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2025年12月11日木曜日

諸隈元シュタインのThread

 


諸隈元シュタイン氏のこのツイートに始まる Thread はとても勉強になる、私は海外暮らしで日本庶民の実態を知らないせいもあるだろうが。


彼はもともとウィトゲンシュタイン研究家で、私は10年ほど前ひどく感心したことがあるが、時にひどく鋭利な発言をする人物だ。


以下ーーこれだけでは全くないがーー、いくつか掲げよう。







高市早苗評価もポジネガ両面すばらしい。






彼は就職氷河期世代だろう。プロフィールには次の自己紹介がある。




そしてーー、




ここではこう言っておくだけにする、諸隈元シュタインのThreadをじっくり読んでみることをおすすめする、と。


……………


※附記


かつて日銀の知恵袋と呼ばれた早川英男氏の直近のコラムーー有料記事なので無料で読めるところまでーーを掲げておく。


◼️「高市政権がやっているのは「物価高促進政策」だ/政治は巨額のばらまきを自らの既得権と誤解しているのか」早川英男 : 富士通エグゼクティブアドバイザー、2025/12/10 

高市早苗政権が誕生して2カ月足らず。憲政史上初の女性首相とあってか、政権支持率は著しく高い。ただ政策面では内政、外交の双方で波風が高まってきた。


日本経済の環境はアベノミクスの時代と比べ大きく変化した

外交面では、台湾有事をめぐる発言が中国との間で大きな波紋を呼んでいる。一方、内政面では財政・金融政策が関心の的だ。


首相就任以前から高市氏の経済政策を不安視する向きは識者の間で多かった。周知のように同氏は、金融緩和と財政出動を重視し、自身が尊敬する故安倍晋三元首相の路線を継承している。


しかし、日本経済の環境はアベノミクスの時代と比べ大きく変化した。当時はデフレが続き、過度の円高が産業界の悩みだった。しかし今や状況は反転し、物価高と円安が最大の課題となっている。


また、当時のマクロ環境は需要不足だったが、今は人手不足の深刻化で賃金が上昇している(賃上げが物価高に追いつかないのは問題だが)。この環境下で金融緩和と大型財政出動を続ければ、インフレはさらに強まり、物価高対策ならぬ物価高政策になってしまう。



今見たら次の予測もしているようだ[リンク]。




この予測は高市政権がアクセルを踏んでいるに対して、日銀はブレーキを強く踏むだろうということである。


株式市場ニュース StockMarket.News @_Investinq  2025/12/03

あなたが目にしているのは、まさに日本が財政のコントロールを失いつつあることを示す典型的な経済的矛盾である。


日本政府は今、生活費の上昇に苦しむ国民を支援するため、1,350億ドル(約21兆円)規模の景気刺激策を出して経済を押し上げようとしている。


しかしその一方で、中央銀行はインフレを抑えるために利上げを検討している。


これは、車でアクセルとブレーキを同時に踏んでいるようなものだ。片方の政策が資金を市場にばらまき、もう片方の政策がそれを吸い上げようとしている。


この矛盾が投資家をパニックに陥れ、日本の30年国債利回りは3.43%へと急騰した。

これは、過去10年以上ほぼゼロだった利回りからの大幅な跳ね上がりである。


問題が深刻なのは、日本がこれまで「金利がほぼゼロだった時代」に積み上げた途方もない規模の国の借金を抱えていることだ。

長年、その借金は金利負担がほぼゼロで「タダ同然」で維持できた。しかし今、金利が上昇したことで、その借金の利払いは急速に手に負えないものになりつつある。


そして今このタイミングで大規模な追加の景気刺激策を打ち出すことで、利払い負担が史上最悪レベルに跳ね上がりつつある中、さらに新たな借金を積み増す形になっている。


市場が「これは壊れている」と判断するのはそのためだ。

日本は債務の利払いのためにお金を刷らざるを得ず、それがインフレを招き、インフレは利上げを必要とし、利上げで借金の利払いがさらに重くなる――という「債務スパイラル」に見えるからだ。

StockMarket.News @_Investinq  2025/12/03

What you are seeing is a classic economic contradiction that suggests Japan is losing control of its finances. 


The Japanese government is currently trying to boost the economy by handing out $135 billion in stimulus money to help citizens with rising costs. 


However, at the exact same time, their central bank is planning to raise interest rates to fight inflation. 


This is like slamming on the gas pedal and the brake pedal simultaneously, one policy pumps money into the system while the other tries to pull it out. 


This confusion has panicked investors, causing the interest rate (yield) on Japan's 30 year government bonds to spike to 3.43%, a massive jump from the near zero rates seen for the last decade.


The implications here are dangerous because Japan has a staggering amount of national debt that it built up when interest rates were basically zero.

For years, the debt was free to carry, but now that rates are rising, the interest payments on that debt are becoming unaffordable. 


By passing a huge stimulus package now, they are adding even more debt to the pile right as that debt becomes historically expensive to service. 


Markets are calling this broken because it looks like a debt spiral, Japan has to print money to pay its bills, which causes inflation, which forces them to raise rates, which makes the debt even harder to pay.



とはいえ、「債務スパイラル」を避けるのはどうしたらいいかは、早川氏は触れていない。



なおアメリカ自体、債務スパイラルの危機に陥りつつある。というのは世界の脱ドル化による基軸通貨ドルの地位の危機、かつ負債が雪だるま式に膨張しているにも拘らず、減税に心血を注いでいるのだから。


非基軸通貨国は、自国の生産に見合った額の自国通貨しか流通させることはできないのである。それ以上流通させても、インフレーションになるだけである。(岩井克人『二十一世紀の資本主義論』2000年)

「ドルが基軸通貨でなくなれば、世界中のドルが還流し、米国はあっという間にハイパーインフレとなります。また従来の安全保障体制を解体すれば、同盟国への輸出に支えられた武器産業は傾き、軍事技術の民生転用で優位性を保っていた先端技術も低迷するでしょう。ソフトパワーも落ち、世界はハリウッド映画をだんだん見なくなる……。基軸国でなくなるということは、実体以上に持っていた影響力が消え、特権的地位がもたらしてきた様々な利益を失うということ。実際に米国債が売られ長期金利が上昇し始めたことでウォール街が慌て、米政権内部もようやく自分たちの立場に気付いた節があります。関税政策をめぐる最近の迷走は、それを物語っているように見えます」(岩井克人さんが語る米国の自壊 「基軸国」を失う世界で日本の使命は 聞き手・石川智也2025年5月21日


アメリカは世界の基軸通貨としての地位を維持することはできないだろう[the United States will not remain the key currency of the world.]〔・・・〕

私たちは今、一種の債務スパイラルに陥っている。残念ながら、トランプと共和党、そして民主党も同じことをやっている。彼らは、すでに負債が大量に流出しているときに、減税に心血を注いでいる。ワシントンでは誰も真剣に取り組んでいない。誰も本当の数字や予算を見ようとしない。彼らは富裕層の寄付者に目を向け、寄付者は減税しろと言う。そして彼らは、2年後には政権に就きたいので、皆さんの選挙資金が必要です」と言う。

だから基本的に、私たちは借金スパイラルに陥っている。同時に、あなたが言ったように、ドルの役割は縮小しつつあり、私たちはそれに反対するが、それを止めることはできない。

So we’re in a kind of debt spiral right now. And unfortunately Trump and the Republicans, and I’ll add in the Democrats too, because they do the same thing. They have their hearts set on tax cuts at a time when we’re hemorrhaging debt already. Nobody’s serious in Washington. Nobody looks at real numbers, no one looks at real budgets. They look to their donors and the donors say, cut my taxes. And they say, absolutely, we want to be in office two years from now. We need your campaign contributions.

So basically we’re in a debt spiral at the same time that the role of the dollar, like you said, is going to diminish and we’re going to rail against it, but we’re not going to stop that.

(ジェフリー・サックス 「ドルの最後の10年?中国の台頭とアメリカの没落」2025年4月19日

Jeffrey Sachs’ interview on The Jay Martin Show episode titled “The Dollar’s Final Decade? China’s Rise vs. America’s Fall”, [April 19, 2025].)