このブログを検索

2026年5月8日金曜日

俺がこれを見過ごしたら一生自分を卑劣漢だと思うだろうよ


人は忘れるのだ。深く考えなかったこと、他人の模倣や周囲の過熱によって頭にタイプされたことは、早く忘れる。周囲の過熱は変化し、それとともにわれわれの回想も更新される。外交官以上に、政治家たちは、ある時点で自分が立った見地をおぼえていない、そして、彼らの前言とりけしのあるものは、野心の過剰よりは記憶の欠如にもとづくのだ。社交界の人々といえば、ほとんどの事柄はおぼえていないにひとしいのである。

On oublie, du reste, vite ce qu'on n'a pas pensé avec profondeur, ce qui vous a été dicté par l'imitation, par les passions environnantes. Elles changent et avec elles se modifie notre souvenir. Encore plus que les diplomates, les hommes politiques ne se souviennent pas du point de vue auquel ils se sont placés à un certain moment, et quelques-unes de leurs palinodies tiennent moins à un excès d'ambition qu'à un manque de mémoire. Quant aux gens du monde, ils se souviennent de peu de chose.

(プルースト「囚われの女」)


人は忘れるんだよ、キミたちツイッター社交界の人々はほとんど何もおぼえていないんだろうよ。

イジメのすすめ」で記したことは、遠回しに篠田英朗と池内恵を馬鹿にしてるんだがね、他の国際政治学者たちよりはマシだというだけだよ。なんたってこの2人は2022年には次のように言っていたわけでね。ボクは「幸運にも」メモっていたので、忘れかけていた内容を時に反芻できるがね。





この当時、高橋悠治が次のように言っていたが、これこそ「真の知性」というもんだよ


◼️高橋悠治「ニュースというウソから」ーー「水牛のように 」2022/06

危ない時代だ。毎日ニュースを見てしまう。世界はアメリカ側とそうでない方に分かれて、日本はアメリカ側だから、報道されないこと、歪められているニュースばかりで、そうでないニュースはネットで探すよりない。


第2次世界大戦が終わったあと、ラジオも新聞も1日で変わった。その後、アメリカ占領下で、また変わったが、新聞に書かれていることから書かれてないことを読み取る技術があって、子どもでも使うことができた。そんな情勢は1950年代の後半まで続いた。


今はまたそういう時代が来ている。これがいつまで続くのかわからない。日本では、今まで見ていた個人のコラムも、信頼できなくなったものが多い。昔アメリカではNew York Times、イギリスでGuardian、フランスでLe MondeとNouvel Observateurを読んでいた。コンサート評も翌日には載っていた。今はどうなっているだろう。テレビや新聞も政府と同じことを書いている。フェイクニュース・偽旗作戦・プロパガンダ、知らせないだけでなく、ウソを書くのが当たり前に通用する。反論は削除されるだけでなく、書き手も排除される。メディアさえも、禁止されて見えないものもあれば、ある日突然見られなくなることもあった。日本では、同調圧力が他より強いと言われるが、今はどこでもそれがあるのが見える。


逆に、メディアが禁止されてない場合なら、日本のことは他所の報道で見たらわかることもある。日本語の報道は多くないし、同じ所の英語報道と比べると、はっきり書くのを避けている感じがする。日本人の排外感情を刺激しないようにしているのだろうか。英語報道も英語圏でないか、小さな独立メディアを見つけないと、ウソと戦争ヒステリーで読めない。


グローバリズムは1990年代から潮が引いて、民主主義は Change! と唱えながら、 クーデターと暗殺と買収の別名になったようだ。歴史は海から大陸へ、西から東へ移っていくのか。


そのなかで、音楽は無用の仕事になるほどに、抵抗と意義を増すのだろうか。分析と精密の代わりに、曖昧なひろがり、息のつける空間、かすかな流れの時間を、どうやって創り出せるだろう。


それに比べてあの2人は精神の中流階級にほかならない、ーー《学者というものは、精神の中流階級に属している以上、真の「偉大な」問題や疑問符を直視するのにはまるで向いていないということは、階級序列の法則から言って当然の帰結である。加えて、彼らの気概、また彼らの眼光は、とうていそこには及ばない。Es folgt aus den Gesetzen der Rangordnung, dass Gelehrte, insofern sie dem geistigen Mittelstande zugehören, die eigentlichen grossen Probleme und Fragezeichen gar nicht in Sicht bekommen dürfen: 》(ニーチェ『悦ばしき知識』第373番、1882年)


いまさらわざわざ、例えばマルコ・ルビオの発言を引用する必要はないかもしれないが、健忘症のキミたちのために掲げとくよ。


◼️Secretary of State Marco Rubio With Sean Hannity of Fox News

INTERVIEW MARCO RUBIO, SECRETARY OF STATE MARCH 5, 2025

質問  先週の金曜日に同席されていましたね。  少し現実離れした感じがしました。金曜日に私は彼が戻ってくると言いましたが、その通りだったと思います。昨日のXへの手紙と投稿には、この事態を軌道に戻すために必要なことはすべて書かれていました。  あなたの考えは?


ルビオ国務長官  先週の金曜日について理解すべき重要なことは、先週の金曜日のことではないと思います。  それに至るまでのすべてです。  トランプ大統領がこれを長期にわたる膠着状にある紛争と見なしていることは、最初から非常に明らかでした。率直に言って、これは核保有国ーーウクライナを支援する米国とロシアーー間の代理戦争であり、終わらせる必要があります[And frankly, it’s a proxy war between nuclear powers – the United States, helping Ukraine, and Russia – and it needs to come to an end]。そして、誰もそれを終わらせるアイデアや計画を持っていません。これまでのウクライナ人と連邦議会におけるその同盟者、そして他の国々で話を聞く人たちの計画は、必要なだけ、必要なだけ、必要なだけ与え続けることです。それは戦略ではありません。


ロシア側は、明らかにこの紛争の初期段階では苦戦しました。彼らはより大きな国です。彼らはいくらか進展しました。しかし、ロシアが圧倒的に勝利しているわけでもありません。つまり、これは膠着した紛争です。これは全員に説明され、非常に明確になりました。大統領がここでやろうとしているのは、平和への道があるかどうかを見極めることです。私たちはロシアとウクライナの双方と関わらなければなりません。そして我々はウクライナ人に妨害しないよう求めた。副大統領が、このような問題を解決するには外交が必要だと指摘したとき、ゼレンスキー大統領は残念ながら副大統領に異議を唱え、外交がそもそも可能かどうか疑問視し始める決断をした。実質的に大統領の計画を妨害し、 損なう行為です。


それが騒動を引き起こしました。 その立場が見直されたことを嬉しく思います。 なぜなら、この紛争を終わらせる方法を見つけなければならないと真剣に信じているからです。 そのためには両者からの譲歩が必要ですが、 まずは両者を交渉のテーブルに着かせる必要があります。 当然、 ウクライナはそこにいなければなりません。  彼らの国ですから。 ロシアもそのテーブルに着く必要があります。 そしてそれを実現できるのはトランプ大統領だけです。 それが目標であり、今もその目標であり、 我々が今注力していることです。

QUESTION:  You were in the room last Friday.  It was somewhat surreal, and I said on Friday and I think I’ve been proven correct that he will be back, and that letter and that post on X yesterday said everything that I think needed to be said to get this thing back on track.  Your thoughts?


SECRETARY RUBIO:  Well, I think an important thing to understand about last Friday is not last Friday.  It’s everything that led up to it.  It’s been very clear from the beginning that President Trump views this as a protracted, stalemated conflict.  And frankly, it’s a proxy war between nuclear powers – the United States, helping Ukraine, and Russia – and it needs to come to an end.  And no one has any idea or any plan to bring it to an end.  The plan of the Ukrainians up to now and their allies on Capitol Hill and the people you talk to in other countries is let’s just keep giving them as much as they need for as long as it takes.  That’s not a strategy. 


On the Russian side, obviously, they struggled early on in this conflict.  They’re a bigger country.  They’ve made some progress.  But by no means are the Russians running away with it either.  So it’s a stalemated conflict.


This was explained to everybody and it was made very clear.  All the President is trying to do here is figure out if there’s a path towards peace.  We have to engage both sides, the Russians and the Ukrainians.  And we asked the Ukrainians not to sabotage it.  When the Vice President made the point that it’s going to take diplomacy to get things like this solved, President Zelenskyy unfortunately made the decision to challenge the Vice President and start questioning whether diplomacy is even possible; in essence, sabotaging and undermining the President’s plan.


And so that led to the dust-up.  I’m glad to see that there’s been a reconsideration of that position because I truly believe that this is a conflict that we need to find a way to end.  And it’s going to require concessions from both sides, but we have to get them both to the table.  The Ukrainians have to be there, obviously.  It’s their country.  The Russians have to be at that table.  And only President Trump can make that possible.  That’s been the goal, that remains the goal, and that’s what we’re focused on now.




というわけだが、あの2人に対しては若き中井久夫が「楡林達夫」という筆名で言った俺がこれを見過ごしたら一生自分を卑劣漢だと思うだろうな」という怒りのマグマが心内でふつふつとしたままだよ、


たまたま、私のすぐ前で、教授が私の指導者で十年先輩の助手を連続殴打するということがあった。教授の後ろにいた私はとっさに教授を羽交い締めした。身体が動いてから追いかけて「俺がこれを見過ごしたら一生自分を卑劣漢だと思うだろうな」という考えがやってきて、さらに「殿、ご乱心」「とんだ松の廊下よ」と状況をユーモラスなものにみるゆとりが出たころ、教授の力が抜けて「ナカイ、わかった、わかった、もうしないから放せ」という声が聞こえた。  これだけのことであるが、しかし、ただでは済まないであろう。その夜、私はクラブの部室を開けて、研究者全員を集め、「今までもこういうことがなかったか」と詰問した。「あったけど、問題にしようとすると本人たちがやめてくれというんだ」「私は決してそうはいわない」ということで、けっきょく教授が謝罪し、講座制が一時撤廃され、研究員全員より成る研究員会による所長公選というところまで行った。これはまたしてもジャーナリズムに出さないということで成功した。札幌医大から来た富山さんと私と二人で、5階建ての新ウィルス研究所棟の部屋割りを3時間でやり遂げたまではよかったのだが、そのうち、若い者たちが所内の人事を左右するような議論が横行するようになった。私は、革命の後の権力のもてあそびは、こんな小さな改革でも起こるのだな、とぞっとして、東大伝染病研究所の流動研究員となって、東京に去ることにした。(中井久夫「楡林達夫『日本の医者』などへの解説とあとがき」)


もちろん分かってるよ、キミたち末人
ーー《自分自身を軽蔑できない、最も軽蔑すべき人間[verächtlichsten Menschen, der sich selber nicht mehr verachten kann]》ーーにはこういった血の熱さは微塵もないことを。