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2023年10月10日火曜日

1967年に戻すこと

 



一言で言えば、こうだろうよ。


◼️新たなガザ戦争: 中東危機の引き金になるのか、ハマスの狙いは何か/最悪のシナリオは? 川上泰徳 10/10(火) 

結局、1967年から50年以上続くパレスチナ占領を終わらせない限り、暴力が終わらないという自明の現実に立ち返るしかない。












………………



「分離壁」は,西岸地区再占領作戦が始まった2002年に着工された。高さ8メートルのコンクリート壁,壕,有刺鉄線,通電柵,無人地帯,あるいはこれらの組み合わせからなり,監視塔と鉄扉がある。出入りの際はイスラエル兵のチェックを受ける。 「分離壁」は,マアレ ・ アドミーム,アリエルなど主要な入植地を取り込むため,グリーン・ライン(1967年の軍事境界線)から西岸地区に深く切れ込み,場所によっては,パレスチナ人の市町村全体を取り囲む。当初は,自国民を「テロリストの攻撃から守る」ためだとされたが,間もなく,イスラエルは,この「壁」で取り込んだ地域をイスラエル領として併合する意図であることを明らかにした。

提訴をうけた国際司法裁判所は,2004年7月,グリーン・ラインより西岸地区内にはいった「壁」の建設は違法だとして,壁の撤去と,住民が被った損害への補償を勧告した。同月26日には,イスラエルに国際司法栽のパレスチナ問題と国連勧告に従うよう求めた国連総会決議が150-6-10で採択されたが) ,イスラエルはこれらを無視して「壁」建設を続行した。 「壁」は2010年夏までに520kmが完成,計画通りだと,最終的には全長810kmで,西岸地区の46%をイスラエル側に取り込むことになる。(パレスチナ問題と国連 ─最終講義(2011年12月22日)の記録─奈良本英佑http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/6991/1/79-4naramoto.pdf)





◆中東和平を分断する分離壁 ――イスラエル・パレスチナ間自治交渉と西岸地区の将来的選択肢――飛奈裕美
国連のデータによれば、分離壁 ・ フェンスの建設によって、23 万 7000 人のパレスチナ人がグリーンラインと壁・フェンスの間に挟まれて西岸地区の他の地域から孤立する。また、16 万人のパレスチナ人が、西岸地区側に置かれながらほぼ完全に壁・フェンスに囲まれて孤立する。これらの孤立した地域では、住民の移動が大幅に制限され、日常生活に大きな支障がもたらされている。イスラエルは、 これらの孤立した地域に住むパレスチナ人に対して、 壁 ・ フェンスに設置されているゲートを定期的に開けることによって農地や他の西岸地域へのアクセスを可能にし、日常生活への支障がないよう措置をとると主張している。しかし、多くの地域では軍がゲートを閉鎖し、農民の農地へのアクセスや、住民の他の西岸地区にある職場、学校、医療施設へのアクセスは大きく妨げられている。現在でも西岸地区で適用されているオスマン朝時代の法律は、3 年間耕作されなかった土地は政府によって接収されると定めている。イスラエルは、 この法律を適用することによって、 壁 ・ フェンスによってパレスチナ農民がアクセスできなくなった農地を「合法的」に接収し国有化することが可能なのである[Reinhart 2006: 168] 。  

孤立した地域におけるこのような生存手段の剥奪は、パレスチナ住民の「民族浄化」を促すものだとレインハルトは主張する。農地へアクセスできず収入源を失った農民、職場・学校・医療サー ビスへのアクセスを制限された住民は、他の西岸地域に生活の基盤を移さざるをえず、孤立した地域を去ることを強制されるだろうというのである。そして、このようにしてイスラエルと西岸地区の境界線に沿った一部の地域で、 パレスチナ人の 「民族浄化」が進むだろうと推測している [Reinhart 2006: 169] 。実際、2003 年に壁・フェンスが完成したカルキリヤでは、パレスチナ人の「浄化」が既に始まっているという。カルキリヤは従来、経済と農業の中心地として繁栄していた。しかし、 分離壁はカルキリヤをほぼ完全に囲い込み、他の西岸地域と結ぶ唯一のゲートはイスラエル軍に よって完全に支配されている。孤立したカルキリヤからは、既に多くのパレスチナ人が生存の手段 を探すために他の西岸地区の町へ移住した[Reinhart 2006: 169–170] 。