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2025年12月12日金曜日

「アメリカの道具」は自らが使われる時を選ぶことはできず、また捨てられる時を選ぶこともできない




高市台湾発言は計算された一歩」や高市は操り人形」などでも掲げたが、このところアンジェロ・ジュリアーノ(Angelo Giuliano)が日本についての辛辣な分析発言を連発している。その彼の直近の記事を乗松聡子さんが訳しているのでここに貼り付けておこう。





Satoko Oka Norimatsu 乗松聡子/ Peace Philosophy Centre

@PeacePhilosophy

ジュリアーノ氏の記事の訳:


オピニオン|日本:アメリカの恒久的な駒――国家はいかにして帝国の再利用可能な道具となったか


アンジェロ・ジュリアーノ

2025年12月10日 13時29分


アンジェロ・ジュリアーノ記

超大国が「同盟国」をいかに扱うかを知ろうとするなら、条約や演説を見る必要はない。日本を見ればよいのである。ほぼ一世紀にわたり、アメリカは日本を「地政学的な道具」の世界で最も明瞭な実例としてきた。すなわち、日本はアメリカの利益に奉仕するために、築かれ、破壊され、そして作り替えられてきた国である。これは対等な協力関係ではない。支配の循環である。そして中国との緊張が高まるなか、アメリカは再び最も信頼できる道具に手を伸ばしているのである。


物語は、アメリカにとっておなじみの作戦手帳から始まる。第二次世界大戦前、アメリカの有力な産業資本家や銀行家は、台頭する日本をアジアでの有用な牽制役と見なしていた。彼らは日本に技術、投資、戦略的な後押しを与え、日本帝国を強力な地域大国へと育て上げた。日本はアメリカの非公式な前方基地であり、ある歴史家が「先進的帝国主義の前哨」と呼んだように、西洋の影響力を投射し、他の競争相手を抑えるための存在であった。しかし、日本自身の帝国的野心がいずれアメリカのそれと衝突すると、関係は反転した。苛烈な太平洋戦争において、アメリカは日本を単に打ち負かしたのではなく、その軍事力を消し去り、都市を焼夷弾で破壊し、二発の原子爆弾を投下して無条件降伏を強制した。目的は勝利ではなく、完全な屈服であった。1945年までに、日本は単に敗北したのではなく、完全に打ち砕かれ、徹底してアメリカの支配下に置かれたのである。


ここから本当の計画が始まった。日本が伏した状態で、アメリカは破壊者から再建者へと転じた。ただし条件は一つ、絶対的忠誠である。ダグラス・マッカーサー将軍が率いた戦後占領は、革命的なプロジェクトであった。アメリカは日本の軍隊を解体し、平和憲法(第9条)を書き換え、経済と政治を、恒久的で従順な同盟国となるよう再編した。日本はアジアにおけるアメリカ権力のための「不沈空母」とされ、ソ連、そして後には中国を封じ込めるための完璧な基地とされた。戦後数十年の経済「奇跡」はアメリカによって積極的に育まれ、日本は技術・産業大国へと変貌した。しかし、その成功には見えない鎖が伴った。日本の外交、安全保障、そして主権そのものがワシントンに貸し出され続けたのである。


冷戦は、この主人と道具の関係を固定化した。日本はアメリカのアジア防衛戦略の要となり、大量の米軍と基地を受け入れた。保護の見返りとして、日本は独自の外交政策の権利を放棄した。ソ連崩壊後、多くの者が日本の役割は終わったのではないかと考えた。しかし、帝国は常に道具の新たな用途を見いだす。中国が歴史的躍進を遂げると、アメリカの戦略家は古い作戦手帳を引っ張り出した。「中国脅威論」は、日本を厳重に管理し続ける口実となり、より対立的な役割を押し付けるための新たな根拠となった。


現在、われわれはこの循環の最新にして最も危険な章が展開するのを目撃している。アメリカはアジアでの支配を維持するため、日本を対中の主要な軍事・政治的楔として明確かつ攻撃的に利用している。日本は防衛費の大幅増額、敵基地攻撃能力の取得(これは平和憲法を破綻寸前まで引き伸ばす行為である)、そしてクアッドのような米主導の軍事枠組みへの完全統合を迫られている。目的は、日本を潜在的な衝突の最前線に配置し、東シナ海を「踏み絵」にすることである。


この支配の継続を象徴する最も端的な存在は、首相官邸に座している。現首相・高市は単なるアメリカの同盟者ではない。彼女は数十年にわたるこの体制が生み出した政治的産物である。彼女は自民党という、戦後のほとんどを支配してきた保守の巨大組織に属している。そして自民党の権力の源泉は謎ではない。それはCIAによる最も成功し、持続的な秘密工作の一つに根ざしている。1950~60年代、CIAは莫大な秘密資金を自民党に流し、左派勢力を抑圧し、東京に常にワシントンと歩調を合わせる政府を確保したのである。現代の自民党首相が、対中対決という米国脚本の政策を熱心に遂行している姿は、その70年にわたる投資の結晶にほかならない。彼女は国家のために自由に選択を行う主権者ではなく、アメリカの資産を管理する者である。


これこそ、日本の歴史が示す帝国の冷酷で反復的な論理である。アメリカの外交政策エリートとその寡頭勢力にとって、国家は「パートナー」ではなく「資産」である。それは投入され、消費され、次の任務のために再調整される道具である。このパターンは戦慄するほど一貫している。


構築:有用な牽制役として国家を育てる。

破壊:権威に挑戦したり目的が変わったりすれば、徹底的に叩き潰す。

再編:完全に支配下に置いて再建し、エリートと制度を自らの網に組み込む。

再利用:次の地政学的争いで、管理された代理として再び投入する。


日本はこの四段階すべてを経験し、現在は第四段階の深部にある。その経済はソ連を疲弊させるために利用され、その領土はアメリカが太平洋で軍事的優位を確保する鍵を握り、そして今や社会そのものが新たな冷戦のために動員されつつある。


日本の一世紀にわたる「アメリカの道具」としての歩みが示す最終的な教訓は、欧州からインド太平洋に至る他国にとって陰鬱なものである。アメリカ帝国の設計者にとって、恒久的な友情など存在せず、あるのは恒久的な利益だけである。同盟はきょうだい愛の絆ではなく、支配の梃子である。ある国が今日「不可欠な同盟国」であっても、翌日には戦略的競争相手となりうる。しかし、日本のように完全に屈服させられた国には、その「翌日」は存在しない。あるのは永続する奉仕の現在だけである。アジアで新たな衝突の太鼓が鳴り響くなか、日本は「何が起こりうるか」の警告ではなく、「大国が自国の安全保障のためなら他国の主権を代償にする」と決めたとき何が起きるかを示す生きた設計図となっている。道具は、どれほど磨かれ、どれほど強力であろうとも、自らが使われる時を選ぶことはできず、また捨てられる時を選ぶこともできないのである。




で、こうだとして、では日本はどうしたらいいんだろ?


まずは脱米入BRICSすることだよ、この際。例えばマルウェアなど恐れず腹を括ってはやいとこ。


オリバー・ストーン監督の映画「スノーデン」の中で、米国によって、送電網やダム、病院などの社会インフラに不正プログラムが仕込まれ、もし日本が同盟国でなくなったら不正プログラムが起動し、日本は壊滅するとスノーデンが証言するシーンがあります。


私は、アメリカはそういうことをする国だと思います。いや、そういうことを考えて実行する人達が存在する国だということです。このような最悪の事態も想定しなければなりません。(山岡鉄秀「賛否両論 岸田しゃもじ外交‐日本人が知っておくべき事実」2023/03/27

YouTube:米国の同盟国をやめた瞬間に、CIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!?スノーデン証言の真偽は⁉︎ーー映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督に岩上安身が直撃質問! 2017.1.18


このまま属国やり続けて「自殺」するよりは、マルウェアで「壊滅」したほうがマシだろ。



◾️マイケル・ハドソン「軍を通じてのドルの海外送金」2023年6月12日

 Sending Dollars Abroad … via the Military By Michael Hudson, June 12, 2023

ーーバイデン政権に、 脱ドル化のプロセスを止めるための、直接的な軍事介入以外の手段はありますか?

マイケル・ハドソン)いいえ、 今のアメリカには軍事介入しかありません。硬直しています。アメリカは長年、 核兵器に多大な投資をしてきたため、 徴兵制を復活させ、 武装した軍隊を他国に侵攻させることはできません。 ベトナム戦争の時のように、学生の抗議が起きるからです。2015年の米国支援のクーデター後にウクライナ人がやってきているような自殺行為の戦争を、 他の国にもやらせることができない限り、 米国が本当に軍事的に戦うことができるのは核兵器だけなのです。しかし、他の国をウクライナのようなことをやらせるのは難しそうだ。 台湾人がそんなことをやりそうにない。 日本人だけがやる可能性がある

Dimitri Simes Jr. : Does the Biden administration really have any instruments at its disposal other than direct military intervention to try and stop the process of de-dollarization?

MH: No, that’s all that America has now. It’s muscle-bound because for years America has put all of its money into atomic war. So America can’t reintroduce a draft and have an army invading another country because you’d have student protests like you had in the Vietnam War. So all that America really has to fight with militarily is atom bombs. Unless it can get other countries to commit suicide, like the Ukrainians are doing after the American coup d’etat of 2015. But it looks like it’s going to have difficulty having other countries follow Ukraine. And I don’t see the Taiwanese doing this, only the Japanese might be willing to do this.



腹を括くれば、米国債売り払って、アメリカ潰す手もあるがね。


アメリカは世界の基軸通貨としての地位を維持することはできないだろう。〔・・・〕

私たちは今、一種の債務スパイラルに陥っている。残念ながら、トランプと共和党、そして民主党も同じことをやっている。彼らは、すでに負債が大量に流出しているときに、減税に心血を注いでいる。ワシントンでは誰も真剣に取り組んでいない。誰も本当の数字や予算を見ようとしない。彼らは富裕層の寄付者に目を向け、寄付者は減税しろと言う。そして彼らは、2年後には政権に就きたいので、皆さんの選挙資金が必要です」と言う。

だから基本的に、私たちは借金スパイラルに陥っている。同時に、あなたが言ったように、ドルの役割は縮小しつつあり、私たちはそれに反対するが、それを止めることはできない。

the United States will not remain the key currency of the world.(…) 

So we’re in a kind of debt spiral right now. And unfortunately Trump and the Republicans, and I’ll add in the Democrats too, because they do the same thing. They have their hearts set on tax cuts at a time when we’re hemorrhaging debt already. Nobody’s serious in Washington. Nobody looks at real numbers, no one looks at real budgets. They look to their donors and the donors say, cut my taxes. And they say, absolutely, we want to be in office two years from now. We need your campaign contributions.

So basically we’re in a debt spiral at the same time that the role of the dollar, like you said, is going to diminish and we’re going to rail against it, but we’re not going to stop that.

(ジェフリー・サックス 「ドルの最後の10年?中国の台頭とアメリカの没落」2025419

Jeffrey Sachs’ interview on The Jay Martin Show episode titled “The Dollar’s Final Decade? China’s Rise vs. America’s Fall”, [April 19, 2025].


「ドルが基軸通貨でなくなれば、世界中のドルが還流し、米国はあっという間にハイパーインフレとなります。また従来の安全保障体制を解体すれば、同盟国への輸出に支えられた武器産業は傾き、軍事技術の民生転用で優位性を保っていた先端技術も低迷するでしょう。ソフトパワーも落ち、世界はハリウッド映画をだんだん見なくなる……。基軸国でなくなるということは、実体以上に持っていた影響力が消え、特権的地位がもたらしてきた様々な利益を失うということ。実際に米国債が売られ長期金利が上昇し始めたことでウォール街が慌て、米政権内部もようやく自分たちの立場に気付いた節があります。関税政策をめぐる最近の迷走は、それを物語っているように見えます」(岩井克人さんが語る米国の自壊 「基軸国」を失う世界で日本の使命は 聞き手・石川智也2025年5月21日



これらは「世界の常識」だよ、日本のムラビトが知らないだけでね、


◾️クリス・ヘッジズ「 帝国は自己破壊する」2025年2月11日

Chris Hedges: The Empire Self-Destructs February 11, 2025

帝国の解体によってドルが世界の準備通貨でなくなると、米国は国債を売却して巨額の赤字を返済することができなくなる。米国経済は壊滅的な不況に陥るだろう。

これは市民社会の崩壊、特に輸入品の価格高騰、賃金の停滞、高失業率を引き起こすだろう。少なくとも750の海外軍事基地と肥大化した軍隊への資金提供は維持不可能になるだろう。


帝国は瞬く間に縮小し、 帝国はそれ自体の影となる。 ハイパーナショナリズムは、抑えきれない怒りと広範な絶望に煽られ、憎悪に満ちたアメリカンファシズムへと変貌を遂げるだろう。

Once the dollar is no longer the world’s reserve currency, something the dismantling of the empire guarantees, the U.S. will be unable to pay for its huge deficits by selling Treasury bonds. The American economy will fall into a devastating depression. 

This will trigger a breakdown of civil society, soaring prices, especially for imported products, stagnant wages and high unemployment rates. The funding of at least 750 overseas military bases and our bloated military will become impossible to sustain. 


The empire will instantly contract. It will become a shadow of itself. Hypernationalism, fueled by an inchoate rage and widespread despair, will morph into a hate-filled American fascism.



◼️リチャード・ウルフ&マイケル・ハドソン「なぜアメリカはもはや自らの未来を築かないのか」

Why America No Longer Makes Its Own Future By Michael Hudson, July 7, 2025

リチャード・ウルフ:すべてが終わりに近づいている。それが帝国終焉の意味だ。真に興味深い問いはーーおそらく私たちが取り上げるべき問いはーー、米国資本主義帝国の終焉が、資本主義そのものの終焉を意味するのか、それともそうではないのか、ということだ。それは、中国が次の帝国になるのか、それとも中国が、国際連盟や国連の理想であり、暴力ではなく法の支配による平和を望む人々が目指した多民族共同体をもたらすのか、という問いのようなものだ。

RICHARD WOLFF: All of that is coming to an end. That's what it means to be at the end of an empire. The really interesting question, which maybe we should take up, is whether the end of the U.S. capitalist empire, is it the end of capitalism itself? Or not? That's like asking: Is China the next empire? Or will the Chinese bring us a multinational community, which was after all the ideal of the League of Nations, the United Nations, and people who wanted to see peace as the rule of law, rather than violence, which is what we have now.




ま、でも米国の道具は日本だけじゃないから「安心」しろよ、今のヨーロッパ指導層を見ればすぐにわかる通りだ(とはいえ日本は最も扱いやすい道具なんだろうがね)。


◼️マイケル・ハドソン「米国の新自由主義的金融化政策 vs. 中国の産業社会主義

America’s Neoliberal Financialization Policy vs. China’s Industrial Socialism

By Michael Hudson, April 14, 2021

「古代帝国のより残酷な時代を彷彿とさせる用語で言えば」とブレジンスキーは説明している、「帝国の地政学における三つの重要な責務は、属国間の共謀を防ぎ、安全保障上の相互依存関係を維持すること、属国を従順かつ保護された状態に保つこと、そして蛮族の結束を防ぐことである」。


第二次世界大戦でドイツと日本を破り、彼らを属国に転落させた後、アメリカの外交は1946年までにイギリスとその帝国領ポンド圏を急速に属国に転落させ、その後、西ヨーロッパの残りの国々とその旧植民地も続いた。次のステップは、ロシアと中国を孤立させつつ、「蛮族の結束を防ぐ」ことだった。もし両国が結束した場合、「アメリカは、アメリカをユーラシアから追い出し、ひいてはアメリカの世界大国としての地位を脅かそうとする地域連合にどう対処するかを決断しなければならないかもしれない」とブレジンスキーは警告した。


2016年までに、ブレジンスキーはこれらの目標を達成できなかったことでパックス・アメリカーナが崩壊しつつあると見ていた。彼は、アメリカ合衆国が「もはや世界的な帝国主義国家ではない」と認めた。これが、中国、ロシア、そしてイランとベネズエラに対するアメリカの敵意を強めている原因である。

“To put it in a terminology that harkens back to the more brutal age of ancient empires,” Brzezinski explained, “the three grand imperatives of imperial geostrategy are to prevent collusion and maintain security dependence among the vassals, to keep tributaries pliant and protected and to keep the barbarians from coming together.”

After reducing Germany and Japan to vassalage after defeating them in World War II, U.S. diplomacy quickly reduced the Britain and its imperial sterling area to vassalage by 1946, followed in due course by the rest of Western Europe and its former colonies. The next step was to isolate Russia and China, while keeping “the barbarians from coming together.” If they were to join up, warned Mr. Brzezinski, “the United States may have to determine how to cope with regional coalitions that seek to push America out of Eurasia, thereby threatening America’s status as a global power.”

By 2016, Brzezinski saw Pax Americana unravelling from its failure to achieve these aims. He acknowledged that the United States “is no longer the globally imperial power.” That is what has motivated its increasing antagonism toward China and Russia, along with Iran and Venezuela.


◼️セルゲイ・グラジエフ、2025年6月13日

Sergey Glazyev, Telegram Jun 13 2025 Академик для думающих людей

ワシントンはブレジンスキーの自殺的な戦略を遂行し続けている。それは5段階から成る。ウクライナの掌握、ヨーロッパとロシアの分離、ロシアの征服、イランの破壊、そして中国の孤立化だ。彼らは第3段階でつまずき、今や第4段階に突入したのだ。

"Washington continues to implement Brzezinski's suicidal strategy, which consists of five stages: the seizure of Ukraine, the separation of Europe from Russia, the subjugation of Russia, the destruction of Iran, and the isolation of China. Having stumbled on the third stage, they have now begun the fourth."



…………



※追記


今見たらこんな記事があるよ





先に触れたようにこれやるしかないんじゃないかね、日本が引き金引いて米国を爆発させるのさ、もちろん日本が財政的に潰れるのは既定路線だから、日米心中ってわけさ。どうせ潰れるなら早いとこ心中したほうがいいよ。これが、一国「自殺」、場合によっては国土焦土化を防ぐための唯一の手段かもしれないよ。




日本は少し前のデータに比べても債務残高比率は改善してるんだがね、インフレ増税のおかげで。




ギリシャの改善ぶりはすごいね、正当的な構造改革のおかげで。日本のように「積極財政」などという寝言で庶民をインフレ税で苦しめていない。