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2021年9月13日月曜日

女性の人権等のカードによる緩慢な公開処刑

 

Aisa Kiyosue@gorbeirani 〔・・・〕女性の人権や自由等をカードに、資金凍結までする。国際社会は自分たちがアフガン人に対し、緩慢な公開処刑を今実行していることを認識すべき。(20210913日)


ーーといっているのは、帝国主義的フェミニズム」(Imperial Feminism)をめぐっての論文の執筆者清水愛砂さんだ。





過剰な言い方だろうか? 私は全面的に受け入れる。


と同時に、次のものも受け入れている。


過去には公開処刑と拷問は、多くの観衆のもとで行われた。これは、ほとんどの我々のなかには潜在的な拷問者がいるということだ。 (ポール・バーハウPaul Verhaeghe, THREE ESSAYS ON DRIVE AND DESIRE, 1998)

人はよく頽廃の時代はより寛容であり、より信心ぶかく強健だった古い時代に対比すれば今日では残忍性が非常に少なくなっている、と口真似式に言いたがる。しかし、言葉と眼差しによる危害や拷問は、頽廃の時代において最高度に練り上げられる[aber die Verwundung und Folterung durch Wort und Blick erreicht in Zeiten der Corruption ihre höchste Ausbildung](ニーチェ『悦ばしき知』23番、1882年)


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アフガニスタンに残った日本人「自由の防衛を進める」UNHCR人道支援の最前線

今の状況でできる限りのことを難民支援にかける思い 2021911

武装勢力タリバンが政権を掌握したアフガニスタンで、今も現地にとどまり人道支援活動を続けるUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の日本人職員 森山毅さんが202199日、報道各社の取材に応じた。


混乱を恐れアフガニスタンから退避する人々とは対照的に、森山さんは現地に残り、難民支援の仕事を全うする覚悟だ。アフガニスタンがどう変わるかが、世界に影響すると考えている。重要なのは「今の環境でどこまで出来るのか」であり、そのためにできるだけのことをしたいと語る森山さん。そのインタビューを詳報する。

〔・・・〕

銀行が機能せず市民生活に影響

――カブール国際空港周辺や市内の現状と生活経済面の変化について


森山毅さん:

今いるのは飛行場から1キロメートル以内のところだ。当時は銃声や爆発音が聞こえたが、今はない。少し前、パンジシール(反タリバン勢力が拠点としている地域)の制圧について勘違いした人が空に向けて銃を撃ったということもあったが、空港周辺も人の数は減ってきている。問題は銀行が機能していないことだ。雇用の問題を含めて経済は逼迫している。国境はトラックの行き来は出来ているが、その数が減ってきている。物資が減ってインフレが起きているところもあるのかもしれない。大きな問題は銀行が機能していないことで、1週間に200ドルしか下ろせないとも聞く。

〔・・・〕

アフガニスタンに留まる理由

――この危険性が高まる状況下で仕事にあたる心情について

森山毅さん:

この仕事を全うしようと自分でここに残るということを決めてやっている。僕としては難民の仕事を23年ほどやってきて、本当にこの仕事というのが「頂点」というとおかしいが、アフガニスタンというのは難民の仕事に関して数ある中のメインの国だ。実際にアフガニスタンがどう変わっていくかということが世界的に影響すると思う。


今何が難しいかというとやはりテロリストだと思うが、タリバンが政権を取った後、実際に住んでいる方がどう生活できるのかというところは社会がまとまっていく基盤だと思う。やはり基本は女性であり、家族の中の安定が大事だと僕は思っていて、女性が仕事できないという状況ではうまくいかない。


社会基盤を作っていくことが成功しなければ難民がこれからどんどん増えていくと思うし、だからこれはここに留まってやる、というのが普通の流れというか僕としては全然違和感がない。何だろう・・・自分が仕事をしてきて、これを仕事としていなかったら今まで何をやっていたのかな、というのはあって。「今の環境でどこまで出来るのか」というのが今まで仕事をやってきていちばん重要な部分で、だから自分としてもできるだけやりたいな、というのが自分の心情だ。





元国連アフガン特別ミッション政務官・田中浩一郎氏インタビュー#2 高木徹 

20210911 

高木 8日に発表されたタリバンの「組閣」の内容をどう見ていますか? 


田中 まだ最終承認でないと示すためか大臣「代行」という言い方ですが、正直言って、それを見ると行政機構としては機能するとは思えません。そもそも、字が読めるかどうかも分からないようなメンバーがあてがわれていますから。


高木 以前からタリバンには「強硬派」と「穏健派」がいて、表に出てくるのは「穏健派」だが、結局は「強硬派」が力を持っていると捉えられてきました。 


田中 「強硬派」というよりは、私は「武闘派」と呼んでいます。力がすべての世界、いわ ヤクザの世界ですから。米軍を追い出したいま、その「武闘派」の意見が強いことは間違いありません。 


今回「首相」になったアフンド師は、前回の政権では外務次官から外務大臣になった人で、私 10回以上会っていますが、彼の口から教条的な原則論以外のことを聞いたことがありません。いまよくメディアに登場しているバラダル師も、「武闘派」として鳴らしていました。今回の組閣では副首相という微妙な役職ですし、米軍が撤退した以上、タリバンにとってこれまで彼がやってきたようなアメリカとの交渉はもう必要がないということでしょう。  


副官の一人だったハッカーニ師が内務大臣というのはブラックジョークのように思えます。 彼はいわば狂犬のような存在です。アルカイダともつながっていると言われますし、これまで国内でも爆破テロとか暴力行為をやってきていた人が、これからは治安の維持を担当するというのですから。 


創設者オマル師の息子で今回国防大臣になったヤクブ師は知り合いではありませんが、少なくとも軍事委員会のヘッドだったということは、話し合いで物事を解決しようとする人ではないでしょう。つまりタリバンの上層部は「武闘派」によって占められている。結局、タリバンは戦闘集団なのです。戦闘で相手を打ち負かすことを、いの一番に考えている。  


その彼らの第一のミッションは外国勢力を駆逐すること。第二のミッションは、アフガニスタンをシャリーア(イスラム法)に基づくイスラム国家に戻すことです。 


軍事的緊張状態が続けば、第一のミッションも残り続け、「武闘派」の意見が常に強く出る。 緊張状態がなくなれば様子は変わるはずですが、国際的なタリバン嫌い、イスラム嫌いの脅威にさらされていると彼らが感じる限り、必然的に「武闘派」が主導権を握る状態が続くと思い ます。 


「武闘派」から主導権を奪うためには、国際社会がタリバンに対して融和的になり、タリバン内の融和論を優勢にする必要があるのですが、タリバンはイスラム法に基づいた国づくりという方針は変えられませんし、国際社会も女性をはじめ人権問題を見逃すわけにはいかない。その結果、「国際社会からつまはじきにされている」という彼らの被害妄想も止まないので、 結局は「武闘派」が力を持ち続けることになるでしょう。