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2024年6月15日土曜日

ジェノサイド7宣言

 


そうかそうか、G7はジェノサイド7であることをマジで宣言したんだな。半信半疑だったが、ホントにそうあるや、➡︎ G7 Apulia Leaders’ Communiqué, JUNE 14, 2024


テヘラン大学のセイド・モハマド・マランディが事実上言い続けているのは、G7はジェノサイド7にほかならないということだが、コミュニケで明白に宣言とはね・・・


Seyed Mohammad Marandi @s_m_marandi Mar 9, 2024


間違えないように。ガザジェノサイドはアメリカ、EU、イギリス、カナダ、オーストラリアの全面的な支援を受けているのだ。イスラエルのナチス政権は、彼らの強固な後ろ盾がなければ、この血に飢えた蛮行を3~4ヶ月前に終わらせていただろう。連中は集団でガザホロコーストを実行しているのだ。

Make no mistake, the #GazaGenocide has the full support of the US, EU, UK, Canada, and Australia. The Israeli Nazi regime would have ended this bloodlust 3-4 months ago without their staunch backing. They are collectively carrying out the #GazaHolocaust.





2024年6月14日金曜日

抑圧された「ナチの亡霊」の回帰

 

戦争情報というのは、毎日半時間ほど眺めるよりはーー実際は情報の信憑性を確かめるために1時間ほどかかるーー、週一2時間程度眺めるほうが心身の消耗度が少ないだろうな。もはや、優れた政治家や学者の言ってることでさえ、この一年強のあいだに言われてきたことの事実上、繰り返しに過ぎないように見えるね。もっとも核使用等の緊急情報があり得るから厄介だが。



いい気なもんだよ、米国というのは。よその国同士に対して殺し合いを画策しといて自分は高みの見物とは。あくまでラブロフの言っている事に準拠すれば、と但し書きをつけておくが。

セルゲイ・ラブロフ: 於ブリックス・グローバルサウス会議 2024年6月11日


米国はヨーロッパを次のように認識している。


米国は、核戦争を挑発すれば(実際にそうしている)、被害を受けるのはヨーロッパだけだと考えている。


歴史的に、第一次世界大戦や第二次世界大戦と同様に、米国は勝利者として浮上することを期待している。


この考え方は、現在の米国の政策立案者の哲学とメンタリティ、そして結果的にウクライナを率いる人々の哲学とメンタリティを反映している。

Sony Thang@nxt888 Jun 14, 2024

SERGEY LAVROV:


"Here is how the United States perceives Europe:


The US believes that if it provokes a nuclear war (which they are actively doing), only Europe will suffer.


Historically, as in the first and second world wars, they expect to emerge as the victor.


This mindset reflects the philosophy and mentality of current US policymakers, and consequently, those who lead Ukraine."


Excerpt from remarks and answers by Russian Foreign Minister Sergey Lavrov to media questions following the meeting of foreign ministers from BRICS and Global South and Global East countries, Nizhny Novgorod, June 11, 2024.


Source: Ministry of Foreign Affairs of the Russian Federation


ーーロシアによるキューバへの軍艦と原子力潜水艦配備もこのラブロフの言っているコンテクストのなかにあるに相違ないだろう、少しは米国を脅かさないとな。ここでの「米国」はジェフリーサックスの言っている意味での米国であることに注意、《米国ーー私がこの語で意味するのは、軍産複合体、つまり安全保障機構・情報機関・国防総省・軍需企業、そして議会における彼らの支持者たちからなる少数の権力者たちだが、彼らが考えるアメリカの覇権を維持したいと考えている。"The U.S.―and by that I mean the military-industrial blob or complex, a small number of powerful people from the security establishment, the intelligence agencies, the Pentagon, the military companies, and their supporters in Congress―wants to preserve American hegemony as they see it》.(Jeffrey Sachs,Will the Death of U.S. Hegemony Lead to Peace―Or World War III?  in an interview with Mike Billington, May 15, 2024.)




もう少し一般化すれば、少なくともロシア側からみたら、現在の集団的西側коллективного Запада]はナチスイデオロギー[идеология нацизма]の再来ーーナチの回帰ーーと見ている。


私が知りうる限りで、それが最も簡潔に表現されているのは、2023年2月2日のスターリングラード戦役80周年記念におけるプーチン演説だ。



今、残念ながら、 ナチズムのイデオロギーが、その現代的な装いの中で、再び、 我が国の安全に対する直接的な脅威を作り出していることがわかります。我々は、 何度も何度も、 集団的西側の侵略を撃退することを余儀なくされているのです。信じられない、信じられないが、 事実です。彼らは、 十字架が描かれたドイツのレオパルト戦車で再び我々を脅している。

(プーチン大統領、スターリングラード戦役80周年記念スピーチ 、2023年2月2日)

Now, regrettably, we see that the ideology of Nazism, in its modern guise, in its modern manifestation, once again poses direct threats to the security of our country. Again and again we have to repel the aggression of the collective West. It’s incredible, but it’s a fact: we are again being threatened with German Leopard tanks with crosses on them. 

- Putin, the 80th anniversary of the victory in the Battle of Stalingrad, February 2, 2023


※露原文

"Сейчас, к сожалению, мы видим, что идеология нацизма уже в своем современном обличье, современном проявлении вновь создает прямые угрозы безопасности нашей страны. Мы вновь, вновь и вновь вынуждены давать отпор агрессии коллективного Запада. Невероятно, но факт - нам снова угрожают немецкими танками Leopard, на борту которых кресты", 


- Путин, 80-летие Победы в Сталинградской битве, 2 февраля 2023



《信じられないが 事実だ[Невероятно, но факт]》、この一言にロシア側の集団的西側に対する驚愕が典型的に籠められている。






FABVOX 2120:プーチン大統領 ~ スターリングラード戦役80周年記念スピーチ (2023年2月2日) - Battle of Stalingrad 80th anniversary speech -(日本語字幕)


これはスラブ人同士の殺し合いから「欧州人とロシア人との殺し合い」に発展しつつあるウクライナ紛争に限らない。現在でのガザジェノサイドに代表される「西アジア人同士の殺し合い」ーー、そうして近未来の大いに起こりうる「東アジア人同士の殺し合い」の背後にあるのが何かについても《誰の目にも明らかになっている[Это уже очевидно для всех]》のだ。



◾️プーチン "安全保障理事会メンバー、政府、治安機関の指導者との会談"

ロシア大統領、2023年10月30日

中東やその他の地域の人々の悲劇の背後に誰が本当にいるのか、誰が致命的な混乱を組織し、誰がそこから利益を得ているのかを、私たちは明確に理解しなければならない。 今日、私の考えでは、このことはすでに誰の目にも明らかになっている。〔・・・〕


もう一度言おう。パレスチナ人の悲劇、中東での虐殺、ウクライナ紛争、そしてアフガニスタン、イラク、シリアなど、世界の多くの紛争の背後にいるのは、アメリカとその衛星の支配エリートだ。 このことはすでに誰の目にも明らかだ。

Мы должны чётко понимать, кто в реальности стоит за трагедией народов Ближнего Востока и в других регионах мира, кто организует смертоносный хаос, кому он выгоден. Сегодня, на мой взгляд, это уже стало очевидным и понятным для всех – заказчики действуют в открытую и нагло. не в последнюю очередь с территории Украины, руками агентуры западных спецслужб.

<…>


Я вновь повторю: и за трагедией палестинцев, и за бойней на Ближнем Востоке в целом, за конфликтом на Украине, за многими другими конфликтами в мире – в Афганистане, Ираке, Сирии и так далее – стоят правящие элиты США и их сателлиты. Это уже очевидно для всех.


ーー“Совещание с членами Совета Безопасности, Правительства и руководством силовых ведомств.” Президент России, 30 Oct. 2023




さらに次の文はほとんど直接的に「ナチの回帰」を言っている。


◾️プーチン演説ーー於内務省理事会の年次拡大会議(モスクワ)、2024年4月2日

Excerpt from remarks by Russian President Vladimir Putin during the annual expanded meeting of the Interior Ministry Board, Moscow, April 2, 2024.

奇妙に思えるかもしれないが、過去にロシアを打ち負かそうとして失敗したこと、つまりヒトラーやナポレオンがロシアに対する作戦を失敗させたことへの復讐を、いまだに誰かがしようとしているのだ。歴史上、このような例は数多くあるが、驚くべきことに、敵対勢力はいまだに歴史的記憶に留めているのだ。

Strange as it may seem, someone still seeks revenge for their failed attempts to defeat Russia in the past – for Hitler’s and Napoleon’s unsuccessful campaigns against Russia.There have been many such examples in history, and surprisingly enough, our adversaries still hold them in their historical memory.

Как ни странно, кто-то хочет реванша за неудачи в борьбе с Россией ещё в исторические периоды: за неудачные походы Гитлера на Россию, Наполеона – таких исторических примеров очень много, и, как ни странно, в исторической памяти тех самых недоброжелателей, о которых я сказал, многое сохраняется, как ни странно, но я с этим сталкивался – удивительно, но факт.




すなわち、マルクスの云う《過去の亡霊[Geister der Vergangenheit]》の呼び出し、フロイトの云う抑圧されたものの回帰としての《過去の復活[Wiederherstellungen des Vergangenen]》である。

ヘーゲルはどこかで、すべての偉大な世界史的な事実と世界史的人物はいわば二度現れる、と述べている。彼はこう付け加えるのを忘れた。一度目は偉大な悲劇[Tragödie]として、二度目はみじめな笑劇[Farce]として、と。

Hegel bemerkte irgendwo, daß alle großen weltgeschichtlichen Tatsachen und Personen sich sozusagen zweimal ereignen. Er hat vergessen, hinzuzufügen: das eine Mal als Tragödie, das andere Mal als Farce.〔・・・〕


人間は自分自身の歴史を創るが、しかし、自発的に、自分が選んだ状況の下で歴史を創るのではなく、すぐ目の前にある、与えられた、過去から受け渡された状況の下でそうする。すべての死せる世代の伝統が悪夢のように生きているものの思考にのしかかっている。そして、生きている者たちは、自分自身と事態を根本的に変革し、いままでになかったものを創造する仕事を携わっているように見えるちょうどそのときでさえ、まさにそのような革命的危機の時期に、不安そうに過去の亡霊[Geister der Vergangenheit]を呼び出して自分のたちの役に立てようとし、その名前、鬨の声、衣装を借用して、これらの由緒ある衣装に身を包み、借り物の言葉で、新しい世界史の場面を演じようとしているのである。

Die Menschen machen ihre eigene Geschichte, aber sie machen sie nicht aus freien Stücken, nicht unter selbstgewählten, sondern unter unmittelbar vorgefundenen, gegebenen und überlieferten Umständen. Die Tradition aller toten Geschlechter lastet wie ein Alp auf dem Gehirne der Lebenden. Und wenn sie eben damit beschäftigt scheinen, sich und die Dinge umzuwälzen, noch nicht Dagewesenes zu schaffen, gerade in solchen Epochen revolutionärer Krise beschwören sie ängstlich die Geister der Vergangenheit zu ihrem Dienste herauf, entlehnen ihnen Namen, Schlachtparole, Kostüm, um in dieser altehrwürdigen Verkleidung und mit dieser erborgten Sprache die neuen Weltgeschichtsszene aufzuführen.

(マルクス『ルイ・ボナパルトのブリュメール18日』Der 18te Brumaire des Louis Bonaparte、1852年)


過去の復活(過去の回帰)、長い間隔をおいての忘れられたものの回帰[Wiederherstellungen des Vergangenen, Wiederkehren des Vergessenen nach langen Intervallen.   ](フロイト『モーセと一神教』3.1.4  Anwendung)

忘れられたものは消去されず「抑圧された」だけである[Das Vergessene ist nicht ausgelöscht, sondern nur »verdrängt«](フロイト『モーセと一神教』3.1.5 Schwierigkeiten, 1939年)



先にも示唆したが、この観点を取らない学者や言論人もいまだあまたいるようだがね、私の偏った頭では、知的退行組としか言いようがないな。


…………………


※附記


柄谷行人は「革命と反復(Revolution and Repetition)」と題された2008年の英語論文ーー日本語になっているのかもしれないが私は知らないーーで次のように記しているが、これこそまさに先のプーチンが《ヒトラーやナポレオンがロシアに対する作戦を失敗させたことへの復讐を、いまだに誰かがしようとしている》と言っていることと同一だ。


マルクスは、『ルイ・ポナパルドのブリュメールの十八日』にて、フランス革命によって実現された共和制から生れた皇帝制の出現のなかに反復を見出している。1789年の革命において、王は処刑されて、それに引き続く共和制から、人びとの支持をともなって「皇帝」が出現した。これは、フロイトが「抑圧されたものの回帰」と呼ぶものである。

in The Eighteenth Brumaire of Louis Bonaparte, Marx finds repetition in the emergence of the empire out of the republic realized by the French Revolution. 

In the Revolution of 1789, the King was executed and the Emperor emerged from the subsequent republic with the people's support. This is what Freud called the “return of the repressed.” Yet, the Emperor is the return of the murdered king, but is no longer the king himself. (Kojin Karatani,Revolution and Repetition, 2008, 私訳)

ナポレオンの構想は、ヨーロッパ共同体の原型とも言えるが、歴史のこの時点では、ヒトラーの第三帝国の前身であるヨーロッパ征服と見るのが妥当であろう。

Napoleon’s concept could be called a prototype of the European Union, but at this point in history, his scheme could be more properly seen as the precursor of Hitler’s Third Reich: the conquest of Europe.(柄谷行人「革命と反復」2008年、私訳)


なお柄谷はこの論文の冒頭近くで出来事ではなく構造、反復構造を強調していることを付け加えておこう。

私は歴史の反復があると信じている。そしてそれは科学的に扱うことが可能である。反復されるものは、確かに、出来事ではなく構造、あるいは反復構造である。驚くことに、構造が反復されると、出来事も同様に反復されて現われる。しかしながら、反復され得るのは反復構造のみである。

I believe that there is a repetition of history, and that it is possible to treat it scientifically. What is repeated is, to be sure, not an event but the structure, or the repetitive structure. Surprisingly, when a structure is repeated, the event often appears to be repeated as well. However, it is only the repetitive structure that can be repeated.( Kojin Karatani, "Revolution and Repetition" 2008, PDF 私訳)

表象が実際の反復となるのは、過去と現在の間に構造的な類似性があるときだけである。つまり、各個人の意識を超越したネーションに固有の反復構造があるときである。

Representation becomes actual repetition only when there is a structural similarity between the past and the present, that is to say, only when there is a repetitive structure inherent to the nation that transcends the consciousness of each individual.(柄谷行人「革命と反復」2008年、私訳)




2024年6月13日木曜日

戦争情報消耗


オハヨ、生きてるよ。戦争情報消耗気味で、隣国まで「買物」に行ってただけだよ。


戦闘消耗…ベテラン下士官などが、馬鹿馬鹿しい、どうでもなれ、と銃を捨てて寝そべってしまう現象〔・・・〕。これを防ぐために、ナチス・ドイツは末期まで三週間ごとに休暇を与え、ベトナムの米軍はヘリコプターでサイゴンに兵士を送り返していたのである。 (中井久夫『復興の道なかばで――阪神淡路大震災一年の記録』)





2024年6月9日日曜日

ヒトなる病原菌に対して《「ヒトの中の自然」は、個体を減らすような何ごとかをする》現象

 



こういうのを「嬉々として」貼り付けたくなる主要な動因は、私が「幸運にも」コロナワクチンを打っていないせいだろうよ(ほとんど打ちかけたのだが)。


◾️1989年生物兵器/反テロ法を執筆した法学教授がCOVID-19ワクチンは大量破壊兵器であるとの宣誓供述書を提出 http://totalnewsjp.com/2024/06/09/covid19-1313/

生物兵器に関する世界有数の法律専門家は、COVID-19ワクチンは生物兵器であると確信している。

1989年に議会の両院で全会一致で可決された生物兵器およびテロ対策法を起草したハーバード大学法学教授フランシス・ボイル博士は、新型コロナウイルス感染症のワクチンとmRNAナノ粒子の注射は彼が起草した法律に違反すると述べた宣誓供述書を提出した。

ボイル博士は、フロリダ州の緊急マンダムス令状請願に関する訴訟でこの宣誓供述書を提出した。

ボイル博士は、「COVID-19注射」、「COVID-19ナノ粒子注射」、「mRNAナノ粒子注射」は生物兵器および大量破壊兵器であり、生物兵器法に違反していると主張した。

ボイル博士は、生物兵器に関する世界有数の法律専門家の一人とみなされている。ボイル博士の宣誓供述書は、すでにマンダムス令状で膨大な証拠が提供されているこの事件に、多大な信憑性を加えるものである。

ワクチンが生物兵器であり技術兵器であると述べる宣誓供述書は、 マンダムス令状の事実関係のセクションを構成する証拠を調査した医療法律顧問兼バイオテクノロジーアナリストの カレン・キングストン氏と、医学博士、博士のアナ・ミハルセア氏からも提供された。vigilantnews




私は大量破壊兵器[weapons of mass destruction]いうよりも生物兵器[biological weapons]というほうが好みだがね。


◾️Law Professor Who Wrote 1989 Biological Weapons/Antiterrorism Act Provides Affidavit That COVID 19 Shots Are Weapons of Mass Destruction

One of the world’s leading legal experts on biological weapons believes the COVID-19 vaccines are bioweapons.


By Creative Destruction Media  on June June 7, 2024

Dr. Francis Boyle, the Harvard educated law professor that drafted the 1989 Biological Weapons and Antiterrorism Act, which passed both houses of Congress unanimously, provided an affidavit stating that Covid 19 injections and mRNA nanoparticle injections violate the law he wrote.

Dr. Boyle asserted that ‘COVID 19 injections’, ‘COVID 19 nanoparticle injections’, and ‘mRNA nanoparticle injections’ are biological weapons and weapons of mass destruction and violate Biological Weapons 18 USC § 175; Weapons and Firearms § 790.166 Fla. Stat. (2023). 〔・・・〕

Dr. Boyle is considered one of the world’s leading legal experts on biological weapons. Dr. Boyle’s affidavit adds a tremendous amount of credibility to the case, which already has a tremendous body of evidence provided in the writ of mandamus. Affidavits stating that the injections are biological and technological weapons, were also provided by med legal advisor and biotech analyst Karen Kingston, who researched the evidence that makes of the Facts of the Case section of the Mandamus, and from Ana Mihalcea, M.D., PhD. Dr. Mihalcea’s research is included in the Mandamus. Dr. Mihalcea is one of the world’s leading researchers into the effects of self replicating nanotechnology in the blood of injected as well as the effects in the blood of the uninjected as a result of shedding.




この「生物兵器」の話をあらためて読むとーーつまり再確認するとーー、中井久夫の次の三文をすぐさま想起するね。



ひょっとすると、多くの社会は、あるいは政府は、医療のこれ以上の向上をそれほど望んでいないのではないか。平均年齢のこれ以上の延長とそれに伴う医療費の増大とを。各国最近の医療制度改革の本音は経費節約である。数年前わが国のある大蔵大臣が「国民が年金年齢に達した途端に死んでくれたら大蔵省は助かる」と放言し私は眼を丸くしたが誰も問題にしなかった。(中井久夫「医学部というところ」書き下ろし1995年『家族の肖像』所収)

二〇世紀には今までになかったことが起こっている。〔・・・〕百年前のヒトの数は二〇億だった。こんなに急速に増えた動物の将来など予言できないが、危ういことだけは言える。


しかも、人類は、食物連鎖の頂点にありつづけている。食物連鎖の頂点から下りられない。ヒトを食う大型動物がヒトを圧倒する見込みはない。といっても、食料増産には限度がある。「ヒトの中の自然」は、個体を減らすような何ごとかをするはずだ。ボルポトの集団虐殺の時、あっ、ついにそれが始まったかと私は思った。(中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」初出2000年『時のしずく』所収)

地球から見れば、ヒトは病原菌であろう。しかし、この新参者はますます病原菌らしくなってゆくところが他と違う。お金でも物でも爆発的に増やす傾向がますます強まる。(中井久夫「ヒトの歴史と格差社会」初出2006年『日時計の影』所収)



ま、20世紀はとんでもない世紀だったんだよ。





で、とくにこの3年間、ヒトなる病原菌に対して、《「ヒトの中の自然」は、個体を減らすような何ごとかをする》現象が赤裸々に顕れたんじゃないかね。


……………


※附記


なお、中井久夫にとって「ヒトの中の自然」は生理もしくはエスに相当する。

人類は、おそらく十万年ぐらいは、生理的にほとんど変化していないと見られている。心理だって、そう変わっていまい。そして、生理と心理は予想以上に密接である。(中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」初出2000年『時のしずく』所収)

"psycho-" は自我に当たり、エスは "biological" に相当するとしましょう。これ(自我)が一番変動しやすいものです。人体のほうは十万年ぐらい変わりません。(中井久夫「統合失調症とトラウマ」初出2002年『徴候・記憶・外傷』所収)


そしてフロイトにとってエスは無道徳である。

エスはまったく無道徳であり、自我は道徳的であるように努力する[Das Es ist ganz amoralisch, das Ich ist bemüht, moralisch zu sein](フロイト『自我とエス』第5章、1923年)


この無道徳なエスこそラカンの現実界である。

私は考えている、現実界は法なきものと言わねばならないと。真の現実界は秩序の不在である。現実界は無秩序である[je crois que le Réel est, il faut bien le dire, sans loi.  Le vrai Réel implique l'absence de loi. Le Réel n'a pas d'ordre].  (Lacan, S23, 13 Avril 1976)