遠藤誉さんが今年の3月10日に示した2008年以降のウクライナ年表をあらためて眺めて見たが、とってもいいね、これ。
年表:ウクライナの中立は如何にして潰されたのか |
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ウクライナ |
欧米側の動き |
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親欧米派 |
親露派 |
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2008 |
1月の世論調査では、50%のウクライナ人がNATO加盟に反対、24.3%がNATO加盟を支持 |
1月、大統領立候補者オバマがウクライナのMAP加盟を歓迎すると発表 4月、ブッシュ大統領がウクライナ訪問、NATO 加盟を支持 4月、NATOブカレストサミットでドイツとフランスの反対によりウクライナのMAP加盟が却下された |
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9月、ウクライナ-EUサミット |
4月、アメリカのブッシュ大統領がキエフを訪問した際、1000人程度のウクライナ人がキエフでブッシュに抗議活動 |
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2009 |
5月、EUの東方パートナーシップに参加 |
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7月、バイデン副大統領がウクライナ訪問、ウクライナのNATO 加盟を強く支持すると発言 |
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2010 |
ヤヌコーヴィチが 3月、EU 訪問 6月、EUとの自由貿易協定に関する法整備 6月、NATO と軍事演習などをする協力計画を許可 10月、EUとの間のビザ免除ロードマップを締結 |
2月、ヤヌコーヴィチが大統領当選、ヤヌコーヴィチ政権発足 ヤヌコーヴィチが 3月、モスクワ訪問 4月、ロシア黒海艦隊の契約を延長 6月、中立を保ち、NATO に加盟しない法律を措定 |
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2011 |
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8月、ティモシェンコ元大統領を汚職で逮捕 |
ティモシェンコの逮捕は国策捜査だとして非難 |
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2012 |
3月、EUとの連合協定を仮調印 |
7月、ロシア語の地位を守る法律を採決 |
ティモシェンコの釈放を要求 |
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2013 |
11月21日夜、EUとの連合協定調印中止を受けて、野党党首の呼びかけによるマイダン革命勃発 |
11月21日、EUとの連合協定調印を中止 |
12月15日、ジョン・マケイン共和党上院議員とクリス・マーフィー民主党上院議員がウクライナを訪問し、野党党首と会談して、マイダン革命を支持した大衆を応援し激励した |
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2014 |
2月、ウクライナ騒乱、言語法廃止 6月、ポロシェンコ政権発足 10月、議会選挙後NATO加盟を優先事項に 12月、中立放棄を宣言、ポロシェンコがNATO加盟に国民投票を約束 |
2月、ヤヌコーヴィチ大統領ロシアへ亡命 3月、クリミア独立宣言、ロシアによるクリミア併合、ドンバス地方武装蜂起 4月、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国建国 9月、ミンスク議定書を調印 |
2014年初頭、バイデンがオバマにウクライナ問題を担当したいと申し出て、ウクライナに軍事援助(対戦車ミサイル)の提供をしたいと主張したがオバマにより却下された 2月、ヌーランドアメリカ国務次官補とパイアット在ウクライナアメリカ大使、ウクライナの政変を望み、野党指導者に期待する役割について話し合っている録音がリークされた 4月、バイデンがウクライナ訪問 4月、ハンター・バイデンがウクライナ最大の天然ガス会社の取締役に就職 6月、バイデンがウクライナ訪問、ポロシェンコ大統領就任式に参加 11月、バイデンがウクライナ訪問 |
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2015 |
NATOと共同軍事演習を5回以上行う |
2月、ミンスク2を調印 |
4月、アメリカがウクライナ軍を訓練 9月、NATOがウクライナ軍訓練に540 万ユーロを提供 12月、バイデンがウクライナ訪問、ウクライナ最高議会で講演 |
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2016 |
1月、EUウクライナ自由貿易区発効 |
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3月、ハンター・バイデンが取締役を務める会社を調査する検事総長が解任された(バイデン副大統領がポロシェンコを脅迫) |
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2017 |
6月、最高議会がNATO 加盟を外交優先政策と決定 7月、ポロシェンコがNATO とMAPについて交渉開始 |
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1月、バイデン、副大統領離任前にウクライナ訪問 1月、大統領選挙中からNATO不要論を掲げたトランプが就任 |
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2018 |
1月、ドンバス再統合法可決 9月、憲法修正案を許可、NATO とEU加盟を努力目標に |
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2019 |
2月、憲法改正、NATO とEU加盟を努力義務に 5月、ゼレンスキー政権発足 |
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11月、マクロンがNATO は脳死状態と批判 |
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2020 |
1月、ロシア語を禁じる法が施行 9月、NATO加盟の新しい国家戦略を許可 |
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2021 |
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1月、バイデン政権誕生 8月、アフガニスタン米軍撤退の惨状 9月20日、NATOを中心とした15ヵ国6000人の多国籍軍によるウクライナとの軍事演習を展開 10月23日、バイデンはウクライナに180基の対戦車ミサイルシステム(ジャベリン)を配備 12月7日、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合、米軍をウクライナ国内に派遣してロシアの軍事侵攻を阻むことについて、バイデンは「検討していない」と否定的な考えを示した |
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2022 |
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1月26日、ウクライナのNATO 加盟を許さないなどのロシアの要求をNATO が正式に却下 |
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作者:遠藤誉 2022/3/10 |
とはいえーー2014年の出来事はしばしば語られいるのだがーー、それ以降の出来事だな。いまだ「8年間ドンバスが露に支配されてきた」と言っているらしい国際政治学者諸氏がいる一方で、ドンバスのロシア語話者は分離独立を求めたのではなく自治権の侵害に対して自ら反旗を翻したのだ、という見方がある。そのドンバス住民をウクライナ政府は8年間のあいだに約14000人虐殺したと。
この観点において注目すべき動きのひとつは、
・2012年7月、ロシア語地位を守る法律採択
・2014年2月、言語法廃止
・2020年1月、ロシア語を禁じる法施行
だ。
ウクライナ語とロシア語は、東京弁と沖縄弁ほどの差はないそうで(塩川伸明「ウクライナ情勢から見た「地域と国家」」2014年)、今の関西弁や東北弁よりは遠いだろうが、言ってしまえば、東京政府が関西弁や東北弁を禁止したようなものだ。ドンバス住民が怒って反乱するに決まっている。
ほかにもゼレンスキーは2019年ミンスク合意を守ると言って大統領に選ばれたのに、さる事情で?、その約束を放棄せざるを得なくなったという話がある。
遠藤誉さんの年表は米国政権への強い批判の下に作成されたもので、親米派からは「偏った年表」と見るだろうが、「8年間ドンバスが露に支配されてきた」という主張を続けている国際政治学者者たちは、いつまでも米国ドグマに囚われておらずに、どうしたらそう言えるのか、彼らの観点からの年表をまず作ってみたらどうだろう?