前回ふとしたはずみで貼り付けた小津の「 浮き草」の最後のシーンだが、
いいねえ、死ぬぐらい。こうでなくっちゃな、男と女ってのは。
嫁さんに見せて、おい、これやってくれ、と言ったら、
じゃあ、あしたおすしでもつくるわ、と。
いい女だなあ、いっしゅんは(?)
えびと赤貝を欠かさずにな、と言っておいたよ
もちろんさきに枝豆とタコな
逸題 井伏鱒二
今宵は仲秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ
春さん蛸のぶつ切りをくれえ
それも塩でくれえ
酒はあついのがよい
それから枝豆を一皿
ああ 蛸のぶつ切りは臍みたい
われら先づ腰かけに坐りなほし
静かに酒をつぐ
枝豆から湯気が立つ
今宵は仲秋名月
初恋を偲ぶ夜
われら万障くりあわせ
よしの屋で独り酒をのむ