2020年7月20日月曜日

かわいそう

アタッチメントとは何?



いやあ、読まずに質問してくるんだからな、ちゃんとリンクを貼りつけているのだけどな ➡︎「原ナルシシズムの原像」。

ひとつだけ抜いておくよ、最も簡潔簡明な文を。

子宮内生活は原ナルシシズムの原像である。la vie intra-utérine serait le prototype du narcissisme primaire (Jean Cottraux, Tous narcissiques, 2017)


きみのようなたぐいの人物はこっちのほうがいいかもな。


わたしはともだちにうそをつくけど
おとなってじぶんにうそをつくのね
わたしはからだがちいさいけど
おとなってこころがちいさいのね
わたしはのはらであそびたいのに
おとなってほんとはおかあさんの
おなかのなかにもどりたいのね
それなのにおかあさんはもういない
おとなってこどもよりずっとずっと
かわいくてかわいそう

ーーかわいそう   谷川俊太郎


あの青い空の波の音が聞こえるあたりに
何かとんでもないおとし物を
僕はしてきてしまったらしい

透明な過去の駅で
遺失物係の前に立ったら
僕は余計に悲しくなってしまった

ーーかなしみ  谷川俊太郎



空の青さをみつめていると
私に帰るところがあるような気がする

ーー六十二のソネット「41」 谷川俊太郎

なんでもおまんこなんだよ
……
ああたまんねえ
風が吹いてくるよお
風とはもうやってるも同然だよ
頼みもしないのにさわってくるんだ
そよそよそよそようまいんだよさわりかたが
女なんかめじゃねえよお
ああ毛が立っちゃう
どうしてくれるんだよお
おれのからだ
おれの気持ち
溶けてなくなっちゃいそうだよ
おれ地面掘るよ
土の匂いだよ
水もじゅくじゅく湧いてくるよ
おれに土かけてくれよお
草も葉っぱも虫もいっしょくたによお
でもこれじゃまるで死んだみたいだなあ
笑っちゃうよ
おれ死にてえのかなあ

ーーなんでもおまんこ  谷川俊太郎


死は愛である [la mort, c'est l'amour.] (Lacan, L'Étourdit  E475, 1970)
ナルシシズムの背後には、死がある[derrière le narcissisme, il y a la mort.](J.-A. MILLER, L'Être et l'Un, 06/04/2011)