私は政治を好まない。しかし戦争とともに政治の方が、いわば土足で私の世界のなかに踏みこんできた。(加藤周一「現代の政治的意味」1979年) |
けだし政治的意味をもたない文化というものはない。獄中のグラムシも書いていたように、文化は権力の道具であるか、権力を批判する道具であるか、どちらかでしかないだろう。(加藤周一「野上弥生子日記私註」1987年) |
政治が土足で向こうからやってきたのだから、いくら政治嫌いでも権力の奴隷にならないためには、最低限今の状況を記録しとかないとなあ。
令和4年度東京大学学部入学式 祝辞 映画作家 河瀨直美 |
例えば「ロシア」という国を悪者にすることは簡単である。けれどもその国の正義がウクライナの正義とぶつかり合っているのだとしたら、それを止めるにはどうすればいいのか。なぜこのようなことが起こってしまっているのか。一方的な側からの意見に左右されてものの本質を見誤ってはいないだろうか?誤解を恐れずに言うと「悪」を存在させることで、私は安心していないだろうか? |
この河瀬さんのごく標準的な発言を叩いている国際政治学者ってのは「トッテモ権力」だよなあ、
東浩紀 Hiroki Azuma@hazuma 4月14日 国際政治学者が寄ってたかって映画監督を叩いている状況で、おれたち落ち着いてると言われてもなあ。 |
東浩紀 Hiroki Azuma@hazuma とりあえずみんなで寄ってたかって、映画監督など自分たちとは違う視点からの意見を潰しにかかることはやめたほうがいいんじゃないでしょうか。 https://twitter.com/jumbokoba/status/1514477680640802818… |
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Mika Levy-Yamamori (山森みか/biniy@M_LevyYamamori 4月13日 「『自分は正義の側に立っているからこれでいいんだ』という自己肯定感の虜になるのには警戒したほうがいいのでは」、と言うことさえ、「どっちもどっち論」に分類されていくのは、厳しい世界だなあ、日本語ついったー界。 |
Nobuaki Shiokawa/塩川伸明@NobuakiShiokawa 4月12日 「どっちもどっち」と言ってはいけない事項と、「特定のアクターだけを悪者として片付けることなく、多面的な検討が必要だ」と言うべき事項との区別が重要なのではないでしょうか。私は戦争そのものについては決して「どっちもどっち」とは言いませんが、その背景は別だと思います。 https://twitter.com/kanayVc/status/1513845609484394500… |
例えばこういうこと言ってるインテリたちってのはどう扱ったらいいのかねえ、ボクはこういうのを眺めると真に絶望的になるよ。
どうしてこんなこと言えるのかねえ、西側メディアを盲信するだけの国際政治学者を中心とした「専門家」が実に繊細さに欠けるから、河瀬さんはあまりにも耐え難くなって、やむなく芸術の分野から具体的に指摘してる言葉に対して。キミらがすこしでも目を醒ましてくれることを期待してね。
そもそもまったく現在の日本の状況分析ができていないんじゃないかね
東アジアの平和に対するロシア・ウクライナ紛争の啓示 浅井基文 3/21/2022 |
(ロシア非難・批判一色に染まった日本) 伝統的にロシア(ソ連)に対して悪いイメージが支配する日本の政治・社会がロシアのウクライナに対する武力侵攻に対してロシア非難・批判一色に染まったのは、予想範囲内のことでした。しかし、一定の肯定的評価を得ている学者、研究者、ジャーナリストまでが一方的な非難・批判の側に組みする姿を見て、私は日本の政治・社会の根深い病理を改めて思い知らされました。〔・・・〕 日本の政治・社会の際立った病理の一つは、「赤信号一緒に渡れば怖くない」という集団心理の働きが極めて強いということです。ロシア非難・批判一色に染まったのはその典型的現れです。今日の日本の政治・社会を支配している反中・嫌中ももう一つの現れです。1989年の天安門事件以後、日本人の中国に対するイメージが急激に悪い方向に向かってきたという事情があり、そこに「巨大な中国が目の前に現れた」ことを素直に消化できない複雑な感情が合わさって、反中・嫌中・親台としての集団心理が自己主張する形を取ることになっているのです。 |
ちなみに、「鬼畜米英」を唱えていた日本人が敗戦と米軍による占領を契機に一夜にして「徹底親米」に豹変したことはよく知られています。この現象も集団心理の働きを抜きにしては理解不能なことです。ちなみに、アメリカに対する印象に関する内閣府による世論調査結果は、ほぼ一貫して80%前後の日本人がアメリカに対して好感を持っていることを示しています。直近(2021年)の調査では実に88.5%です(ちなみに、ロシアについては13.1%、中国は20.6%でした)。しかも、日本のメディアは圧倒的にアメリカ・メディアの影響力の下にあります。したがって、アメリカ発のロシア情報が垂れ流しかつ土砂降りで入ってきて、日本の政治・社会を徹底的に洗脳しているというわけです。 |
London, 14th March 2022: New research conducted in recent days by Brand Finance has found that the public in most countries around the world blame Russia for the current conflict in Ukraine, with the respondents in India and China being more supportive of the Russian position. Russia is blamed for the conflict in Ukraine by a majority of respondents in Japan (81%), the United Kingdom (74%), Germany (67%), France (64%), Brazil (63%), and the United States (60%). More respondents in South Africa (48%) and Turkey (42%) blame Russia than any other party. In India, although many (32%) blame Russia, more (46%) blame either USA or NATO. In China, most respondents (52%) blame the USA, with only a small minority (11%) blaming Russia. In every surveyed nation, only a tiny proportion of respondents blame Ukraine for the invasion, between 1% to 10%. In what could be a reflection of the current highly polarised state of American politics, the only Western nation to feature a significant proportion of people who blame the USA for the conflict is the USA itself – at 22%. |
日本社会には、そのあらゆる水準において、過去は水に流し、未来はその時の風向きに任せ、現在に生きる強い傾向がある。現在の出来事の意味は、過去の歴史および未来の目標との関係において定義されるのではなく、歴史や目標から独立に、それ自身として決定される。〔・・・〕 労働集約的な農業はムラ人の密接な協力を必要とし、協力は共通の地方心信仰やムラ人相互の関係を束縛する習慣とその制度化を前提とする。この前提、またはムラ人の行動様式の枠組は、容易に揺らがない。それを揺さぶる個人または少数集団がムラの内部からあらわれれば、ムラの多数派は強制的説得で対応し、それでも意見の統一が得られなければ、「村八分」で対応する。いずれにしても結果は意見と行動の全会一致であり、ムラ全体の安定である。(加藤周一『日本文化における時間と空間』2007年) |
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国民集団としての日本人の弱点を思わずにいられない。それは、おみこしの熱狂と無責任とに例えられようか。輿を担ぐ者も、輿に載るものも、誰も輿の方向を定めることができない。ぶらさがっている者がいても、力は平均化して、輿は道路上を直線的に進む限りまず傾かない。この欠陥が露呈するのは曲がり角であり、輿が思わぬ方向に行き、あるいは傾いて破壊を自他に及ぼす。しかも、誰もが自分は全力をつくしていたのだと思っている。(中井久夫「戦争と平和についての観察」2005年『樹をみつめて』所収) |
政治的なるものの位置づけ。 政治は経済、学問、芸術のような固有の「事柄」をもたない。その意味で政治に固有な領土はなく、むしろ、人間営為のあらゆる領域を横断している。その横断面と接触する限り、経済も学問も芸術も政治的性格を帯びる。政治的なるものの位置づけには二つの危険が伴っている。一つは、政治が特殊の領土に閉じこもることである。そのとき政治は「政界」における権力の遊戯と化する。もう一つの危険は、政治があらゆる人間営為を横断するにとどまらずに、上下に厚みをもって膨張することである。そのとき、まさに政治があらゆる領域に関係するがゆえに、経済も文化も政治に蚕食され、これに呑みこまれる。いわゆる全体主義化である。(丸山真男「対話」1961年) |
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ほんとうに怖い問題が出てきたときこそ、全会一致ではないことが必要なのだと私は考えます。それは人権を内面化することでもあるのです。個人の独立であり、個人の自由です。日本社会は、ヨーロッパなどと比べると、こうした部分が弱いのだと思います。平等主義はある程度普及しましたが、これからは、個人の独立、少数意見の尊重、「コンセンサスだけが能じゃない」という考え方を徹底する必要があります。さきほど述べたように、日本の民主主義は平等主義的民主主義だけれど、少数意見尊重の個人主義的な自由主義ではない。それがいま、いちばん大きな問題です。(加藤周一『学ぶこと・思うこと』2003年) |
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東浩紀 Hiroki Azuma@hazuma 2022年4月12日 これからことあるごとに言っていきたいのだけど、民主主義の最大のリスク(のひとつ)は世論が沸騰し合理的な判断ができなくなること。ゼレンスキーはその点で西欧諸国にきわめて効果的なハイブリッド戦争を仕掛けている。ロシアに、ではなく西欧諸国に。ロシアに対しては機能しないから。1/2 |
このままでは多くの国が巻き込まれかねない。核戦争もありうる。この状況においては、言論人や専門家の役割は、世論の沸騰を制御し、指導者が合理的な判断をできるようにすることにあると考えます。それはプーチンが悪かどうかと関係ありません。とりあえず落ち着け、と言い続けることですね。2/2 |
余談として付け加えると、これはぼくがコロナのときに専門家に求めていた(そして果たされなかった)役割と同じ。専門家はパニックを抑えなければならない。民主主義はとにかくパニックに弱いのでこれは大前提。パニックを煽る専門家は、個々の指摘で正しくても総じては社会に害を与えると思います。 |
東浩紀の言ってることは、まったく効果なく馬の耳に念仏みたいだな、いや逆にいっそうアツクなっていっそう凝り固まってるんだろうよ。 |
東浩紀 Hiroki Azuma@hazuma 4月13日 これを批判しているひとは、単純に民主主義や世論や大衆の良識を信じすぎです。まあ、だからこそそっちのほうが支持されるんでしょうが、ぼくはそれこそ現実逃避だと思いますね。民主主義は怖いですよ。 |
「僕たちは、そんなに騙しやすい国民でしょうか。」大江健三郎へのインタビュー/ルモンド紙(2012年3月16日) |
今回の事故で明らかになったのは、日本社会の民主主義が脆弱なものであったということです。ぼくたちは問題に声を挙げることができるでしょうか。それとも、このまま黙ったままでいるのか。今から10年たてば、日本が「民主国家」の名前にふさわしい国であったのかどうかが分かるでしょう。こんなに深く日本の民主主義が未熟であったことを感じたことはありませんでした。今起きている危機は、福島原発事故についてだけのことではないのです。私が最も絶望させられたのは、電力会社、政府の役人、政治家、メディア関係者が結託して放射能の危険を隠すために行った「沈黙による陰謀」とも呼ぶべき行為です。去年の3月11日以来、たくさんの嘘が明らかになりました。そしておそらくは、まだこれからも明らかになってゆくでしょう。これらのエリートたちが真実を隠すため陰謀を巡らせていたことが明らかになって、私は動揺しています。ぼくたちは、そんなに騙しやすい国民なのでしょうか? |
国民集団としての日本人は「世界に冠たる騙されやすい国民」であることをしっかり受け入れてから、すべての議論をやり直したほうがいいんじゃないかね