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2019年12月15日日曜日

「低福祉高負担」への転換

聞きたいことは信じやすいのです。はっきり言われていなくても、自分が聞きたいと思っていたことを誰かが言えばそれを聞こうとするし、しかも、それを信じやすいのです。聞きたくないと思っている話はなるべく避けて聞こうとしません。あるいは、耳に入ってきてもそれを信じないという形で反応します。(加藤周一「第2の戦前・今日」2004年)

加藤周一は2004年に「第2の戦前・今日」と言っているわけだが、この令和元年、「第2の戦前」が極まっていることにまだ気づかないのだろうか、きみたちは。




たとえば次のような資料をかかげると、左翼ポピュリストのたぐいのみなさんは「財務省に洗脳されている!」などと脊髄反応するのかもしれないが、まずじっくりみて少なくともいくらか勉強してから(もし闘いたいなら)闘うべきだよ、あまりにも財政音痴すぎる、きみたちは。それが「山本太郎信者の「転向」について」にてごくシンプルに記した内実だ。

わたくしの知るかぎり、このままいくと《「低福祉、高負担」への転換を余儀なくされることとなりかねない》(令和2年度予算の編成等に関する建議、令和元年 11 月 25 日)とは、保守あるいは行政側から初めて表現された言葉だ。今までは、「日本の選択肢は中福祉高負担しかない」というものだけだった。

最後に申し上げたいのは、日本の場合、低福祉・低負担や高福祉・高負担という選択肢はなく、中福祉・高負担しかありえないことです。それに異論があるなら、 公的保険を小さくして自己負担を増やしていくか、産業化するといった全く違う発想が必要になるでしょう。 (基調講演—財政と社会保障 武藤敏郎 氏 株式会社大和総研 理事長ーー「いま一度、 社会保障の未来を問う」(日本シンクタンク協議会 2016年度冬季セミナー抄録、pdf

ま、脅しとかいうのはやめて一週間ぐらいは根をつめて勉強してみることだね、標準的な頭脳の持ち主なら、いままで経済や財政に疎くても10日前後でなんとかなるはずだ。

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■令和2年度予算の編成等に関する建議
令和元年 11 月 25 日 財政制度等審議会、pdf

社会保障関係費は、これまで一貫して増加を続け、令和元年度(2019年度)予算においては、一般歳出の6割を占めるに至っている。平成の30 年間、他の政策経費と比較しても、社会保障関係費の増加幅(3倍)は際立っており、これと軌を一にして公債発行が大幅に増加してきた。〔資料Ⅱ-1-1参照〕



この要因として、第一に、医療、年金、介護といった社会保障給付自体が、高齢化といった人口要因で説明できる範囲を大きく超えるペースで増加してきたことが挙げられる。

加えて、我が国の社会保障制度は、社会保険方式を採りながら、高齢者医療・介護給付費の5割を公費で賄うなど、公費負担に相当程度依存しているが、特に近年、公費負担の比重の大きい高齢者医療・介護給付費の増に伴い、社会保障給付費に占める公費の割合は上昇している。〔資料Ⅱ-1-2参照〕




公費の増加に有効な対応策が講じられず、それに見合う負担も求められてこなかった結果、社会保障制度における給付と負担のバランスは、既に大きく崩れている。特に 1990 年代以降、社会保障の給付の増加のペースが負担(社会保険料+税)の増加のペースを上回り、経済協力開発機構(OECD)諸国と比較しても、「中福祉、低負担」と言わざるを得ない特異な状況となっている。〔資料Ⅱ-1-3参照〕



更に、将来を見据えると、このまま社会保障制度の改革を行わない場合、給付と負担のアンバランスは、更に拡大すると見込まれる。これを放置すれば、現在の日本が「中福祉、低負担」を享受する見返りに、将来世代がツケを払う形で「中福祉、高負担」、更には「低福祉、高負担」への転換を余儀なくされることとなりかねない。我が国の財政と社会保障は、これまで未解決の宿題を背負ったまま、以下のように更なる課題に直面しているといえる。

第一に、今後の人口構造の変化に目を向ければ、2022年には団塊の世代が後期高齢者になり始めるため、医療・介護を中心に、これまでのペースを上回る形での公費の増加がほぼ確実に見込まれ、その後も、後期高齢者数は高止まりを続ける。また、年金給付の面で影響が大きい65歳以上の人口については、中期的に増加を続け、2040年頃にかけてピークを迎える。〔資料Ⅱ-1-4参照〕



第二に、前述のように、そもそも医療・介護給付費は高齢化による伸びを大きく超える形で増加してきた。この点はこれまで長年にわたり政策課題とされてきたが、これを抑制する実効的な方策は未だ講じられておらず、こうした増加の定量的要因すら明らかになっていない。今後もこうしたトレンドが変わるとは考えにくく、昨今における高額な新薬の相次ぐ登場や、介護利用の広がりを考慮しても、現行制度のままでは、人口動態を大きく超える形での給付増が生じると考えることが自然である。

第三に、こうした給付の負担を賄う主な「支え手」を仮に 20 歳から75 歳未満と想定したとしても、その人口は、既に足元で大規模な減少が始まっており、特に 2040 年以降は、毎年1つの大都市の人口に匹敵する約 100 万人のペースで急速に減少していく。我が国の労働参加率は女性や高齢者を含めて相当高まってきているが、仮に更なる大幅な労働参加率の上昇を想定したとしても、労働力人口の大幅な減少は避けられない。中期的に経済成長の足かせとなる可能性があり、「支え手」一人ひとりの負担はその分だけ重くなりかねない。〔資料Ⅱ-1-5参照〕



だいたい人口構成がこんなふうになってゆくのだから、負担をふやさずにはいられないのはすぐさまわかるはずだがね、で、わずか10パーセントでしかない消費税にたいしてマガオで反対と言っているやつらーー共産党やらなんやらーーってのは、あれはなんなんだろうかね。法人税やら金持ち税やら、あるいは経済成長やらで賄いきれるとマガオで考えてるわけかい?