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2025年10月9日木曜日

ミアシャイマー「ニュルンベルク裁判 IIがあったならば、バイデンとその側近、トランプとその側近が被告席に立つことになる」

 


以下、マイケル・ハドソン研究会訳から。


◼️ジョン・ミアシャイマー 「ウクライナとガザで自滅する西側」―グレン・ディ ーセンとの対話

John Mearsheimer: West Destroying Itself in Ukraine & Gaza, Glenn Diesen Oct 9, 2025

事実、私たちがイスラエルを無条件に支援していることで、私たちはジェノサイドに加担しているのです。イスラエルはアパルトヘイト国家です。そして、このアパルトヘイト国家がジェノサイドを実行しているのです。米国はこれを無条件で支援しており、米国の支援なしにイスラエルがこのジェノサイドを実行することは不可能です。

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虐殺という言葉を使いたくないとしても、少なくとも大量殺戮であることに間違いありません。パレスチナ人に起こっていることは、まったくもって恐ろしいことです。繰り返しになりますが、米国もこれに共謀しています。もし「ニュルンベルク裁判 II」があったならば、ジョー・バイデン氏とその側近たち、そしてドナルド・トランプ氏とその側近たちが被告席に立つことになる。

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欧州の事例について少し触れますと、一極支配の時代に米国とその同盟国は、世界と向き合う魔法の公式を見つけたと思い込んだのです。自由民主主義こそが未来の潮流であり、自由民主主義に過ちはなく、権威主義国家と自由民主主義を対峙させれば、自由民主主義が常に勝利すると。


さらに、フランク・フクヤマが指摘したように、自由民主主義には追い風があるため、長期的に見ればあらゆる権威主義国家は失敗する運命にあると考えられました。つまり、物事は自由民主主義の方向へ進んでいる。道中にはいくつかの障害があるかもしれないが、最終的には我々が勝利する。歴史の弧は我々の方向へ動いている。


そして、今日の欧州の指導者たちを見ると、彼らはまさにその世界観の中で育った世代です。彼らは一極支配の時代に成人し、西洋こそが最善であり、西洋に代わる選択肢は存在しないと確信するに至りました。そして今もなお、従来通りの政策を追求すれば最終的に勝利を収められる、我々は正しい側に立っているという考えを継続しているのです。彼らが成人した時代――一極支配の時代――が終焉を迎えたことを認識し、適応する能力を全く持ち合わせていないのです。それは完全に終わったのです。


米国は唯一の極ではありません。地球上で唯一の超大国でもありません。さらに、ロシアや中国のような国々が今や超大国となっているだけでなく、西側諸国、特に米国が単極時代に行った様々な冒険において、失敗の歴史が豊富にあるのです。これが永遠の戦争を生み出した所以です。


しかし彼らは、現代が多極化世界であるという事実を受け入れることができないようです。米国と西側諸国が主導権を握る単極世界ではなく、多極化世界が現実なのです。さらに、彼らが愛し、単極時代に素晴らしいと信じていた政策の多くは、結局失敗に終わりました。


一極支配の時代に私たちが得たのは、数多くの永遠の戦争でした。もし彼らが少し考えてみれば、ウクライナで今まさに永遠の戦争に巻き込まれていることに気づくはずです。しかし彼らは理解していないようです。

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西側の破綻を如実に物語っているのは、ガザ虐殺への反応だと思います。西側はリベラルな価値観を信じ、広めることを誇りとしています。私はこれを明確に申し上げます。私はリベラルな価値観の擁護者です。そして、私がリベラルな民主主義国家である米国で生まれ育ったこと、あるいはリベラルな民主主義国家に生きていることを、素晴らしいことだと考えています。


ですから、私はリベラリズムやリベラルな価値観の敵など決してありません。この点は明確に申し上げておきます。しかし、その立場ゆえに、私はイスラエルがガザで行っている行為と、西側諸国(主にアメリカ合衆国を指しますが、アメリカだけでなく)がイスラエルの虐殺を支持している姿勢に対して、極めて批判的にならざるを得ません。言葉を選びながら申し上げますが。


しかし、ここで起きている事態について考えてみてください。西側諸国、つまりリベラルな西側諸国が虐殺に加担しているのです。これは隠された虐殺ではありません。カンボジアのような事例とも異なります。ガザで起きていることは公然の事実であり、極めて明白です。では西側諸国は今、何をしているのでしょうか?


一般市民の反応は別問題です。しかし、統治エリート層、特に貴方の質問が触れた統治エリート層、すなわち米国や欧州、特に英国やドイツなどの西側諸国の外交政策を担う体制層に注目すると、この2年間にわたり公然と行われているジェノサイドに加担している事実は、私にとって実に衝撃的です。


もし本当に西側の価値観やリベラルな価値観を信じているのなら(我々の指導者たちはそう主張しています)、一体なぜイスラエルを支援しているのでしょうか? 彼らはこれが始まった時点で即座に止めさせるべきでした。このような事態は決して起こってはならないのです。しかし現実は起こり、エリート層は全く理解していないようです。


なお、念のため申し添えますが、一般市民が虐殺の継続を熱望しているわけではありません。むしろ今朝ウォール・ストリート・ジャーナル紙で読んだ記事によれば、英国政府はパレスチナ支援の毎日の抗議活動をどう止めればよいか途方に暮れているとのことです。記事ではほぼ毎日のようにパレスチナ支援デモが行われていると報じています。


そしてもちろん、米国の世論を見ても、右派左派を問わず、あらゆる層の人々がこの虐殺を止めなければならないと理解しています。つまり、エリート層の下には、虐殺の即時停止を即座に支持する大衆が存在しているのです。しかし彼らは虐殺を止めようとしません。先ほど申し上げた点に戻りますが、彼らは虐殺に加担しているのです。


どうしてこのようなことが起こり得るのでしょうか?そして、彼らはこの行為がもたらす結果を理解していないのでしょうか?西側以外の国々から見た時、彼らが第一級の偽善者と映っていることに気づいていないのでしょうか。リベラルな価値観を掲げ、人権やジェノサイド条約を信奉すると言いながら、この偽善ぶりは驚くべきものです。しかし偽善以上に深刻なのは、虐殺への加担そのものです。


これが現在の状況です。西側諸国は深刻な危機に直面しています。そして多くの点で、これは自業自得と言えるでしょう。つまり、一極支配から多極化へ移行する過程が極めて複雑であり、この新たな世界に適応するための様々な初期費用が発生することは疑いようがありません。国際政治が複雑なものであることは理解しています。指導者であることは難しいことですよね?


いかなる状況下でも、いかなる時期においても、これらの国の指導者にはなりたくありません。政治指導者であることは非常に困難であり、それは皆が理解していることです。しかし、近年の西側諸国の指導者たちの行動、ウクライナ問題から始まり、今やガザ問題にまで及ぶ様子を見ると、戦略的観点からも道徳的観点からも、西側指導者たちの愚かさは信じがたいほどです。


《もし「ニュルンベルク裁判 II」があったならば、ジョー・バイデン氏とその側近たち、そしてドナルド・トランプ氏とその側近たちが被告席に立つことになる[If we had NurembergⅡ,  Joe Biden and his lieutenants and Donald Trump and his lieutenants would be in the dunk. ]》(動画:47:30)とあるが、バイデン周りやトランプ周りだけでなく、ほとんどの西側リーダーがニュルンベルク裁判 IIの被告人に違いない。

逆に言えば、彼らはこれが分かっているから、そこから逃れるために戦争を続けざるを得ないのだ。場合によっては世界の破滅に向かう戦争を。ーー《世界の終わりは内的カタストロフィの投影である[Der Weltuntergang ist die Projektion dieser innerlichen Katastrophe]》(フロイト『症例シュレーバー』第3章、1911年)

……………

◼️マイケル・ハドソン「戦略的乖離の継続」2025年3月25日

The Strategic Disjoint Continues By Michael Hudson, March 25, 2025 

ラブロフは言った、我々は戦争犯罪裁判、ニュルンベルク裁判のようなものをしなければならないだろう、と。そして何人かは絞首刑にされるだろう。それはおそらくゼレンスキーだけでなく、アゾフ大隊の人々、ネオナチ、バンデラ派、米国が国家安全保障機関、軍隊、警察、ナチスが国を支配するために入り込むあらゆる分野の責任者に据えた人々だろう。

Lavrov has said, Well, we’re going to have to have something like a war crimes trial, a Nuremberg, and some people are going to be hanged. And that’s going to be, probably not only Zelensky, but the Azov battalion people, the neo-Nazis, the Banderites, who the United States put in charge of the national security agencies, the army, the police, all of the thing, the areas that Nazis go into to control a country.



◼️「ウクライナは消滅する」ミアシャイマーとプーチン顧問カラガノフが米露関係について議論

"'Ukraine Will Be Eliminated' John Mearsheimer and Putin Advisor Sergey Karaganov Discuss US-Russia Relations" Al Arabiya English, Apr 1, 2025.

セルゲイ・カラガノフ:ヨーロッパ人は単に狂っている。 彼らは戦争をできるだけ長引かせ、ウクライナ人の後を追い、すでに100万人以上のウクライナ人を浪費した後、東中欧の人々を戦場に送り込もうとしている。


彼らがこの戦争を必要としているのは、自分たちではなく、完全に狂っていて完全に失敗しているこのエリートを救うためだ。 エリートは完全に狂っており、完全に失敗している。エリートは、自分たちの過ちを隠蔽するために、この戦争を必要としているのだ。 彼らは失敗者であり、戦争が必要なのだ。

Europeans are simply insane. They want to prolong the war as long as possible, sending after Ukrainians, after they waste more than a million Ukrainians already, they want to send East-Central Europeans into the battle.


They need this war to save, not they, this elite which is completely insane and has completely failed. It needs this war to cover up their mistakes, if not worse. They are failures and they need a war.


……………/

先のミアシャイマーはネオコンイデオローグのフクヤマの話を出しているので、柄谷をつけ加えておこう。

第二次大戦後の世界は全体として、アメリカのヘゲモニーの下で“自由主義”的であったといえる。それは一九世紀半ば、世界経済がイギリスのヘゲモニー下で“自由主義”的であった時期に似ている。しかし、このような世界体制は、一九七〇年代になって揺らぎ始めた。一つには、敗戦国であったドイツや日本の経済的発展とともに、アメリカの圧倒的ヘゲモニーが失われたからである。


しかし、一般に注目されたのは、一九九一年にソ連邦が崩壊し、それとともに、「第二世界」としての社会主義圏が消滅するにいたったことのほうである。このことは、「歴史の終焉」(フランシス・フクヤマ)として騒がれた。愚かしい議論である。このような出来事はむしろ、「歴史の反復」を示すものであったからだ。


そのことを端的に示すのは、一九八〇年代に、それまで「第一世界」を統率し保護する超大国とし“自由主義”を維持してきた米国が、それを放棄し“新自由主義”を唱え始めたことである。つまり、ソ連の「終焉」より前に、資本主義経済のヘゲモンとしての米国の「終焉」が生じたのだ。それは、一九世紀後半にイギリスが産業資本の独占的地位を失い、それまでの“自由主義” を放棄したこと、 すなわち、 “帝国主義”に転化したことと類似する。 (柄谷行人『力と交換様式』2022年)


ミアシャイマーはこのフクヤマのネオコンイデオロギーに触れた後、《今日の欧州の指導者たちを見ると、彼らはまさにその世界観の中で育った世代です。彼らは一極支配の時代に成人し、西洋こそが最善であり、西洋に代わる選択肢は存在しないと確信するに至りました。そして今もなお、従来通りの政策を追求すれば最終的に勝利を収められる、我々は正しい側に立っているという考えを継続しているのです。彼らが成人した時代――一極支配の時代――が終焉を迎えたことを認識し、適応する能力を全く持ち合わせていないのです》といっているが、これはウクライナ紛争で活躍した日本の中堅国際政治学者も同様である。



以前に国際政治チャネルなるものの「9.11テロから20年」を眺めてみたことがあるが、次の面々は、ネオコンイデオローグの典型フランシス・フクヤマに2020年代になってもほとんど無批判なのに驚いたことがある。さらにこのうちのひとりはネオコンロールモデルとして噂の高かったマデレーン・オルブライトをひたすら持ち上げていたりして呆気に取られたね。


YouTube:特別企画「9.11テロから20年」 #国際政治ch 104 2021年9月11日


出演:細谷雄一(慶應大法学部教授), 池内恵(東京大学先端研教授), 中山俊宏(慶應大総合政策学部教授), 篠田英朗(東京外国語大学大学院教授)





どうだろ、ウクナチ応援団をやったこういった国際政治学者連中は、「東京裁判 Ⅱ」の被告席に立ってもらったら?