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2015年8月28日金曜日

宴のあと

「君たちは新しい主人を求めるている、やがて君たちはそれを得るだろう」Vous voulez un maître, vous l'aurez(ラカン、1968)

――おそらくもっと劣化した主人をね

これがラカンの主人の言説だ。


で、ラカンは左側の上下を逆転させ資本の言説という(しかも矢印の具合を変えたという見解もある)。


で、これはどうやって読むんだろう。

資本主義のディスクールを特徴づけるものは、排除(Verwerfung)、拒絶、象徴界の領野すべての外に拒絶することだ。何を拒絶するのか? 去勢を拒絶する。(ラカン、セミネールⅩⅨ 1972/1/6ーー「神の二度めの死」=「マルクスの死」

去勢を拒絶したら二者関係への回帰だな(母ー子)。

もしわれわれが「すべての動物は平等である」の時代に生きているのが本当ならば、これが必然的に意味するのは、差異の消滅である。権威は差異を基盤としているという事実の観点からは、この意味は、権威はどぶに嵌っているということである。われわれにとって不幸なことは、望まれた帰結――「平等と自由」が実現されるのは、不成功に終わっていることだ。そしてその代わりに、われわれは直面しているのだ、少なくともヨーロッパでは、たえず増えつづけるコーポラティズム、レイシズムとナショナリズムに。往年の権威の代わりに、われわれはいっそうの権力に遭遇する。権威と権力はなにか違ったものだ。

重要なことは、権力powerと権威authorityの相違を理解するように努めることである。ラカン派の観点からは、権力はつねに二者関係にかかわる。その意味は、私か他の者か、ということである(Lacan, 1936)。この建て前としては平等な関係は、苦汁にみちた競争に陥ってしまう。すなわち二人のうちの一人が、他の者に勝たなければいけない。他方、権威はつねに三角関係にかかわる。それは、第三者の介入を通しての私と他者との関係を意味する。

明らかなことは、第三者がうまくいかない何かがあり、われわれは純粋な権力のなすがままになっていることだ。(社会的絆と権威(Paul Verhaeghe)

この二者関係とは勝ち組、負け組をつくる新自由主義というシステムだ。

「帝国主義的」とは、ヘゲモニー国家が衰退したが、それにとって代わるものがなく、次期のヘゲモニー国家を目指して、熾烈な競争をする時代である。一九九〇年以後はそのような時代である。いわゆる「新自由主義」は、アメリカがヘゲモニー国家として「自由主義的」であった時代(冷戦時代)が終わって、「帝国主義的」となったときに出てきた経済政策である。「帝国主義」時代のイデオロギーは、弱肉強食の社会ダーウィニズムであったが、「新自由主義」も同様である。事実、勝ち組・負け組、自己責任といった言葉が臆面もなく使われたのだから。しかし、アメリカの没落に応じて、ヨーロッパ共同体をはじめ、中国・インドなど広域国家(帝国)が各地に形成されるにいたった。(柄谷行人 第四回長池講義 要綱


資本家の言説の具体的な解釈をめぐっては弱小ラカン派のいくつかの読みはあるが、どれもはっきりしない。あれだけラカンの概念を解釈しまくるジジェクでさえも資本家の言説に触れていない。

以下は、わたくしのとりあえずの読みだ。

王殺しのあったあとの主人とは、利益を追求する商売人たち$である。もちろん召使いなどいはしない。だがかつての王と同じように、どうやったら楽しむことができるか(どうやったら利益を得ることができるか)を、テクノロジーやノウハウS2に求める。そこでも同じように剰余aが生まれる。この剰余とはまさにマルクスの剰余価値(ラカンの剰余享楽(対象a))である。商売人の隠された真理のポジション(左下隅)にある主人S1は資本(貨幣)である(具体的には銀行であったり株主であったりするだろう)。生み出された剰余価値aは再投資されなければ事業は破綻する。こうして資本S1の無限の運動のサイクルが永遠に続く。ここではマルクスの「守銭奴」、あるいは価値形態論を想いだすべきだろう。(参照:王殺しの記憶喪失/ラカンの資本家のディスクール


で、なにが言いたいんだろう。

ーーきみたち、相手にする敵まちがってるんじゃないかい? これだけだね。


あんまりゴタゴタいいたくないね、もうすぐ宴の日(8.30)だからな。

で、宴の後には何があるんだろ?

@tokyoseijibu: 自民党の全7派閥が安倍晋三首相の総裁再選を支持しました。9月8日告示の総裁選は、安倍氏の無投票再選が濃厚です。東京新聞:安倍氏 再選確実 全派閥支持 無投票も:政治http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2015082802000128.html