第29小節目の嬰トからホに至る6度音程の箇所をわたくしは最も好むのだがーー極論をいえば、バッハの数多くの曲のなかの至高の箇所とくらいに感じている(とすれば言い過ぎであり、この29小節以降から最後までがわたくしにとって最も美しい断章だ)ーー、誰もいまだグールドのようにーーあるいはわたくしが弾くように、でもあるぜ?--弾いてくれない(とくに6度音程の最後のホの音をいかに弾くかでわたくしの好き嫌いはわかれる)。
アンジェラ・ヒューイットは、これまでそれほど好んでいなかったのだが(シツレイながら印象がわるいオバチャンだぜ)、この演奏は気に入ってしまった。やはり人は貌容で判断してはならぬ・・・
◆Bach WTK II Prelude and Fugue No 9 in E major BWV 878 Fugue - Hewitt
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冒頭のヴィデオは三十歳前後、レーザーディスクが流行りだしたころ、あの演奏がはいった何枚組みのLDを聴きたいがために、LD再生機を購入したことを思い出す。
さて本日はじめて聴くあとふたつのBWV878を貼り付けておく。わたくしはこれらの演奏をグールドの演奏と頭のなかで重ねて、気に入らないところは是正しながらまずは聴いているのだろう。それから離れて裸で聴くと気に入らないところがいくらか出てこないでもない。
ロザリン・テューレックは、ほとんど専門のバッハ弾きだけあって、とても魅力的な演奏だ。
◆BWV878 WTC 2-09 Prelude & Fugue in E Tureck 1953 mono
◆J.S.Bach: Fugue No.9 BWV 878 from Well-Tempered Clavier Book 2 [Emerson String Quartet]
◆Glenn Gould Bach Sinfonia No. 1 BWV787
ああなんと悦ばしいフーガだろう!
グールドの「シューベルト」と同じくらいに。
このエマーソン弦楽四重奏団は、一度目に聴いたときは瞠目したのだが、何度も聴いていると、アラ探しをしてしまうのだが、何が気に入らないというのか?、ーーまずは「間」なのだ。
ただし他のフーガの演奏のなかには新鮮な演奏がーーまだ?--たくさんある(21曲プレイリスト)。
ただし他のフーガの演奏のなかには新鮮な演奏がーーまだ?--たくさんある(21曲プレイリスト)。
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毎日半時間から一時間ほどバッハを弾く習慣があるのだが、最も何度もくり返して弾くのは、このBWV878のフーガと三声のハ長調のインベンションだろう(音階練習のかわりとしても)。
ああなんと悦ばしいフーガだろう!
グールドの「シューベルト」と同じくらいに。