ディープステイトDSとはいったい何なのか?
現代の自由民主主義諸国におけるナチスの不吉な要素の再出現は、第三帝国の最悪の要素が1945年に敗北したのではなく、むしろ、最終的な復活に備えて密かに潜伏していたことを示す説得力のある証拠である。その中心はCIAである。CIAは、このような事態を想定してウォール街によって設立された。 |
The sinister reemergence of Nazi elements in contemporary liberal democracies offers compelling evidence that the worst elements of the Third Reich were not defeated in 1945, but were, rather, secretly incubated in preparation for their eventual return. The lynchpin for this has been the CIA, set up by Wall Street with such an eventuality in mind. 〔・・・〕 |
ほぼすべての学者を含むほとんどの市民が「深層国家(ディープステイト)」とその活動の全容に気づかないままであるが、現代の社会の現実は、基本的に「ディープステイト」の活動によって決定されているのだ。 |
While most citizens, including nearly all academics, remain oblivious of the “deep state” and the full extent of its operations, contemporary social reality is fundamentally determined by “deep state” operations. (ウォール街、 ナチス、そしてディープ・ステートの犯罪 2022年7月29日 Wall Street, the Nazis, and the Crimes of the Deep State David A. Hughes July 29, 2022) |
このデイビッド・ヒューズの言っていることの基本部分は、プーチンがフィガロのインタビューで2017年に言っていることと同じだ。
私はすでに3人のアメリカ大統領と接してきた。大統領は入れ替わるが、政治はいつも同じだ。なぜか? 官僚機構が強大だから。大統領が選ばれたとき、彼らは何かアイデアを持っているかもしれない。そして、ブリーフケースを持った人たちが、身だしなみよく、私と同じようなダークスーツを着てやってくる。赤いネクタイを除いてだが、彼らは黒か濃紺のものを好むようだから。この人たちは、物事がどのように行われるかを説明し始める。すると、たちまちすべてが変わってしまう。これは、どの政権でも起こることだ。(プーチンインタビュー、フィガロ 2017/05/29) |
I have already spoken to three US Presidents. They come and go, but politics stay the same at all times. Do you know why? Because of the powerful bureaucracy. When a person is elected, they may have some ideas. Then people with briefcases arrive, well dressed, wearing dark suits, just like mine, except for the red tie, since they wear black or dark blue ones. These people start explaining how things are done. And instantly, everything changes. This is what happens with every administration. ーVladimir Putin's interview with Le Figaro. recorded on May 29 2017 |
米国のディープステート(闇の政府)の悪などと言われるが、その内実は何よりもまず官僚支配ということであり、官産複合体[Bureaucratic Industrial Complex]ーー軍産複合体[Military industrial complex]やら医産複合体[Medical Industrial Complex]やらーーとは、マルクスが示したG -W - G '(G + ⊿ G)に強力に支配されているということだ。 |
G -W - G '(G + ⊿ G)とは、G(貨幣) - W(商品) - G '(貨幣G+剰余価値⊿ G )であり、ここにすべての資本の欲動(資本の駆り立てる力)の核がある。 |
この過程の全形態は、G -W - G 'である。G' = G + ⊿ G であり、最初の額が増大したもの、増加分が加算されたものである。この、最初の価値を越える、増加分または過剰分を、私は"剰余価値"[Mehrwert (surplus value)]と呼ぶ。この独特な経過で増大した価値は、流通内において、存続するばかりでなく、その価値を変貌させ、剰余価値または自己増殖を加える。この運動こそ、貨幣の資本への変換である。 Die vollständige Form dieses Prozesses ist daher G -W - G', wo G' = G+⊿G, d.h. gleich der ursprünglich vorgeschossenen Geldsumme plus einem Inkrement. Dieses Inkrement oder den Überschuß über den ursprünglichen Wert nenne ich - Mehrwert (surplus value). Der ursprünglich vorgeschoßne Wert erhält sich daher nicht nur in der Zirkulation, sondern in ihr verändert er seine Wertgröße, setzt einen Mehrwert zu oder verwertet sich. Und diese Bewegung verwandelt ihn in Kapital. (マルクス『資本論』第一篇第二章第一節「資本の一般的形態 Die allgemeine Formel des Kapitals」) |
例えば軍産複合体であれば、G -W - G '(G + ⊿ G)とは「貨幣 - 武器 - 貨幣プラス剰余価値」であり、医産複合体であるなら、武器の項目にワクチンなる「生物兵器」が代入される。食産複合体における「食物兵器」は、現在話題になっている「昆虫食」に象徴される。 |
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G -W - G 'における商品Wの項は何でもよいのである、剰余価値⊿ Gさえ獲得できれば。したがってマルクスは最終的にはG - G′と記すようになる、銀行や株主資本に支配された「資本 - 資本プラス剰余価値」である。ここでの剰余価値の別名が資本フェティッシュ[Kapitalfetisch]である。 |
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利子生み資本では、自動的フェティッシュ[automatische Fetisch]、自己増殖する価値 、貨幣を生む貨幣[selbst verwertende Wert, Geld heckendes Geld]が完成されている。〔・・・〕 |
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ここでは資本のフェティッシュな姿態[Fetischgestalt] と資本フェティッシュ [Kapitalfetisch]の表象が完成している。我々が G - G′ で持つのは、資本の中身なき形態 [die begriffslose Form des Kapitals]、生産諸関係の至高の倒錯と物件化[Verkehrung und Versachlichung]、すなわち、利子生み姿態・再生産過程に先立つ資本の単純な姿態である。それは、貨幣または商品が再生産と独立して、それ自身の価値を増殖する力能[Fähigkeit des Geldes, resp. der Ware, ihren eignen Wert zu verwerten, unabhängig von der Reproduktion]ーー最もまばゆい形態での資本の神秘化[Kapitalmystifikation]である。(マルクス『資本論』第三巻第二十四節 ) |
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官産複合体なる闇の国家とは、実際はシンプルに「資本フェティッシュ」の神秘の奴隷になった国家ということに他ならない。この典型が冒頭に掲げたウォール街によるナチスの最悪の要素が席巻する現在の有様だ。 もっともこの官産複合体は何も米国だけに限らず、世界資本主義という釈迦の掌の上にのって活動するすべての国家はこの資本フェティッシュを免れることは事実上できない。資本の神秘化を最も典型的に体現しているのが米ネオコン体制、とくにウクライナ紛争でのそのシステムというだけである。
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これらは既に過去から言われてきたことだ。例えば、ドゥルーズ &ガタリなら「戦争機械」という表現で。 |
問題は、戦争機械がいかに戦争を現実化するかということよりも、国家装置がいかに戦争を所有(盗用)するかということである [La question est donc moins celle de la réalisation de la guerre que de l'appropriation de la machine de guerre. C'est en même temps que l'appareil d'Etat s’approprie la machine de guerre]〔・・・〕 国家戦争を総力戦にする要因は資本主義と密接に関係している「les facteurs qui font de la guerre d'Etat une guerre totale sont étroitement liés au capitalisme ]。 現在の状況は絶望的である。世界的規模の戦争機械がまるでSFのようにますます強力に構成されている[Sans doute la situation actuelle est-elle désespérante. On a vu la machine de guerre mondiale se constituer de plus en plus fort, comme dans un récit de science-fiction ;](ドゥルーズ &ガタリ『千のプラトー』「遊牧論あるいは戦争機械』1980年) |
ドゥルーズは死の2年前のインタビューでもこう言っている。 |
マルクスは間違っていたなどという主張を耳にする時、私には人が何を言いたいのか理解できない。マルクスは終わったなどと聞く時はなおさらだ。現在急を要する仕事は、世界市場とは何なのか、その変化は何なのかを分析することである。そのためにはマルクスにもう一度立ち返らなければならない。 Je ne comprends pas ce que les gens veulent dire quand ils prétendent que Marx s'est trompé. Et encore moins quand on dit que Marx est mort. Il y a des tâches urgentes aujourd'hui: il nous faut analyser ce qu'est le marché mondial, quelles sont ses transformations. Et pour ça, il faut passer par Marx:(ドゥルーズ「思い出すこと」死の2年前のインタビュー、1993年) |