僕が片仮名で「キミ」と書くときは、そこキミじゃないかも知れないよ、ひょっとして芥川の闇中問答の「お前」かもな |
或声 お前は俺の思惑とは全然違つた人間だつた。 僕 それは僕の責任ではない。 (芥川龍之介『闇中問答』昭和二年、遺稿) |
高橋悠治の「きみ」とかさ、《雨の朝きみは武満徹を思い出している。》 |
さあ、どうかね、キミってのは、例えばおバカな現代思想の書を読んで時間の無駄遣いをした20代の僕かもね。 いずれにせよ、ブログなんてのは嘘を書くもんさ。 |
日記というものは嘘を書くものね。私なんぞ気分次第でお天気まで変えて書きます。(円地文子発言ーー江藤淳『女坂』解説より) |
そもそも言語自体が嘘じゃないかい? |
言語は存在しない[le langage, ça n'existe pas. ](Lacan, S25, 15 Novembre 1977) |
象徴界は言語である[Le Symbolique, c'est le langage](Lacan, S25, 10 Janvier 1978) |
象徴界は厳密に嘘である[le symbolique, précisément c'est le mensonge.](J.-A. MILLER, Le Reel Dans L'expérience Psychanalytique. 2/12/98) |
言語はフィクションさ、 |
言語とは本来的に虚構である[le langage est, par nature, fictionnel](ロラン・バルト『明るい部屋』1980年) |
主体だってフィクションだよ、 |
「主体」は虚構に過ぎない。自我はまったく存在しない[Das »Subjekt« ist nur eine Fiktion: es gibt das ego gar nicht](ニーチェ遺稿1882ー1887年) |
ヨイコの出発点はここにしかないよ、 |
とにもかくにも、嘘を糧にしてわが身を養って来たことには、許しを乞おう。そして出発だ。Enfin, je demanderai pardon pour m'être nourri de mensonge. Et allons. ーーランボー「別れ Adieu」 |