2022年4月23日土曜日

甘い汁を「もっとたくさん、もっと!」

やあいい記事だなあ、私はこの一ヶ月半のあいだ浅井基文さんのブログから五、六回はすでに引用していると思うが、いやもっとかな、いまウクライナの話で彼ぐらい信頼できる日本人はほかにいないと言っていいぐらい気にいっちまったなあ


バイデン政権こそが世界平和破壊の張本人
-プーチン批判にうつつを抜かしているときではない-

浅井基文 4/21/2022

私は3月28日のコラムでアメリカ・バイデン政権の対ロ包囲網戦略の危険な本質について考えていることを述べ、アメリカ盲信に陥ってしまって、世の中のことがまったく見えなくなっている日本国内の状況についてささやかに警鐘を鳴らし、私と同じ認識に立って厳しい対米批判を行った環球時報社説を紹介しました。しかし、現在のアメリカの危険性はもっと本質的かつ深刻であり、その暴走に歯止めをかけないと、世界の平和そのものが破壊される危険な段階にすでに至っていることを直視しなければならないと思います。

 安倍晋三氏が12日付のロサンゼルス・タイムズで、ロシアに侵攻されたウクライナを例に挙げ て、アメリカは中国の脅威に直面する台湾を防衛することを明確にするべきだとする文章を発表した(13日付け日経新聞)のは、バイデン政権を「対中戦争への道」に引きずり込もうとする意図が見え見えです。それなのに、日本国内ではさざ波一つ立たない状況が支配していることは日本政治が「癌のステージ4」に入ってしまっていることを端的に表しています。その一方では、西側メディアに踊らされてウクライナにやみくもに同情し、ロシアを「諸悪の根源」と仕立て上げなければ気が済まない、私にいわせれば「一過性」に過ぎない「政治的世論」が共存しているのです。
 4月17日付け環球時報社説「ますます膨らむワシントンの政治的欲望」(中国語原題:"的地政治胃口越来越大")は、中国が私の対米認識・対米危機感を共有していることを示すものでした。要旨を紹介するゆえんです。


 この数日間、ブリンケン国務長官、サリバン補佐官等が相次いで、ロシアとウクライナの軍事衝突がいつ収束するかについて発言している。サリバンは「長引くだろう」と言い、ブリンケン等は年末まで続く可能性があるとしている。これはワシントンの判断というよりは、そうあってほしいというホンネの表明という方が正しい。

 国際的には、この衝突は5月中には終わるだろうという見方が普遍的だったのに、ワシントンはそれを7ヶ月先に引き延ばしたことになる。今回の衝突が勃発して以来、ワシントンの動きのほとんどすべては戦争を長期化させようとするものであり、そのために一貫して様々な動員と努力を払ってきた。ワシントンの最近の「予測」が実際に意味することは、ウクライナに対して、「俺たちが後ろにいる」からいくらでも戦いなさい、と言っているに等しい。要するに、ウクライナは捨て駒として最大限に利用されているということだ。


 50日以上続いている今回の衝突から見えてきたことは、「ウクライナを助ける」というのは「大向こう受け」を狙ったアメリカの見せかけに過ぎず、乱に乗じて利をむさぼるのが本当の目的だということだ。ペンタゴンは13日にアメリカの8大軍事請負業者のトップを招いて兵器増産を議論した。軍事産業企業の株価は大幅に上昇している。アメリカの軍産複合体は戦争が長期化することによる最大の受益者である。それに加え、ロシアを最大限に消耗させ、「ロシア脅威論」を利用して欧州を自分の脇に引き寄せ、最大限にNATOを操縦する等々は、アメリカがこの戦争によって獲得できる「地縁政治上のボーナス」となる。


 バイデンは一再ならず、NATOとロシアの直接衝突は「第三次世界大戦」になるからそれは防がなければならないと述べているが、アメリカが実行していることは事態を一歩一歩その方向に押しやっているに等しい。衝突が始まって程なく、ロシアとウクライナは交渉を通じて戦火を終息する姿勢を明らかにし、何度も交渉した。第5回の交渉では双方の立場が接近し、いいニュースも伝えられた。ところが、ウクライナは「NATO加盟」などの核心問題で急に態度を変え、交渉は膠着状態に陥ってしまった。そこにはウクライナ側の戦術的考慮も働いたかもしれないが、根本原因は、このドラマがワシントンの台本に従ったものではなく、アメリカが交渉をぶち壊したことにある。


 ウクライナ危機が勃発してから人々は「新冷戦」の到来を心配してきたが、現下の情勢は「新冷戦」よりさらに危険な方向に向かって進んでいる。「冷戦」においては、対峙する双方が安全は相互的なものであることを認め、行動を抑制することによって、軍事的イデオロギー的な対峙状況の下で「長期的な(冷たい)平和」を維持してきた。しかし、今アメリカが推し進めている「ロシアをやっつける」政策は「デタランス」の域を通り越してしまっている。アメリカにとって、ウクライナの平和は優先考慮事項ではない。今のアメリカの思考を支配しているのは、冷戦終結初期の「一極支配」の単独覇権であり、それを裏打ちする傲慢さなのだ。


 しかも、ロシアとウクライナの衝突が長引くにつれて、ワシントンの地縁政治の胃袋はますます大きくなっている。アメリカ・メディアの報道によれば、バイデン政権と欧州の同盟諸国はロシアを孤立させ、弱体化させる「まったく異なる世界」を作り出すことを企んでいるという。アメリカが盛んに喧伝する「安全保障に対する懸念」から、スエーデン、フィンランドといった中立国がNATOに加盟しようとし、欧州諸国とロシアの安全を巡る対立は悪循環の軌道にはまり込みつつある。アメリカが進めるこの策略が思い通りにいくか、それともバイデン政権が企んで失敗した「民主的変革」のように挫折するかどうかはともかく、バイデン政権が意識的に推進する世界分裂の策略は「予想不可能な結果をもたらす」というロシアの警告を招いている。


 さらに危険なのは、ウクライナ危機で甘い汁を吸ったワシントンがこの策略をグローバルに展開する衝動に駆られていることだ。公知のごとく、ワシントンは今回の衝突を最大限に利用して、ロシア・ウクライナ情勢をインド太平洋情勢に絡めようとしている。すなわち、アメリカはNATOがこの地域に関心を持つように引っ張るとともに、アジア太平洋で波風を立てることにも余念がない。その表れは、日本と韓国をはじめてNATO外相会議に招請したこと、日本をAUKUSに参加させようとしていること、台湾問題で政治的動きを露骨に強めていること等々である。地縁政治のゲームにどっぷりつかったワシントンは日増しに「乱を生み、戦を生む」策源地になっていることに、すべての人が警戒し、身構える必要がある。




アメリカにとってもウクライナ戦争がとってもいい機会なのはわかるけどさ。マキャベリが「国家には時々排泄しなければならないものが溜まる」と言ったように、古い在庫の武器を排泄して軍事増産の新陳代謝でバンバンザイさ。



資本の言説基本版


もともと米と英のネオコンはそんなもんだとしても、問題なのは、ユーラシア大陸の西端島嶼部にある細々した国々、独やら仏やらなんやらも似たようなもんだってことだな。いっそこの際全部亡びたほうがいいんじゃないかね





この過程の全形態は、G -W - G 'である。G' = G + ⊿ G であり、最初の額が増大したもの、増加分が加算されたものである。この、最初の価値を越える、増加分または過剰分を、私は"剰余価値"[Mehrwert (surplus value)]と呼ぶ。この独特な経過で増大した価値は、流通内において、存続するばかりでなく、その価値を変貌させ、剰余価値または自己増殖を加える。この運動こそ、貨幣の資本への変換である。

Die vollständige Form dieses Prozesses ist daher G -W - G', wo G' = G+⊿G, d.h. gleich der ursprünglich vorgeschossenen Geldsumme plus einem Inkrement. Dieses Inkrement oder den Überschuß über den ursprünglichen Wert nenne ich - Mehrwert (surplus value). Der ursprünglich vorgeschoßne Wert erhält sich daher nicht nur in der Zirkulation, sondern in ihr verändert er seine Wertgröße, setzt einen Mehrwert zu oder verwertet sich. Und diese Bewegung verwandelt ihn in Kapital. (マルクス『資本論』第一篇第二章第一節「資本の一般的形態 Die allgemeine Formel des Kapitals」)

資本家は、 G‐W‐G’( G+ ⊿G )という自己運動に積極的にとびこんで行かねばならない〔・・・〕。使用価値は、けっして資本家の直接目的として取り扱われるべきではない。個々の利得もまたそうであって、資本家の直接目的として取り扱われるべきものは、利得の休みなき運動でしかないのだ。〔・・・〕


資本主義の原動力を、人々の欲望に求めることはできない。むしろその逆である。資本の欲動は「権利」(ポジション)を獲得することにあり、そのために人々の欲望を喚起し創出するだけなのだ。そして、この交換可能性の権利を蓄積しようとする欲動は、本来的に、交換ということに内在する困難と危うさから来る。(柄谷行人『トランスクリティーク』2001年)




…………


一週間ほど前の遠藤誉さんの記事からも抜き出しておこう。



「なぜアメリカはウクライナ戦争を愛しているのか」を報道したインドのTVにゼレンスキーが出演

遠藤誉 4/16/2022

◆インドのTVで「なぜアメリカはウクライナ戦争を愛しているのか」

 3月3日、インドの非常に著名な人気キャスターであり、Republic TV(リパブリックTV)というニュース・チャンネルなどの創設者の一人でもあるアーナブ氏が<Why Does America Love The Russia-Ukraine War? (なぜアメリカはロシア・ウクライナ戦争を愛しているのか)>を放送した。

 アーナブの語調は勢いがよく、以下のようなことを早口で力強く喋りまくった。長いので概略を書く。


 ●ウクライナ人が、より多く死ねば死ぬほど、アメリカには巨万の富が蓄積されていく。嘘と思うならロッキード・マーティンやジェネラル・ダイナミクスを見るといい。何百人ものウクライナ人が亡くなると、何十億もの大金がアメリカに入る。

 ●アメリカの人権団体は人道的な問題を叫んでいるが、しかしその同じ国・アメリカが、ウクライナ人を長引く紛争に追い込んでいる。ウクライナ人は勇敢で、強い決意で戦っているが、彼らはアメリカの金儲けゲームの犠牲者であり、大規模なアメリカの武器産業の犠牲者なのだ。

 ●誤解しないでほしいが、私は決してプーチンが正しいと言っているのではない。ロシアの天然ガスの供給が遮断されたとき、儲かるのは誰か?アメリカだ。

 ●アメリカ人が大金を稼いだ後、日本やオランダなどは、核抑止の名の下に核兵器を欲しがるだろう。そうなると世界は皆、非常に核化された、非常に危険な世界に住むことになる。

 ●前回の世界大戦中およびその後、アメリカは非常に裕福になった。彼らは広島と長崎にも爆弾を投下した。だからあなたに言いたい!もうアメリカの偽善を信じてはならないと。アメリカ人はウクライナ戦争を愛している。アメリカ人はこの戦争が決して終わらないことを望んでいるのだ。

                     (概要の文字化引用はここまで)