家庭菜園「ダーチャ」はこんなに小さな土地なのか、思い込んでいたイメージとはだいぶ違うな。600m2なら181.5坪で、日本だって可能な広さじゃないんだろうか。
◼️なぜソ連政府は別荘・家庭菜園「ダーチャ」にきっかり600m2を割り当てたのか |
ソ連の家族の多くは、国から土地を受け取り、そこで別荘・家庭菜園「ダーチャ」をつくり、野菜や果物を育てることができた。しかしその際、敷地面積は、厳しく規制されていた。すなわち、6ソートカ、つまり600m2だ(たとえば、敷地の幅が20㍍、長さが30㍍)。 |
この「ダーチャ基準」の提唱者は、モスクワ農業大学のヴィタリー・エーデリシュテイン教授だ。彼は生涯を通じて、野菜栽培技術に関する学術論文を500本以上書いている。著書『個人菜園』の中で、彼は、どの作物をどのくらいの量育てるのが最適かを、すごく細かく計算している。年間基準は、500.7キログラムだった。 教授は、ジャガイモ、ニンジン、タマネギ、キュウリ、トマト、キャベツを、主な野菜として挙げている。つまり、ロシア人が今でも家庭菜園で育てているものすべてだ。 次に、エーデリシュテインは、菜園に必要な面積(124.5m2)を計算して割り出し、それに家族の人数(平均4人)をかけて、さらに庭木や家屋のスペースを加えた。それがちょうど600m2になったわけだ。 |
彼の計算に基づき、1949年にソ連閣僚会議(内閣に相当)は、「勤労者の集団および個人の園芸に関する」法令を公布し、市域内では600m2、市域外では1200m2という基準を定めた。なるほど、これに先立つ1930年代にも、ソ連国民にダーチャが割り当てられてはいたが、その広さはまちまちだった。教授は、1961年に「社会主義労働英雄」の称号を授与された。 |
この程度の面積なら、日本でも山奥なら、最近は50万円程度で買えるところがあるらしいから、どうだい、そろそろ準備しておいたら? 世界経済崩壊まじかだろうし、餓死したくなかったら。
ま、家庭菜園自体も時期によっていろんな広さや使用法があったんだろうがね、特にソ連崩壊後の悲惨な10年ぐらいのあいだはまったく異なった使い方がされていたのかもしれない。
◆中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」より(2000年初出)『時のしずく』所収 |
今、家族の結合力は弱いように見える。しかし、困難な時代に頼れるのは家族が一番である。いざとなれば、それは増大するだろう。石器時代も、中世もそうだった。家族は親密性をもとにするが、それは狭い意味の性ではなくて、広い意味のエロスでよい。同性でも、母子でも、他人でもよい。過去にけっこうあったことで、試験済である。「言うことなし」の親密性と家計の共通性と安全性とがあればよい。家族が経済単位なのを心理学的家族論は忘れがちである。二一世紀の家族のあり方は、何よりもまず二一世紀がどれだけどのように困難な時代かによる。それは、どの国、どの階級に属するかによって違うが、ある程度以上混乱した社会では、個人の家あるいは小地区を要塞にしてプライヴェート・ポリスを雇って自己責任で防衛しなければならない。それは、すでにアメリカにもイタリアにもある。 |
困難な時代には家族の老若男女は協力する。そうでなければ生き残れない。では、家族だけ残って広い社会は消滅するか。そういうことはなかろう。社会と家族の依存と摩擦は、過去と変わらないだろう。ただ、困難な時代には、こいつは信用できるかどうかという人間の鑑別能力が鋭くないと生きてゆけないだろう。これも、すでに方々では実現していることである。 現在のロシアでは、広い大地の家庭菜園と人脈と友情とが家計を支えている。そして、すでにソ連時代に始まることだが、平均寿命はあっという間に一〇歳以上低下した。高齢社会はそういう形で消滅するかもしれない。 |
それは不幸な消滅の仕方であり、アルミニウムの有害性がはっきりして調理器から追放されてアルツハイマーが減少すれば、それは幸福な形である。運動は重要だが、スポーツをしつづけなければ維持できにような身体を作るべきではない。すでに、日本では動脈硬化は非常に改善しており、私が二〇歳代に見た眼底血管の高度な硬化は跡を絶った。これは、長期的には老人性痴呆の減少につながるはずである。もっとも、長寿社会は、二〇年間で済んだカップルの維持を五〇年間に延長した。離婚率の増大はある程度それに連動しているはずだ。 むしろ、一九一〇年代に始まる初潮の前進が問題であるかもしれない、これは新奇な現象である。そのために、性の発現の前に社会性と個人的親密性を経験する前思春期が消滅しそうである。この一見目立たない事態が、今後、社会的・家族的動物としてのヒトの運命に大きな影響をもたらすかもしれない。それは過去の早婚時代とは違う。過去には性の交わりは夫婦としての同居後何年か後に始められたのである。 |
より長くは、「家族なき社会はない」を見よ。 先の話に戻れば、こんなデータがある。 1人当たり農地面積3.5a、1アールは30坪強だから、100坪ほどだ。4人家族で、400坪。充分できるじゃないか、家庭菜園「ダーチャ」が。あとは森林をいくらか開発して、AIロボット農業や、さらにはAI医療、ドローン配達便などを発展させればいいだけだろ? |