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2022年9月26日月曜日

私たちの洗脳の規模

 

2014年に書かれた実に洞察的な記事が出回っている。



問題はこういった記事を当時読んでも、殆どの人は「陰謀論」やら「デマゴギー」やらで片付けたことだが。それどころか、この今になっても拒絶反応を起こす羊脳者で溢れ返っているのが日本の姿だ。

ウクライナで、米国はロシアとの戦争に我々を引きずり込もうとしている


ウクライナにおける米政府の役割、 そして米政府のネオナチへの支援は、世界の他の地域にも大きな影響を与える。

John Pilger. ガーディアン 2014年5月14日


In Ukraine, the US is dragging us towards war with Russia


Washington's role in Ukraine, and its backing for the regime's neo-Nazis, has huge implications for the rest of the world


John Pilger The Guardian  13 May 2014


なぜ私たちは、 私たちの名を借りた別の世界大戦の脅威を容認しているのだろうか。なぜ、このリスクを正当化する嘘を許してしまうのか。 私たちの洗脳の規模は、まるで真実が 「起こっている最中にも起こらなかった」かのように、 「見事で、機知に富んだ、 非常に成功した催眠行為」 であるとハロルド・ピンターは書いている。

Why do we tolerate the threat of another world war in our name? Why do we allow lies that justify this risk? The scale of our indoctrination, wrote Harold Pinter, is a "brilliant, even witty, highly successful act of hypnosis", as if the truth "never happened even while it was happening".


アメリカの歴史家ウィリアム・ブラムは毎年、「アメリカの外交政策の記録に関する最新の要約」 を発表している。 それによると、 1945年以来、 アメリカは50以上の政府 (その多くは民主的に選ばれた政府)の転覆を試み、 30カ国で選挙に大きく干渉し、30カ国の民間人を爆撃し、 化学・生物兵器を使用し、 外国の指導者を暗殺しようと試みてきたのである。


多くの場合、英国は協力者であった。 世界で最も進んだ通信手段と名目上最も自由なジャーナリズムが存在するにもかかわらず、米英政府の犯罪性はおろか、人的被害の程度も西側ではほとんど認識されていない。 テロリズム- 「我々の」 テロリズム-の最も多数の犠牲者がイスラム教徒であることは、 言うに及ばずである。9.11 を引き起こした極端なジハード主義が、 英米の政策 (アフガニスタンでのサイクロン作戦)の武器として育まれたことは、 報道されない。 米国務省は4月、2011年のNATOの作戦を受け、 「リビアはテロリストの安住の地となった」 と指摘した。


Every year the American historian William Blum publishes his "updated summary of the record of US foreign policy" which shows that, since 1945, the US has tried to overthrow more than 50 governments, many of them democratically elected; grossly interfered in elections in 30 countries; bombed the civilian populations of 30 countries; used chemical and biological weapons; and attempted to assassinate foreign leaders.


In many cases Britain has been a collaborator. The degree of human suffering, let alone criminality, is little acknowledged in the west, despite the presence of the world's most advanced communications and nominally most free journalism. That the most numerous victims of terrorism – "our" terrorism – are Muslims, is unsayable. That extreme jihadism, which led to 9/11, was nurtured as a weapon of Anglo-American policy (Operation Cyclone in Afghanistan) is suppressed. In April the US state department noted that, following Nato's campaign in 2011, "Libya has become a terrorist safe haven".


「我々の」 敵の名前は、 共産主義からイスラム主義まで、 何年もかけて変わってきた。 しかし一般的には、西側勢力から独立し、 戦略的に有用な、 あるいは資源の豊富な領土を占める社会、 あるいは単にアメリカの支配に代わるものを提供する社会のことである。 こうした妨害的な国家の指導者は通常、 イランのムハンマド・モセデク、 グアテマラのアルベンス、チリのサルバドール・アジェンデのような民主主義者を暴力的に押しのけたり、コンゴ民主共和国のパトリスルムンバのように殺害されたりしている。 フィデル・カストロ、ウゴ・チャベスなど、 すべてのターゲットが西側メディアの中傷キャンペーンにさらされている。 現在はそれがプーチンだ。


The name of "our" enemy has changed over the years, from communism to Islamism, but generally it is any society independent of western power and occupying strategically useful or resource-rich territory, or merely offering an alternative to US domination. The leaders of these obstructive nations are usually violently shoved aside, such as the democrats Muhammad Mossedeq in Iran, Arbenz in Guatemala and Salvador Allende in Chile, or they are murdered like Patrice Lumumba in the Democratic Republic of Congo. All are subjected to a western media campaign of vilification – think Fidel Castro, Hugo Chávez, now Vladimir Putin.


ウクライナにおける米国の役割は、 私たちに対する意味合いにおいてのみ異なる。 レーガン時代以来初めて、 アメリカは世界を戦争に巻き込むと脅している。 東ヨーロッパとバルカン半島がNATOの軍事拠点となり、 ロシアと国境を接する最後の 「緩衝国」であるウクライナは、米国とEUが放ったファシストの力によって引き裂かれようとしているのである。 私たち西側諸国は、ウクライナのナチスがヒトラーを支持した国で、 今やそのネオナチを支持しているのである。


Washington's role in Ukraine is different only in its implications for the rest of us. For the first time since the Reagan years, the US is threatening to take the world to war. With eastern Europe and the Balkans now military outposts of Nato, the last "buffer state" bordering Russia – Ukraine – is being torn apart by fascist forces unleashed by the US and the EU. We in the west are now backing neo-Nazis in a country where Ukrainian Nazis backed Hitler.


2月にキエフの民主的に選ばれた政府に対するクーデターを首謀し、 クリミアにあるロシアの歴史的で合法的な温水海軍基地の奪取を計画していたワシントンは、失敗した。 ロシア人は、ほぼ1世紀にわたって西側からのあらゆる脅威と侵略に対して行ってきたように、 自分たちを守った。

しかし、 NATOの軍事的包囲網は、 米国が組織したウクライナのロシア系住民への攻撃とともに、 加速している。 もしプーチンを刺激してウクライナのロシア系住民を助けるように仕向けることができれば、プーチンのあらかじめ決められた 「除け者」の役割は、ロシア自体に波及し、 NATOが運営するゲリラ戦を正当化することになるだろう。


Having masterminded the coup in February against the democratically elected government in Kiev, Washington's planned seizure of Russia's historic, legitimate warm-water naval base in Crimea failed. The Russians defended themselves, as they have done against every threat and invasion from the west for almost a century.

But Nato's military encirclement has accelerated, along with US-orchestrated attacks on ethnic Russians in Ukraine. If Putin can be provoked into coming to their aid, his pre-ordained "pariah" role will justify a Nato-run guerrilla war that is likely to spill into Russia itself.


しかし、プーチンは挑発に乗らずに、ワシントンやEUとの融和を模索し、 ウクライナ国境からロシア軍を撤退させ、 ウクライナ東部のロシア系民族に週末の挑発的な住民投票を放棄するよう促すことによって、 戦争当事者を混乱に陥れている。

ウクライナの人口の3分の1を占めるロシア語を話すバイリンガルの人々は、この国の民族的多様性を反映し、 キエフから自立し、モスクワからも独立した民主的な連邦国家を長い間求めてきた。 その多くは、 西側メディアが呼ぶような 「分離主義者」でも「反乱者」 でもなく、 祖国で安心して暮らしたいという市民である。


Instead, Putin has confounded the war party by seeking an accommodation with Washington and the EU, by withdrawing Russian troops from the Ukrainian border and urging ethnic Russians in eastern Ukraine to abandon the weekend's provocative referendum. These Russian-speaking and bilingual people – a third of Ukraine's population – have long sought a democratic federation that reflects the country's ethnic diversity and is both autonomous of Kiev and independent of Moscow. Most are neither "separatists" nor "rebels", as the western media calls them, but citizens who want to live securely in their homeland.


イラクやアフガニスタンの廃墟のように、 ウクライナはCIAのテーマパークと化している。 CIA長官のジョン・ブレナンがキエフで自ら運営し、 CIAとFBIの数十人の「特別部隊」 が 「治安維持組織」 を立ち上げ、 2月のクーデターに反対した人たちへの野蛮な攻撃を指揮しているのだ。 今月オデッサで起こった大虐殺のビデオを見たり、目撃者のレポートを読んだりしてほしい。 バスに乗ったファシストの凶悪犯が労働組合の本部を焼き、 中にいた41人が殺された。 警察は横で何もせずに見ていた。


ある医師は、焼かれている人々を救おうとした。 「しかし、 私は親ウクライナのナチス過激派に止められた。 そのうちの一人が私を無礼にも押し退け、もうすぐ私やオデッサの他のユダヤ人も同じ運命をたどることになるだろうと言い放った。昨日起こったことは、 第二次世界大戦中に私の町がファシストに占領されたときにも起こらなかったことなのです。 なぜ世界中が黙っているのか、 不思議です」。

[脚注を参照]

Like the ruins of Iraq and Afghanistan, Ukraine has been turned into a CIA theme park – run personally by CIA director John Brennan in Kiev, with dozens of "special units" from the CIA and FBI setting up a "security structure" that oversees savage attacks on those who opposed the February coup. Watch the videos, read the eye-witness reports from the massacre in Odessa this month. Bussed fascist thugs burned the trade union headquarters, killing 41 people trapped inside. Watch the police standing by.


A doctor described trying to rescue people, "but I was stopped by pro-Ukrainian Nazi radicals. One of them pushed me away rudely, promising that soon me and other Jews of Odessa are going to meet the same fate. What occurred yesterday didn't even take place during the fascist occupation in my town in world war two. I wonder, why the whole world is keeping silent." [see footnote]


ロシア語を話すウクライナ人は、 生き残りをかけて戦っている。 プーチンが国境からのロシア軍撤退を発表したとき、 キエフ政権の国防長官アンドリー・パルビイ(ファシスト政党スヴォボダの創設メンバー) は、 「反乱者」 への攻撃は継続すると自慢していた。 ウィリアム・ヘイグによれば、 西側のプロパガンダは、このことをモスクワが「紛争と挑発を画策している」 と逆手に取っている。 彼の皮肉は、オデッサの大虐殺の後、 オバマがクーデター政権に対して送った 「驚くべき自制心を示した」 というグロテスクな祝辞に匹敵する。 オバマは、 クーデター政権は「正当に選ばれた」のだと言う。 ヘンリー・キッシンジャーがかつて言ったように。

「重要なのは何が真実かではなく、 何が真実と認識されるかということだ」。


Russian-speaking Ukrainians are fighting for survival. When Putin announced the withdrawal of Russian troops from the border, the Kiev junta's defence secretary, Andriy Parubiy – a founding member of the fascist Svoboda party – boasted that attacks on "insurgents" would continue. In Orwellian style, propaganda in the west has inverted this to Moscow "trying to orchestrate conflict and provocation", according to William Hague. His cynicism is matched by Obama's grotesque congratulations to the coup junta on its "remarkable restraint" after the Odessa massacre. The junta, says Obama, is "duly elected". As Henry Kissinger once said: "It is not a matter of what is true that counts, but what is perceived to be true."


アメリカのメディアでは、 オデッサの残虐行為は 「不透明」 であり、 「民族主義者」(ネオナチ) が 「分離主義者」 (ウクライナ連邦の住民投票のための署名を集める人々) を攻撃した 「悲劇」 であるとして、ごまかされてきた。 ルパート・マードックのウォールストリート・ジャーナルは犠牲者を非難したーー 「致命的なウクライナの火災は反乱軍が引き起こした可能性が高い、 政府はそう言っている」。ドイツのプロパガンダは純粋に冷戦的で、 フランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥング紙はロシアの 「宣言されていない戦争」 について読者に警告を発している。 ドイツ人にとって、プーチンが21世紀のヨーロッパにおけるファシズムの台頭を非難する唯一の指導者であることは痛烈な皮肉である。


In the US media the Odessa atrocity has been played down as "murky" and a "tragedy" in which "nationalists" (neo-Nazis) attacked "separatists" (people collecting signatures for a referendum on a federal Ukraine). Rupert Murdoch's Wall Street Journal damned the victims – "Deadly Ukraine Fire Likely Sparked by Rebels, Government Says". Propaganda in Germany has been pure cold war, with the Frankfurter Allgemeine Zeitung warning its readers of Russia's "undeclared war". For the Germans, it is a poignant irony that Putin is the only leader to condemn the rise of fascism in 21st-century Europe.


9.11以降、「世界は変わった」というのが一般的な定説である。 しかし、 何が変わったのだろうか。 偉大な内部告発者ダニエル・エルズバーグによれば、 ワシントンで静かなクーデターが起こり、軍国主義が横行するようになった。 国防総省は現在、124カ国で 「特殊作戦」 -秘密戦争を展開している。 国内では、 貧困の拡大と自由の喪失が、 永続的な戦争状態の歴史的な帰結である。 核戦争のリスクも加わり、問題は、 なぜ私たちはこれを容認しているのか、ということである。


A popular truism is that "the world changed" following 9/11. But what has changed? According to the great whistleblower Daniel Ellsberg, a silent coup has taken place in Washington and rampant militarism now rules. The Pentagon currently runs "special operations" – secret wars – in 124 countries. At home, rising poverty and a loss of liberty are the historic corollary of a perpetual war state. Add the risk of nuclear war, and the question is: why do we tolerate this?


www.johnpilger.com


脚注)2014年5月16日に以下の脚注を追記した。 親ウクライナのナチス過激派に止められ

た」という医師の引用は、 その後削除されたフェイスブックページのアカウントに

よるものである。

The following footnote was appended on 16 May 2014: The quotation from a doctor who says he was "stopped by pro-Ukrainian Nazi radicals" was from an account on a Facebook page that has subsequently been removed.



……………………


※付記



ヒットラーの独自性は、大衆に対する徹底した侮蔑と大衆を狙うプロパガンダの力に対する全幅の信頼とに現れた。と言うより寧ろ、その確信を決して隠そうとはしなかったところに現れたと言った方がよかろう。〔・・・〕


大衆はみんな嘘つきだ。が、小さな嘘しかつけないから、お互いに小さな嘘には警戒心が強いだけだ。大きな嘘となれば、これは別問題だ。彼等には恥ずかしくて、とてもつく勇気のないような大嘘を、彼らが真に受けるのは、極く自然な道理である。たとえ嘘だとばれたとしても、それは人々の心に必ず強い印象を残す。うそだったということよりも、この残された強い痕跡の方が余程大事である、と。

大衆が、信じられぬほどの健忘症であることも忘れてはならない。プロパガンダというものは、何度も何度も繰り返さねばならぬ。それも、紋切型の文句で、耳にたこが出来るほど言わねばならぬ。但し、大衆の目を、特定の敵に集中させて置いての上でだ。(小林秀雄「ヒットラーと悪魔」1960年ーー宇種に自己を失った主流メディア)