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2021年7月3日土曜日

立喰の鮓

 

女は口説かれているうちが花。落ちたらそれでおしまい。喜びは口説かれているあいだだけ[Women are angels, wooing: Things won are done; joy's soul lies in the doing.]( シェイクスピア、Troilus and Cressida)

男性にとっては肉体関係は恋の終点を意味しているが、女性にとってはそれが恋のはじまりとなることが多い。(吉行淳之介「移り気な恋」)


・・・ってのはアリかね、いまでも。

たぶんアリだよ。


でも男だって続く場合だってあるさ、落ちたあとは、女はオッカサンやることだな、世話女房をさ。そうしたら続くよ。男は立喰の鮓ぐらいは食うだろうけどさ。


三度の飯は常食にして、佳肴山をなすとも、八時(おやつ)になればお茶菓子もよし。屋台店の立喰、用足の帰り道なぞ忘れがたき味あり。女房は三度の飯なり。立喰の鮓に舌鼓打てばとて、三度の飯がいらぬといふ訳あるべからず。家にきまつた三度の飯あればこそ、間食のぜいたくも言へるなり。此の理知らば女房たるもの何ぞ焼くに及ばんや。  (荷風『四畳半襖の下張』)


これを最近の女は気づいちまったから、なかなか結婚しないんじゃないかね。どう思う、そこのきみ?


もっとも次のような女がすこしずつ増えてるんだろうけどさ。


現代的女性は、男を対象aにする。彼女は男に言う、あなたは単なる享楽の手段に過ぎないと。これが、協力し合って、愛のデフレをもたらしている。La femme moderne tend aujourd'hui à faire de l'homme un objet a. Elle lui dit tu n'es qu'un moyen de jouissance. Cela va de pair avec une certaine dévalorisation de l'amour.. (J.-A. Miller, L'os d'une cure, Navarin, 2018)