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2024年7月4日木曜日

米ドル支配の時代の終わり

 



SCOとあるのはこの両日会議がおこなわれている上海協力機構のこと。



とはいえ不安定材料は時に不穏な動きを見せるインドだろうね、




何はともあれ米ドル支配の時代は終わったのだろう。つまり脱ドル化、あるいは基軸通貨ドルの崩壊はもはや歴然としている。

以下はマイケル・ハドソンの、昨年の6月7日だから一年前の発言。


◾️Michael Hudson on the US Economy – Surprisingly Resilient or Potemkin Village?

  07.06.2023

ーーバイデン政権に、 脱ドル化のプロセスを止めるための、直接的な軍事介入以外の手段はありますか?

Dimitri Simes Jr. : Does the Biden administration really have any instruments at its disposal other than direct military intervention to try and stop the process of de-dollarization?

マイケル・ハドソン)いいえ、 今のアメリカには軍事介入しかありません。硬直しています。アメリカは長年、 核兵器に多大な投資をしてきたため、 徴兵制を復活させ、 武装した軍隊を他国に侵攻させることはできません。 ベトナム戦争の時のように、学生の抗議が起きるからです。2015年の米国支援のクーデター後にウクライナ人がやってきているような自殺行為の戦争を、 他の国にもやらせることができない限り、 米国が本当に軍事的に戦うことができるのは核兵器だけなのです。しかし、他の国をウクライナのようなことをやらせるのは難しそうだ。 台湾人がそんなことをやりそうにない。 日本人だけがやる可能性がある。

Michael Hudson : No, that’s all that America has now. It’s muscle-bound because for years America has put all of its money into atomic war. So America can’t reintroduce a draft and have an army invading another country because you’d have student protests like you had in the Vietnam War. So all that America really has to fight with militarily is atom bombs. Unless it can get other countries to commit suicide, like the Ukrainians are doing after the American coup d’etat of 2015. But it looks like it’s going to have difficulty having other countries follow Ukraine. And I don’t see the Taiwanese doing this, only the Japanese might be willing to do this.



次は昨年の11月。


◾️ドル覇権の愚かな運命

マイケル・ハドソン 2023年11月26日

The Dumb Luck of Dollar Hegemony

Michael Hudson, November 26, 2023

歴史家は、バイデンはおそらく現代史上最悪の大統領であり、オバマよりもひどいと言うだろう。 しかし実際はバイデンの問題ではない。というのも、バイデンは、彼の背後にいるディープステート全体のフロントマン、ネオコン・グループ全体のフロントマンに過ぎないからだ。そのまさにネオコンのメンタリティが、好戦的な金融資本主義の最後のあがきであり、米国全体の計画を自滅させるものだ。 ロシアや他の国々を切り刻み、分割し、征服する代わりに、彼らはロシアではなくアメリカを孤立させた。 ドル圏とともにヨーロッパを孤立させた。 そして、世界の他の国々全体を統合し、彼らには全く異なる方向にある共通の未来があることを悟らせたのだ。

I think historians will say, well, Biden has been probably the worst president in modern history, even worse than Obama. But it really isn’t Biden because Biden is just a front man for the whole deep state, for the whole neocon group behind him. And it’s really the neocon mentality, the sort of the last gasp of militant finance capitalism that is self-destructive of this whole American plan. And instead of cutting up, dividing and conquering Russia and other countries, they’ve isolated the United States, not Russia. They’ve isolated Europe along with the US dollar area. And they’ve integrated the whole rest of the world realizing they have a common future that lies in quite a different direction. 






基軸通貨については、岩井克人の説明を引用したことがあるが(参照)、ここではそこからいくらを再掲しておこう。

……基軸国とは一体どういう意味なのでしょうか?ドルは世界の基軸貨幣です。だが、それは世界中の国々がアメリカと取引するためにドルを大量に保有しているという意味ではありません。ドルが基軸貨幣であるとは、日本と韓国との貿易がドルで決済され、ドイツとチリとの貸借がドルで行われるということなのです。アメリカの貨幣でしかないドルが、アメリカ以外の国々の取引においても貨幣として使われているということなのです。(岩井克人「アメリカに対するテロリストの誤った認識」朝日新聞2001年11月5日夕刊)


基軸通貨体制とは、どの通貨であれ、ひとつの通貨が基軸通貨の地位を独占しはじめて安定(balance)するのである。複数の基軸通貨が競合している状態とは、言葉の真の意味での不安定(unbalanced)な状態であり、複数の基軸通貨の勢力均衡などありえない。事実、歴史は、複数の基軸通貨が競合していた時代がいかに不安定な時代であったかを教えている。(岩井克人『二十一世紀の資本主義論』2000年)


基軸通貨というのは、一度、基軸通貨になると、かなり長い間、実体と離れて流通する。ただ、ドル基軸通貨体制が永久に続くかというと、アメリカがトランプ大統領のもと、あまり自己中心的に動くと、どこかで破綻する可能性はゼロではない。たとえば、選挙目当ての景気浮上策でドルの供給をどんどん増やしていますが、ドルの価値が乱高下したりすると、日本とブラジルが貿易するときに、ドルではなく円にしておこうとか、そういうふうに考え始めるかもしれない。しかも、大統領の意向で貿易や金融の規制が恣意的に行われるリスクが増えていて、その点で中国と少し似てきている。いくつかの国が考えているうちはいいが、たくさんの国が同時に考え始めたらバタバタといく可能性は皆無ではありません。


その場合、すぐに新しい基軸通貨ができるかは分からない。19世紀後半、イギリスの国力が落ちて、とっくにアメリカに抜かれていたけど、第1次世界大戦まではポンドが基軸通貨として使われ続けていた。第1次世界大戦でほとんどポンドの基軸通貨としての息の根が止められ、基軸通貨がない混乱状態が続いて、それが世界恐慌の一つの原因になったといわれている。第2次世界大戦でヨーロッパが疲弊し、アメリカが圧倒的な国力を持つことになって、ドルが遅ればせながら基軸通貨になった。それを追認したのが、1944年のブレトンウッズ会議です。もしドルが基軸通貨ではなくなったとしても、たとえ中国経済が超巨大になったとしても、すぐにパッと人民元が基軸通貨になるとは限りません。(岩井克人『貨幣論』著者が説く「お金は信用がすべて。だからリブラは最悪だ」2019年)



ドルの基軸通貨崩壊は確かだとしても、よほど上手く移行しない限り、世界恐慌が起こるんじゃないかね。


世界は日本の通貨危機という爆弾を抱えていることもあるしな。




いま若い人たちや壮年期の人たちは実に不憫だね


近代の資本主義至上主義、あるいはリベラリズム、あるいは科学技術主義、これが限界期に入っていると思うんです。五年先か十年先か知りませんよ。僕はもういないんじゃないかと思いますけど。あらゆる意味の世界的な大恐慌が起こるんじゃないか。

その頃に壮年になった人間たちは大変だと思う。同時にそのとき、文学がよみがえるかもしれません。僕なんかの年だと、ずるいこと言うようだけど、逃げ切ったんですよ。だけど、子供や孫を見ていると不憫になることがある。後々、今の年寄りを恨むだろうな。(古井由吉「すばる」2015年9月号)



私のような齢だと、死ぬ前に歴然の分水嶺を体験できて、いくらかシアワセ感があるけどね


我々は歴史の分水嶺にいる。この先には第二次世界大戦の終結以来、恐らく最も危険で予見できない、とはいえ最も重要な10年間が待っている[We are at a historical crossroads. We are in for probably the most dangerous, unpredictable and at the same time most important decade since the end of World War II.]・・・

(プーチンVladimir Putin, Valdai International Discussion Club meeting, October 27, 2022)




なんたって吸血鬼の舞踏会の最期の宴をニヤニヤして眺めることがこの今できるんだからさ



◾️プーチンーードミトリー・キセリョフによるインタビュー

Vladimir Putin answered questions from Dmitry Kiselev.March 13, 2024 The Kremlin, Moscow

肝心なのは、このいわゆる「黄金の10億人」が、何世紀にもわたって、500年もの間、他の民族に寄生してきたということだ。〔・・・〕彼らは何世紀にもわたって、腹を人肉で満たし、ポケットを金で満たしてきた。しかし、彼らは、吸血鬼の舞踏会が終わりつつあることに気付かなければならない。

The point is that this so-called "golden billion" has been practically parasitising on other peoples for centuries, 500 years.(…) They've spent centuries filling their bellies with human flesh and their pockets with money. But they must realise that the vampire ball is ending.

Она заключается в том, что этот так называемый золотой миллиард на протяжении веков, 500 лет, практически паразитировал на других народах.(…) Они привыкли столетиями набивать брюхо человеческой плотью, а карманы - деньгами. Но они должны понять, что бал вампиров заканчивается