上手くいったから、21世紀になってもアメリカにしがみ付いていれば大丈夫だろうと。


で、アメリカは文句言うんだったら、アーミテージは集団的自衛権を行使しろと言ったから、アーミテージの言う通りにして集団的自衛権を行使して米軍と一緒に戦えば、ずっと(日本を)守ってくれるだろうと。

西部邁) アメリカという国はね、そういう風にして世界警察をやる力をどんどん無くしているのにも関わらず、アメリカン・デモクラシーでも、アメリカン・リベラル・デモクラシーでもいいんだけど、そういう理念めいたものをいろいろ誤魔化しを交えて振りかざしつつ、自分たちの力を世界に示すんだという形でしか、アメリカという国自身がもたない。そういうやり方以外には、言わばアメリカの普通でいう、national identity(ナショナル・アイデンティティー)なる【歴史がない】せいでね、無いのだと。


伊藤貫)えぇえぇえぇ。


西部邁)となると、世界警察力が衰えながらもそれを尚も追い求めるという以外に(無い)?

伊藤貫)そうなんですよ。100%当たりで、要するに自分たちの実力が、世界を支配する実力が無くなってきたにも関わらず、自分たちの“思い込み”ですね、僕はそれをアメリカの『傲慢病』と『自惚れ病』という風に呼んでいるんですけども、とやかく傲慢と自惚れというのは、これはやってる本人は気が付かないんですね(笑)アメリカも僕みたいにある意味で、僕は“外人”ですからね、だから外人のシラっとした目で見ると、なんでこの連中はこんなにも自惚れているんだろうと。それからもう一つは、何でこんなに傲慢なんだろうと、思っているんですけども、それをやってる本人は、『自分たちはWilsonian idealist(ウィルソニアン・イデアリストだと!』


西部邁)あぁ~そうか。

伊藤貫)ウィルソニアン的な民主主義と自由主義を世界に拡めるために、Crusade(クルセイド=聖戦)をやっているんだと。世界のために・・・〔・・・〕


西部邁)あれ第一次世界大戦ですよね、国際連合の前だから「国際連盟」をつくった時のアメリカの大統領が【ウッドロウ・ウィルソン】といって学者上がりなんだけども、非常にズルい人でありながら、とも同時に非常に理想主義的な、まぁ~言ってみればアメリカ・ピューリタニストの系譜の、そういうアメリカの理想主義、それを翳した人ね。


それを戦後日本もね、アメリカに(戦争で)負けたでしょう、山ほど殺された日本がアメリカを一つの理想として追い求めた。その根っこを言うと、もっと古いんだけども、少なくとも20世紀で言うと、そのいま言ったウィルソニアニズムがあるという。どうぞお先に!(笑)

伊藤貫)

えぇ。だから非常にもうね、あのアフガニスタンに対してもパキスタンに対してもイラクに対してもシリアに対してもイエメンに対してももう徹底的に武力を行使して鉄拳制裁をやっているんですけども、彼らそういうことをやっている連中は、We're Wilsonian idealist !! と。


・・・そのつもりなんですよ。それでバンバンやってめちゃくちゃ殺しまくるんですけど、たぶん、自分たちは善人で良いことをやっているんだと、これが怖いわけですね(笑)


これはーーつまり自らの傲慢と自惚れに気付かないことはーー日本の属米国際政治学者たちにも言えるよ。私はこの2年強のあいだ、連中のツイートを掠め眺めるだけで《胃袋が煮え返った》からな。