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2026年5月9日土曜日

隣りにいるまぶしいばかりの少女に少年が覚えるような羞恥と憧憬と、近しさと距離との同時感覚


ロリコンをひどく蔑視しつつ語っている人を見たが、ボクはロリコンだよ。2年前に「ロリコンの必然性」という投稿をしたことがあるがね。ここではそこで記したこととはいくらか異なった角度からそれを示そう。少し遠回りするが。

以下、中井久夫(1934 -2022)による村瀬嘉代子(1935 - 2025)の『子どもと大人の心の架け橋 - 心理療法の原則と過程』(1995年)の書評。実に美しい文である。


私たちは子どもをどれだけ知っているか? 子どもと目の高さが違うことはいちおう誰でも知っている。大人になってから訪れた小学校の運動場がいかに狭いか。しかし、もっと重大なことは時間感覚の相違である。時間を時間で微分できはしないが、年齢による、時間の経過感覚の圧倒的な差は断固ある。ミルトン・エリクソンは、安易に次回の面接を一週間先延ばしした弟子を叱って「子どもには一週間は永遠に等しい」と語っている。幼かった私の子に聞くと「あったりまえよ」という返事が返ってきた。


この時間感覚の差は一九九五年一月の阪神・淡路大震災の体験からの子どもの回復を大人が理解する際にも、いじめの問題を理解する際にも、どこか靴を隔ててかゆみを搔く思いをさせる理由の一つである。大人でさえバスを待つ時間は長い。いじめられる子どもは強烈な理不尽感のもと、永遠の劫苦に疲れるのだ。三年のいじめられ期間は永遠の永遠の永遠である。大人の、やみやみと経つ三年間ではない。


また思春期。すべてが流砂の中にあるような身体の変化。それは時間感覚の長短ではない。それは、奇妙な言い方だが「永遠を越える」変化である。質の変化は量の変化を越えるからだ。私は長い間、少女たちがいつも同じ、眼の思い切り大きくつぶらな、中原淳一ふうの少女の顔を描き続けるのをいぶかってきた。おそらく、少年よりも短期間に大幅に眼に見えて変わる少女の身体像に対して対抗するには思い切りステロタイプな少女像しかないのだ。まさに「乙女の姿しばしとどめん」である。そういえば多くの少女像が斜め左を、つまり多少過去をみつめて、一雫の涙が今にもこぼれんばかりである。


しかし、少年の思春期は身体表現を持たないことによる独特の辛さがある。少年期の訪れとともに泣けなくなるのはなぜだろう。一部の少年に、急速に伸びゆく体験と知性との二つの間の独特な比によって数学と詩とに向って不思議な開けが起こるのも、泣けなくなるからではないだろうか。自殺する中学生たちは果たして泣けていたのだろうか。いっしょに泣いてくれる親友がいたら彼らは死ぬだろうか。親友がありえないように孤立させられていたら、せめてそのそばで泣けるような大人がいてくれればーー。


こういうことをすべて忘れて、人は大人になる。なりふりかまわずといってもよいほどだ。ただ、少数の人間だけが幼い時の夕焼けの長さを、少年少女の、毎日が新しい断面を見せて訪れた息つく暇のない日々を記憶に留めたまま大人になる。村瀬嘉代子さんは間違いなくそういう人であって、そういう人として「子どもと大人の架け橋」を心がけておられるのだ。より正確には、運命的に「架け橋」そのものたらざるを得ない刻印を帯びた人である。


あるいは村瀬さんは私にも同じ刻印を認めておられるのかもしれない。その当否はともかく、何年に一度かお会いするだけであるのに、私も村瀬さんに独特の近しさを感じている。それは、精神療法の道における同行の士であると同時に、朝礼で整列している時に、隣りにいるまぶしいばかりの少女に少年が覚えるような羞恥と憧憬と、近しさと距離との同時感覚である。この本の中に村瀬さんの症例への私のコメントが一つ掲載されているが、それを書いた時の感覚がそのようなものであったことを昨日のように思い出す。


そのような文ならば書けるだろう。しかし、書評とは。私は三ヶ月、道を歩く時も書評のための言葉を求めて頭の中をさまよっていた。私の考えはいつもこのような文に戻って行った。一言のキャッチフレーズによって知られ、或いはそれによって要約される人もあるが、村瀬さんはそういう人ではない。村瀬さんの心理療法にはそういう一語はない。学寮の若き日々を共にしたモートン・ブラウンが神谷美恵子さんの追悼に捧げた言葉を借りれば、村瀬さんは「行為」である。そして行為の軌跡として村瀬さんの著書はある。それは一つの「山脈」であって、年齢とともに山容は深みを帯びるのであるが、妻となり母となった経験を重ねつつも、その中で「むいたばかりの果物のような少女」も決して磨耗していない。村瀬さんが患者を前にして覚えるおそれとつつしみとはその証しであり、それを伝えることがこの本に著者が託した大切なメッセージではなかろうかと私は思う。

(中井久夫:書評「村瀬嘉代子『子どもと大人の心の架け橋――心理療法の原則と過程』」「こころと科学」第六六号、1996年初出『精神科医がものを書くときⅡ』所収)



ここでは村瀬嘉代子さんとは関係なしに記すが、《朝礼で整列している時に、隣りにいるまぶしいばかりの少女に少年が覚えるような羞恥と憧憬と、近しさと距離との同時感覚》《むいたばかりの果物のような少女》とある。私はこういった少女たちーー特に小学校5年から中学校2年のあいだに出会った何人かの少女をこよなく愛し、今でも彼女らと似た面影や仕草をもった少女にふと出会うと、茫然自失してしまうという意味での「ロリコン」だ。


「むいたばかりの果物」という表現を中井久夫は何度か使っている。ここではそのうちのひとつを掲げておこう。


精神科で診療を始めたことは、私には、文学への回帰でもあった。ちょうどその時に出会ったのが多田さんのサン=ジョン・ペルス詩集であった。いっとき、私は、それまでの日本詩を挨っぽいものと感じた。それほど、彼女の訳文は、むいたばかりの果実のように汚れがなくて、滴したたるばかりにみずみずしかった


「..…ところでこの静かな水は乳である/また 朝の柔らかな孤独にひろがるすべてのものである。/夜明け前、夢の中のように曙を溶かした水で洗われた橋が空と美しい交わりをむすぶ。そして讃うべき陽光の幼い日々が いくつも巻いたテントの棚をつたって じかにぼくの歌に降りてくる。/…/いとしい幼年期よ、追憶に身をゆだねさえすればよい…あのころぼくはそう云ったろうか? もうあんな肌着などほしくない/…/そしてこの心、この心、ほらあそこに、心は橋の上をずるずると裾ひきずって行くがよいのだ、古びた雑巾ぼうきよりもつつましく 荒々しく/くたびれ果てて…」


私は、そのような形で幼年期に訣別したわげではなかったけれども、いっときは、幻想の中で、カリブ海で幼年期を過ごしたかのような錯覚に陥ったほどであった。この今は三四年を経ていかにも古びた詩集は、私にとって大きな里程標となってなお本棚にある。(中井久夫「多田智満子訳『サン=ジョン・ペルス詩集』との出会い」2001年)



・・・という具合だが、しかし人はあの頃のことを忘れてしまうものかね、《こういうことをすべて忘れて、人は大人になる。なりふりかまわずといってもよいほどだ。ただ、少数の人間だけが幼い時の夕焼けの長さを、少年少女の、毎日が新しい断面を見せて訪れた息つく暇のない日々を記憶に留めたまま大人になる》とあるが。少なくとも私にはあまりにもしばしば当時の「過去の復活」がある。


もし現時の場所が、ただちに勝を占めなかったとしたら、私のほうが意識を失ってしまっただろう、と私は思う、なぜなら、そうした過去の復活[résurrections du passé ]は、その状態が持続している短いあいだは、あまりにも全的で、並木に沿った線路とあげ潮とかをながめるわれわれの目は、われわれがいる間近の部屋を見る余裕をなくさせられるばかりか、われわれの鼻孔は、はるかに遠い昔の場所の空気を吸うことを強制され[Elles forcent nos narines à respirer l'air de lieux pourtant si lointains]、われわれの意志は、そうした遠い場所がさがしだす種々の計画の選定にあたらせられ、われわれの全身は、そうした場所にとりかこまれていると信じさせられるか、そうでなければすくなくとも、そうした場所と現在の場所とのあいだで足をすくわれ[trébucher entre eux et les lieux présents]、ねむりにはいる瞬間に名状しがたい視像をまえにしたときに感じる不安定にも似たもののなかで、昏倒させられるからである。(プルースト『見出された時』)



侯孝賢『童年往事』の辛樹芬を追い回す「彼」は中学2年、13歳から14歳にかけてのボクだ、完全に。




侯孝賢『童年往事』


この辛樹芬は1967年生まれ、『童年往事』は1985年だから、実際は17歳か18歳の年齢で、「あの少女」はもう少し幼かったが、シチュエーションはまさにこんな感じだったね。


もう半世紀以上前の話だーー、

……その,まよわれることのなかった道の枝を,半せいきしてゆめの中で示されなおした者は,見あげたことのなかったてんじょう,ふんだことのなかったゆか,出あわなかった小児たちのかおのないかおを見さだめようとして,すこしあせり,それからとてもくつろいだ.そこからぜんぶをやりなおせるとかんじることのこのうえない軽さのうちへ,どちらでもないべつの町の初等教育からたどりはじめた長い日月のはてにたゆたい目ざめた者に,みゃくらくもなくあふれよせる野生の小禽たちのよびかわしがある.


またある朝はみゃくらくもなく,前夜むかれた多肉果の紅いらせん状の皮が匂いさざめいたが,それはそのおだやかな目ざめへとまさぐりとどいた者が遠い日に住みあきらめた海辺の町の小いえの,淡い夕ばえのえんさきからの帰着だった.(黒田夏子「abさんご」)



小津安二郎『晩春』



ある年齢に達してからは、われわれの愛やわれわれの愛人は、われわれの苦悩から生みだされるのであり、われわれの過去と、その過去が刻印された肉体の傷とが、われわれの未来を決定づける[Or à partir d'un certain âge nos amours, nos maîtresses sont filles de notre angoisse ; notre passé, et les lésions physiques où il s'est inscrit, déterminent notre avenir. ](プルースト「逃げ去る女」)



というわけで、ロリコンでないヤツは少年時代に本気で少女に惚れた経験のない不幸な男たちに過ぎないよ


…あのときのミモザの茂み、靄に包まれた星、疼き、炎、蜜のしたたり、そして痛みは記憶に残り、浜辺での肢体と情熱的な舌のあの少女はそれからずっと私に取り憑いて離れなかった──その呪文がついに解けたのは、24年後になって、アナベルが別の少女に転生したときのことである。(ナボコフ『ロリータ』)



おっと、海辺の墓地が向こうからやってきたな



果実が溶けて快楽(けらく)となるように、

形の息絶える口の中で

その不在を甘さに変へるやうに、

私はここにわが未来の煙を吸ひ

空は燃え尽きた魂に歌ひかける、

岸辺の変るざわめきを。


――ポール・ヴァレリー「海辺の墓地」第五節(中井久夫訳)


Comme le fruit se fond en jouissance,

Comme en délice il change son absence

Dans une bouche où sa forme se meurt,

Je hume ici ma future fumée,

Et le ciel chante à l’âme consumée

Le changement des rives en rumeur.


ーーPaul Valéry, LE CIMETIÈRE MARIN



アメリカの自殺への道


少し前、2年前のジル・スタインとマイケル・ハドソンの対話で、「アメリカのシステムは急降下する飛行機のようなもの」という話を取り上げた。

◾️「エリート帝国主義の白黒」 ジル・スタインとマイケル・ハドソン 2024518

The Black & White of Elite Imperialism with Jill Stein by Michael Hudson May 18, 2024

ジル・スタイン:

……私たちは今、経済エリートが政治エリートに命令を下しているような悪循環の中にいます。そして多くの場合、経済エリート自身が政治エリートであり、私たちの政治システムに入り込む億万長者なのです。そして、政治システムの内部で、彼らは富と寡頭政治家の利益をさらに集中させる政策を生み出しているのです。つまり、私たちは現在、寡頭政治と帝国主義の状況にあります。これらは、マーティン・ルーサー・キングが言ったように、基本的に軍国主義、物質主義ーー極端な物質主義ーー、人種差別という三重の悪を抱えているのと同じように、密接に関係しています。


そして、ご存知のように、このシステムは、現在、急降下している飛行機のようなものです。私たちはそこから抜け出さなければなりません。そして、それは本当に体系的な修正を必要としています。そして、それが、私たちがこの選挙戦に参加している理由です。それが、私たちがニューヨークで投票する必要がある理由です。だからこそ、私たち全員が、ここで混戦に飛び込んで、飛行機を急上昇させ、まだ時間があるうちにこの急降下から抜け出すために、できる限りのことをする必要があるのです。

JILL STEIN:… we’re now in this like vicious feedback loop right now, where the economic elites are basically giving the marching orders to the political elites. And in many cases, they are the political elites themselves, you know, the billionaires who enter into our political system, you know. And so inside of the political system, they are then generating the policies that further concentrate wealth and the advantages of the oligarchs, you know. So we’re in a situation right now of oligarchy and empire. They go hand in hand in the same way that Martin Luther King said, you know, that we have this triple evil of militarism, materialism, extreme materialism, and racism, basically.

And, you know, and the system is like an airplane going into a tailspin right now on its way down. And we got to pull out of that, out of that tailspin. And it really requires a systemic fix. And that’s why, you know, that’s why we’re in this race. That’s why we need to be on the ballot in New York. That’s why we need, you know, every one of us to do everything possible, you know, to jump into the mix here and to, you know, get the airplane into a pull-up, we need to pull up out of this tailspin while there’s still time.

マイケル・ハドソンそうですね、基本的に本当の有権者は寄付者層、つまりあなたが言った億万長者です。なぜなら、彼らは候補者を支援するために資金を提供することができるからです。お金でテレビの時間を買い、投票用紙に署名を集める人を雇うのです。 オリガルヒのための民主主義とも言えますが、それは寡頭政治と呼ばれるものです。 選挙で選ばれたわけでもない億万長者たちが、誰を支持するかによって予備選の投票権を決めるだけでなく、CIANSAFBI、ディープステートのような秘密政府も存在します。

MICHAEL HUDSON: Well, basically the real voters are the donor class, the billionaires that you’ve mentioned, because they can give money to back the candidates. And money is what buys television time, buys people to get the signatures on the ballot. And you could say it’s a democracy for the oligarchs, but that’s called oligarchy. And not only do these sort of unelected billionaires end up deciding who gets to be on the ticket in the primaries, depending on who they’re backed, but there’s also the blob, the secret government, the damage of the CIA, NSA, FBI, and the deep state.



次の直近のクリス・ヘッジズの記事は、より具体的にアメリカのシステムの腐敗具合が書かれている。


◼️クリス・ヘッジズ「アメリカの自殺パック」202658

アメリカの自殺への道は、ドナルド・トランプの登場よりもずっと前から始まっていた。トランプと彼を取り巻く道化師たちは、衰退しつつある帝国の避けられない最終章に過ぎない。

America’s Suicide Pact, CHRIS HEDGES MAY 08, 2026

America’s suicidal march began long before Donald Trump. Trump and the buffoons around him are the inevitable final chapter of the decaying empire.

歴史家アーノルド・J・トインビーが名高い言葉で述べたように、文明は「他殺ではなく自殺によって滅びる」。文明は内部から崩壊する。道徳的、社会的、精神的な衰退に陥り、寄生的な支配階級に乗っ取られる。民主主義制度は機能不全に陥り、国民は困窮し、富は支配階級に集中し、強制が支配の主要な手段となる。


​​我々の自滅への行進は、ドナルド・トランプとその奇妙な道化師、追従者、詐欺師、キリスト教ファシストたちの集団が権力を握るずっと前から始まっていた。それは、支配階級、特にレーガン政権とクリントン政権下で、私利私欲のために国と帝国を搾取し始めた時に始まったのだ。


こうした人々を表す言葉がある。「裏切り者」だ。


二大政党の指導部に居座るこれらの裏切り者たちは、我々から資産と権力を徐々に奪い取った。彼らは策略、嘘、そして合法化された賄賂を用いたのだ。彼らは選挙政治、権力分立、報道の自由、法の支配を尊重するふりをしながら、これらの民主主義の柱すべてを転覆させた。その旧体制は、いかに欠陥だらけだったにせよ、骨抜きにされてしまった。それは、道徳観念に欠け、愚かな者たち――最高裁判所や議会を見ればわかる――つまり、億万長者層の言いなりになることを厭わない者たちの手に渡ってしまったのだ。


Civilizations, as the historian Arnold J. Toynbee famously argued, “die from suicide, not by murder.” They collapse from within. They fall prey to moral, social and spiritual decay. They are seized by a parasitic ruling class. Democratic institutions seize up. The citizenry is immiserated, wealth is funneled upwards to the ruling class and coercion is the principle form of control.

Our suicidal march began long before Donald Trump and his bizarre court of buffoons, sycophants, grifters and Christian fascists took power. It began when the ruling class, especially under the Reagan and Clinton administrations, set out to harvest the country and empire for personal profit.

There is a word for these people. Traitors.

These traitors, ensconced in the leadership of the two ruling parties, stripped us of assets and power slowly. They used subterfuge, lies and legalized bribery. They pretended to honor electoral politics, checks and balances, a free press and the rule of law while subverting all of these democratic pillars. That old system, however flawed, was hollowed out. It was turned over to the amoral and the idiotic — look at the Supreme Court or Congress — those willing to do the bidding of the billionaire class.


民衆の宿敵である寡頭政治家と大企業から数十億ドルもの資金援助を受けた共和党と民主党の政治エリートたちは、抵抗する政治家たちのキャリアを破壊した。労働組合を弾圧し、誠実なジャーナリストをブラックリストに載せ、報道機関を少数の大企業と寡頭政治家の手に握らせた。際限のない貪欲さを抑制していた規制、略奪的な企業や環境汚染から国民を守るための規制を撤廃した。富裕層に対する事実上の納税拒否を容認する法律を制定しーートランプは大統領就任前の15年間で10年間、連邦所得税を納めていなかったことで有名だーー、同時に国の産業を衰退させ、約3000万人を失業させた。もはや富は生産や製造によって生み出されるものではなく、株式や商品の価格を操作し、国民に過酷な債務奴隷制を課すことによって生み出されるようになった。


これらの寄生虫どもは、社会保障制度を削減または廃止し、警察を軍事化し、世界最大の刑務所システムを構築し、肥大化し制御不能となった軍需産業に資金を注ぎ込んだ。ドイツの社会主義者で政治家のカール・リープクネヒトは、第一次世界大戦という自滅的な愚行の前夜、ドイツ帝国主義者を「国内の敵」と呼んだ。我々の支配者、すなわち国内の敵は、帝国の世界的覇権を低下させ、何兆ドルもの税金を自分たちの銀行口座に注ぎ込む一連の無益な戦争を仕掛けた。イランはその最新の例である。


トランプは例外ではない。彼は、この自殺的な協定をありのままに露わにした存在だ。彼は、自分が引き継いだ体制が機能しているふりなどしない。彼の嘘には巧妙さが欠けている。彼は露骨に自身と家族を豊かにしている。彼は下品で粗野な言葉遣いをする。彼は、環境保護庁、教育省、アメリカ合衆国郵便公社など、公共の利益のために存在するあらゆる政府機関を解体している。しかし、リベラルな仮面を被っていないとはいえ、彼は自らの前任者たちが体現していたものを具現化しているのだ。

Armed with billions by the mortal enemy of the demos — the oligarchs and corporations — the political elites, Republicans and Democrats, destroyed the careers of those politicians who resisted. They crushed labor unions. They blacklisted honest journalists and consolidated the press into the hands of a handful of corporations and oligarchs. They slashed regulations that constrained unfettered greed and protected the population from predatory corporations and environmental toxins. They passed legislation that created a de facto tax boycott for the rich — Trump famously paid nofederal income taxes in 10 of the 15 years prior to his presidency — while stripping the country of its industry and throwing some 30 million people out of work. Wealth is no longer created by producing or manufacturing. It is created by manipulating the prices of stocks and commodities and imposing a crippling debt peonage on the public.


These parasites cut or abolished social programs, militarized the police, built the largest prison system in the world and pumped funds into a bloated and out-of-control war industry. German socialist and politician Karl Liebknecht, on the eve of the suicidal folly of World War I, called German imperialists “the enemy at home.” Our rulers, our enemies at home, mounted a series of futile wars that degraded the empire’s global hegemony and poured trillions of dollars of taxpayer money into their bank accounts. Iran is the most recent example.

Trump is not an outlier. He is the naked, stripped-down expression of this suicidal pact. He does not pretend the system he inherited works. He lies with less finesse. He crassly enriches himself and his family. He speaks in crude vulgarities. He dismantles any government agency dedicated to the common good, including the Environmental Protection Agency, the Department of Education and the U.S. Postal Service. But he embodies what came before him, albeit without the liberal façade.




「トランプは例外ではない」と私は著書『アメリカ:別れの旅』で書いた。


《彼は崩壊した民主主義のグロテスクな姿を体現している。トランプとその取り巻きである億万長者、将軍、愚か者、キリスト教ファシスト、犯罪者、人種差別主義者、そして道徳的逸脱者たちは、ウィリアム・フォークナーの小説に登場するスノープス一族の役割を担っている。スノープス一族は、衰退した南部の権力の空白を埋め、堕落した元奴隷制貴族エリートから容赦なく権力を奪い取った。フレム・スノープスとその大家族――殺人犯、小児性愛者、重婚者、放火犯、牛と交尾する知的障害者、そして獣姦の目撃チケットを売る親戚など――は、今や連邦政府の最高位にまで上り詰めたクズどもを象徴する架空の人物像である。彼らは、拘束なき資本主義が解き放った道徳的腐敗を体現している。》


我々の支配階級の堕落を垣間見せるエプスタイン・ファイルには、トランプだけでなく、エプスタインとタイ旅行をしたとされるビル・クリントン元米国大統領、アンドリュー王子、マイクロソフト創業者で億万長者のビル・ゲイツ、ヘッジファンドの億万長者グレン・デュビン、ニューメキシコ州元知事ビル・リチャードソン、元財務長官でハーバード大学元学長ラリー・サマーズ、認知心理学者で作家のスティーブン・ピンカー、エプスタインの弁護士で筋金入りのシオニストであるアラン・ダーショウィッツ、億万長者でヴィクトリアズ・シークレットCEOのレスリー・ウェクスナー、バークレイズ銀行の元CEOジェス・ステイリー、イスラエルの元首相エフード・バラク、マジシャンのデビッド・カッパーフィールド、俳優のケヴィン・スペイシー、元CIA長官ウィリアム・バーンズ、不動産王モート・ザッカーマン、メイン州元上院議員ジョージ・ミッチェル、そして不名誉なハリウッドのプロデューサーで強姦罪で有罪判決を受けたハーヴェイ・ワインスタインも含まれていた。彼らは皆、エプスタインの絶え間ないバッカス祭の周りを回っていた。


“Trump is not an anomaly,” I wrote in “America: The Farewell Tour

« He is the grotesque visage of a collapsed democracy. Trump and his coterie of billionaires, generals, half-wits, Christian fascists, criminals, racists, and moral deviants play the role of the Snopes clan in some of William Faulkner’s novels. The Snopeses filled the power vacuum of the decayed South and ruthlessly seized control from the degenerated, former slaveholding aristocratic elites. Flem Snopes and his extended family — which includes a killer, a pedophile, a bigamist, an arsonist, a mentally disabled man who copulates with a cow, and a relative who sells tickets to witness the bestiality — are fictional representations of the scum now elevated to the highest level of the federal government. They embody the moral rot unleashed by unfettered capitalism. » 


The Epstein files, a window into the degeneracy of our ruling class, included not onlyTrump, but former U.S. president Bill Clinton — who allegedly took a trip to Thailand with Epstein — Prince Andrew, Microsoft founder and billionaire Bill Gates, hedge fund billionaire Glenn Dubin, the former New Mexico governor Bill Richardson, former secretary of the treasury and former president of Harvard University Larry Summers, cognitive psychologist and author Stephen Pinker, Epstein’s lawyer and arch Zionist Alan Dershowitz, billionaire and Victoria’s Secret CEO Leslie Wexner, the former Barclays banker Jes Staley, former Israel prime minister Ehud Barak, magician David Copperfield, actor Kevin Spacey, former CIA director William Burns, real estate mogul Mort Zuckerman, former Maine senator George Mitchell and disgraced Hollywood producer and convicted rapist Harvey Weinstein. They all orbited Epstein’s perpetual Bacchanalia.


『勝者総取り:世界を変えるエリートの茶番劇』の著者であるアナンド・ギリダラダスは、エプスタインを取り巻いていた権力者たちと少数の女性たちは、他者の苦しみや虐待、例えば児童虐待を含む性的虐待、彼らが仕組んだ金融崩壊、彼らが支援する戦争、彼らが助長する依存症や過剰摂取、彼らが擁護する独占、彼らが加速させる格差、彼らが搾取する住宅危機、そして彼らが人々を守ることを拒否する侵略的なテクノロジーなどに対して共感を欠く特権階級の象徴であると指摘している。


《メールが白日の下に晒されるにつれ、政府と企業、ロビー活動、慈善活動、スタートアップ、学術界、科学界、金融界、メディア界の交差点に、極めて私的な能力主義貴族階級が存在し、それが公共の利益よりも自分たちの利益を優先することがあまりにも多いという認識が広まっているのは当然のことだ。彼らが憤慨するのは当然だ。多くの米国人が最初のチャンスさえ奪われている一方で、このグループのメンバーには無限のセカンドチャンスが与えられているのだから。立ち退きを迫られたり、法外な料金を請求されたり、住宅ローンを滞納させられたり、AIによって時代遅れにされたり、あるいはレイプされたりしても、彼らの訴えが聞き入れられないことが多いのも当然だ。》

ギリダラダスは書いている、「エプスタインのメールは、私の見解では、私たちの社会秩序がどのように機能し、誰のために機能しているのかを、書簡を通して痛烈に描き出している」「そう言うのは極端ではない。このエリート層のやり方こそが極端なのだ。」


「この新自由主義時代の権力エリートが未だに十分に理解されていないのは、彼らが単なる金融エリート、教育エリート、ノブレス・オブリージュ・エリート、政治エリート、あるいは物語作りのエリートではないからかもしれない」と彼は続ける。「彼らはこれらすべてをまたいでおり、利益を上げ、自らの善意を確信しているのだ。」


「彼らは同じチームに属している」とギリダラダスは指摘する。「放送では意見が対立するかもしれない。正反対の政策を推進することもある。ネットワーク内の一部の人間は、他のメンバーの行動に苦悩を表明する。しかし、メールからは、物事を決定する階級における自らの地位の維持を最優先事項とする集団の姿が浮かび上がってくる。原則とネットワーク内での地位維持が衝突するとき、ネットワークが勝利するのだ。」


ギリダラダスへのインタビューは「ここで」見ることができる。


Anand Giridharadas, who wrote “Winners Take All: The Elite Charade of Changing the World,” notes that the circle of powerful men, and a handful of women who surrounded Epstein, are emblematic of a privileged caste that lack empathy in the suffering and abuse of others, whether that is sexual abuse, including that of children, financial meltdowns they orchestrate, wars they back, addictions and overdose they enable, the monopolies they defend, the inequality they turbocharge, the housing crisis they milk and the intrusive technologies they refuse to protect people against:


« People are right to sense that as the emails lay bare, there is a highly private merito-aristocracy at the intersection of government and business, lobbying, philanthropy, start-ups, academia, science, high finance and media, that all too often takes care of its own more than the common good. They are right to resent that there are infinite second chances for members of this group even as so many Americans are deprived of first chances. They are right that their pleas often go unheard, whether they are being evicted, gouged, foreclosed on, A.I.-obsolesced — or, yes, raped.» 


“The Epstein emails, in my view,” Giridharadas writes, “together sketch a devastating epistolary portrait of how our social order functions, and for whom. Saying that isn’t extreme. The way this elite operates is.”


“If this neoliberal-era power elite remains poorly understood,” he continues, “it may be because it is not just a financial elite or an educated elite, a noblesse-oblige elite, a political elite or a narrative-making elite; it straddles all of these, lucratively and persuaded of its own good intentions.”

“These people are,” Giridharadas reminds us, “on the same team. On air, they might clash. They promote opposite policies. Some in the network profess anguish over what others in the network are doing. But the emails depict a group whose highest commitment is to their own permanence in the class that decides things. When principles conflict with staying in the network, the network wins.”


You can see my interview with Giridharadas here.




システム全体が腐敗している。自浄作用など期待できない。


民主党は、今年の中間選挙で勝利するため、減税という斬新な選挙公約を打ち出した。間違いなく、またしても中身が空っぽで政策もなく、ジェノサイドを支持するような大統領候補を指名することになるだろう。民主党の支援者たちは、有名人を前面に押し出したカマラ・ハリスのわずか15週間という短期間の大統領選キャンペーンに、驚異的な15億ドルもの資金を注ぎ込んだ。彼女は、過去20年間で初めて、全国得票数で敗北し、すべての激戦州で敗北した民主党大統領候補となった。


民主党は機能している政党ではない。それは企業の幻影に過ぎない。党員ができることといえば、せいぜい事前に承認された候補者を選出し、演出された党大会や集会で小道具として振る舞うことぐらいだ。党員は党の政治に全く影響力を持っていない。


トランプのイラン問題における失態に見られるように、帝国の衰退が明らかになるほど、混乱した人々は、厳しく不快な現実が侵入しない幻想の世界へと逃げ込むようになる。


文明の終焉が近づくにつれ、人々は自己欺瞞的な傲慢さに浸り、偽りの美徳を声高に唱えるようになる。そして自らの失敗を説明するためのスケープゴート――イスラム教徒、不法移民、メキシコ人、アフリカ系アメリカ人、フェミニスト、知識人、芸術家、反体制派――を探し求めるのだ。


魔術的な思考とアメリカ例外主義の神話が公共の言説を支配し、学校教育でも教えられている。芸術と文化は国家主義的なキッチュへと貶められ、環境危機のさなかでさえ、科学は軽視される。他者の視点から世界を見ることを可能にし、共感、理解、そして思いやりを育む文化的・知的学問分野は、グロテスクで残酷な「過度な男らしさ」や「過度な軍国主義」に取って代わられている。


トランプはまさにこの断末魔にうってつけの人物だ。彼は異端者でも異常者でもない。彼は我々の病的な病理のむき出しの姿なのだ。


The entire system is rotten. It will not reform itself.

The Democratic Party has hit on the novel campaign issue of reducing taxes to win this year’s midterm elections. It will, no doubt, anoint another vapid, issue-less and genocide-supporting presidential nominee. Democratic donors pumped a staggering $1.5 billion into Kamala Harris’s abridged 15-week celebrity-fueled presidential campaign. She became the first Democratic presidential candidate to lose the national popular vote in two decades and be defeated in every battleground state.

The Democratic Party is not a functioning political party. It is a corporate mirage. Its members can, at best, select preapproved candidates and act as props in choreographed conventions and rallies. Party members have zero influence on party politics.


The more the diminishing power of the empire becomes apparent, evidenced in Trump’s debacle with Iran, the more a confused population retreats into a fantasy world, a world where hard and unpleasant facts do not intrude.

In the final days of a civilization, a population wallows in self-delusional hubris and trumpets false virtues. It looks for scapegoats to explain its failures — Muslims, undocumented workers, Mexicans, African-Americans, feminists, intellectuals, artists and dissidents.

Magical thinking and the myth of American exceptionalism dominate public discourse and are taught in schools. Art and culture are degraded to nationalist kitsch. Science is dismissed, even in the midst of the environmental crisis. Cultural and intellectual disciplines that allow us to see the world from the perspective of the other, that foster empathy, understanding and compassion, are replaced by a grotesque and cruel hypermasculinity and hypermilitarism.

Trump is perfectly tailored for these death throes. He is not a freak or an anomaly. He is the naked visage of our pathological sickness.




今年初頭の彼の記事も参照戦争道化師たちの集団自殺ーークリス・ヘッジズ「大いなる錯誤」



なお、直近のローレンス・ウィルカーソン(Lawrence Wilkerson)による次のような指摘もある、過去の帝国と同じように米帝国も破滅への道を歩んでいるが、ひとつだけ違いがある、それは核兵器を持っていることであり、《衰退とは、自らの死を世界の自殺にすり替える手段を、本気で模索し始めることである。》








「アメリカの自殺」を反転させて「世界の自殺」を模索する試みーーこれは投射(投影)のメカニズムである。

世界の終わりは内的カタストロフィの投射である[Der Weltuntergang ist die Projektion dieser innerlichen Katastrophe](フロイト『症例シュレーバー』第3章、1911年)


◼️マイケル・ハドソン「リバタリアンの幻想、警察国家の現実」2025102

Libertarian Fantasy, Police State Reality By Michael Hudson, October 2nd, 2025

トランプとディープステートは既に核戦争を決意していると私は思う。I think Trump and the deep state have already decided on nuclear war



◼️Jeffrey Sachs: We Are Now in the Early Days of World War III 2026/03/07

ジェフリー・サックス:米国外交政策が通常CIAによって運営されていることは明らかで、彼らは今、この狂気に追いつけずに疲弊しています。不確実性と危険がたくさんあります。私たちは通常の米国の誇大性——ブッシュJr.、オバマ、バイデンの下でも真実である米国の深い特性——の混合を持っていますが、トランプでは、制度的な誇大性と軍国主義の上に個人的レベルの妄想が加わります。


これは歴史から知っています。初めてではありません。しかし、核時代では初めてです。核時代にこれのような状況はこれまでありませんでした。私は、世界がこれまでになく危険な状況にあると言います。以上です。

It’s quite clear that US foreign policy is typically run by the CIA, and they’re being run ragged right now because they can’t keep up with this madness. There’s a lot of unpredictability and danger. We have a mix of normal US grandiosity—a deep trait of the United States, true under Bush Jr., Obama, and Biden—but with Trump, you add personal-level delusion on top of institutional grandiosity and militarism.


We know this from history. This isn’t the first time. But it is the first time in the nuclear age. We’ve never had a circumstance like this in the nuclear age. I would say the world is in a more dangerous situation than it has ever been. Period.