2022年3月1日火曜日

キエフを攻めあぐねたら一発ドカン

 少し前に引用したが、小泉悠氏は2月27日の「日曜討論」でこう言っている(ツイッター上で拾ったものであり正確さについては不詳)。


「ロシアに武力侵攻を許した時点で、バッドエンドは決まってしまった。あとはどのバッドエンドがよりマシか、支援を続けて膨大な犠牲が出してそれでも戦い続けてもらうか、降伏を呼び掛けて暴力による主権侵害を許すか、より筋が通ったバッドエンドを選ぶしかない。」


「少なくとも民主主義の政権が徹底抗戦するということであるなら、どんな結果になってもそれを援助しなければならないのではないか。それが、軍事力でなんとでもなるという考えの抑止にもなるのではないか?」(小泉悠発言「ロシア軍によるウクライナ侵攻」『NHKスペシャル』日曜討論、2022年2月27日)



これは民主主義を信奉する者なら「実に正当的な」見解だとみなすだろう。




われわれの大半は左項の選択肢をとっている。


ところでで小泉氏は同じ日曜討論で次のようにも言っている。



「ロシアはシリアやチェチェンでは無差別爆撃をしていた訳ですけど、今回は気を使ってやっている。それはウクライナ制圧後の統治への影響を考えていると思われるが、あまり上手く進軍できていないので、これから軍事攻撃を過激にエスカレートさせる可能性があり、それが恐い」(小泉悠発言「ロシア軍によるウクライナ侵攻」『NHKスペシャル』日曜討論、2022年2月27日)



究極の軍事攻撃の過激エスカレートとは何か。小泉悠は既に2月24日にこう言っている。


ウクライナ危機 ロシア全面侵攻 今後の展開は?国際社会の対応は?専門家・記者解説[2022/02/24]


(Q.NATO軍の軍事介入の可能性はありますか)

東大先端研専任講師・小泉悠さん:「現実的に考えて、非常に難しいと思います。ロシアを軍事力で止めにいくということは、最終的に核戦争になる可能性があります。私は毎年、ロシア軍の秋の大演習を見ていますが、途中で必ず戦術核を使いますし、最後は全面核戦争の演習をやってしめます。そのことはNATO側も重々理解していると思います。プーチン大統領は、フランスのマクロン大統領と会った後の記者会見で『ロシアと戦争したら核戦争だ』と言ってみせました。19日には実際に戦略各部隊の大演習をやっています。

NATOは恐らく、止めるというよりは、経済制裁でどれだけの罰をロシアに与えられるかに集中せざるを得ないフェーズに入ってしまったと思います」



小泉氏の否定しがたい正論に依拠するなら、世界の指導者をはじめとすると大半の人々は、先ほどの図の左項を選択することにより、プーチンによる核使用の可能性を高めているということが言える。


小泉悠は本日(2022/3/01 )、次のようにツイートしている。






これも実に正当的な「大いにありうべき」近未来予測だろう。「キエフを攻めあぐねたら一発ドカン」である。



マイケル・マクフォール(Michael Anthony McFaul、1963年10月1日 - )は、アメリカの政治学者であり、専門は、ロシア政治。2011年12月から2014年まで、ロシア駐在アメリカ大使を務めている。➡︎Putin 'Increasingly Unhinged,' May Not Negotiate 'Peaceful Outcome': McFaul, (Newsweek 2/27/22 )