傷が痛みはじめるときの反応は、各人各様で、たとえば作家の牧野信一は、その状況を、 「きゃっと叫んでロクロ首になる」 と、表現し、たしか広津和郎氏だったとおもうが、 「バカバカバカ、と小声で自分を罵る」 ということになる。〔・・・〕 キャッと叫んでロクロ首になることのない人間は、紳士ではない。(吉行淳之介『不作法のすすめ』1973年) |
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とっても懐かしいね、学生時代に読んで、いまは手元にはなく、ネット上で落ちている断片をつなぎあわせた引用であり、正確な引用かどうかわからないが。「きゃっと」と「キャッと」が混在してたりして。 いまでもしばしばあるんだな、これが。つい先日書いたことを読み返したりしても、ときに「キャッと叫んでロクロ首になる」。 |
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私はきのう書いたことをきょう読み直す、印象は悪い。それは持ちが悪い。腐りやすい食物のように、一日経つごとに、変質し、傷み、まずくなる。わざとらしい《誠実さ》、芸術的に凡庸な《率直さ》に気づき、意気阻喪する。さらに悪いことに、私は、自分では全然望んでいなかった《ポーズ》を認めて、嫌気がさし、いらいらする。(ロラン・バルト「省察」1979『テクストの出口』所収) |
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ーーって具合にね。
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