いまさらだが、正義というのは受肉するとほんとに恐ろしいですなあ
復讐欲動の発展としての正義[Gerechtigkeit als Entwicklung des Rachetriebes. ](ニーチェ「力への意志」遺稿、1882 - Frühjahr 1887 ) |
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ランク(1913年)はちかごろ、神経症的な復讐行為[neurotische Racheaktionen] が不当に別の人にむけられたみごとな症例を示した。この無意識の態度については、次の滑稽な挿話を思い出さずにはいられない。それは、村に一人しかいない鍛冶屋が死刑に値する犯罪をひきおこしたために、その村にいた三人の仕立屋のうちの一人が処刑されたという話である[daß einer der drei Dorfschneider gehängt werden soll, weil der einzige Dorfschmied ein todwürdiges Verbrechen begangen hat]。刑罰は、たとえ罪人に加えられるのではなくとも、かならず実行されなければならない、というのだ。(フロイト『自我とエス』第4章、1923年) |
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ファシズム的なものは受肉するんですよね、実際は。それは恐ろしいことなんですよ。軍隊の訓練も受肉しますけどね。〔・・・〕アメリカの友人から九月十一日以後来る手紙というのはね、何かこう文体が違うんですよね。同じ人だったとは思えないくらい、何かパトリオティックになっているんですね。愛国的に。正義というのは受肉すると恐ろしいですな。(中井久夫「「身体の多重性」をめぐる対談――鷲田精一とともに」2003年『徴候・記憶・外傷』所収) |
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ヨーロッパで起きる次の戦争はロシア対ファシズムだ。ただし、ファシズムは民主主義と名乗るだろう。La próxima guerra en Europa será entre Rusia y el fascismo, pero al fascismo se le llamará democracia(フィデル・カストロ Fidel Castro、Max Lesnikとの対話にて、1990年) |
人類というのはいくら繰り返し言ってもいつまでも気がつかないんだよなあ
正直に言いますと、毎日起きてテレビを見たり新聞を読んだりするのが大変不愉快であります。この戦争はまったく不必要な戦争なんですよ。で、不必要な戦争を始めて、それを長引かせようとしていると思う。それで、最終目的は単にプーチンを失脚させることだけではなくて、最終的にこれを推し進めると、ロシア文明自体を破壊することを狙っていると。 |
で、どこかの国が世界最強のスーパーパワーだからといって、1000年以上のしかも優れた文明をもつ国を根本から壊そうとしている。これはものすごくグロテスクな行為ですよね。しかもそのようなグロテスクな戦争がまったく不必要であると。 しかも世界中のマスコミが、日本だけじゃなくてアメリカだけじゃなくて、世界中の少なくとも西側諸国のマスコミが、アメリカが描いたシナリオの通りに進められている戦争に拍手喝采して、いかにもなにか自分たちが正義の戦争をやっていると思い込んでいる。 |
僕は毎日これを見せつけられるんですね。これはね、たいへん不愉快な話なんですね。で、人類とはこのくらい馬鹿であったかと。 要するにこういうことを仕組むアメリカのやり方にたいして腹が立つだけじゃなくて、それをたっぷり全部呑み込んで鵜呑みして、黄色い声をあげて、アメリカ頑張れ、ロシアは酷いと叫んでいる人類のすべてのマスメディアですよね、それからごく少数を除いたほとんどの政治家に対して、僕はこれはもう人類の判断力というのはこの程度のものかと。 |
こういう、はっきり言って僕に言わせれば非常に邪悪な戦争が、誰かによって企画されて、ロシアをその戦争に参加せざるを得ない立場に追い込んでいって、このままでいけばロシア国家だけでなくてロシア文明自体も破壊されるかもしれない。もちろん何万人何十万人のロシア人ウクライナ人が死ぬわけですよ。 それにもかかわらず人類のほとんどが気がついていないと、なにが起きているかということを。これはもうほんとうに不愉快なんですよね。(【伊藤貫の真剣な雑談】「ウクライナ危機の深層~危険なネオコンの思い上がりと戦後保守の愛国ゴッコ」[2022/5/14]) |
三人いる仕立屋じゃなくて一人しかいない鍛冶屋を死刑にするわけいかないもんかなあ