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またお嬢さんか。しつこいね。チョロいラカン注釈書読んで彷徨ってるのか。ま、それが真理かも知れないがね、ーー《真理は乙女である。真理はすべての乙女のように本質的に迷えるものである[la vérité, fille en ceci …qu'elle ne serait par essence, comme toute autre fille, qu'une égarée.]》(ラカン, S9, 15 Novembre 1961) とはいえより厳密にいえば、真に重要なのは詩人ニーチェのいうアリアドネだよ。
………… あのね、ラカンはこう言ってんだからさ、 |
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享楽は、抹消として、穴として示される他ない[la jouissance ne s'indiquant là que pour qu'on l'ait de cette effaçon, comme trou ](Lacan, Radiophonie, AE434, 1970) |
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欲動の現実界がある。私はそれを穴の機能に還元する[il y a un réel pulsionnel … je réduis à la fonction du trou](Lacan, Réponse à une question de Marcel Ritter、Strasbourg le 26 janvier 1975) |
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リビドーは、その名が示すように、穴に関与せざるをいられない[ La libido, comme son nom l'indique, ne peut être que participant du trou] (Lacan, S23, 09 Décembre 1975) |
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つまり享楽=欲動=リビドー=穴=トラウマ=喪失だよ。 |
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現実界はトラウマの穴をなす[le Réel … ça fait « troumatisme ».](Lacan, S21, 19 Février 1974) |
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穴、すなわち喪失の場処 [un trou, un lieu de perte] (Lacan, S20, 09 Janvier 1973) |
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ボクは日本のラカン注釈書を読んだことはないがね。この程度のことも書いてないのかい?信じがたいがね。
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というわけで、フロイトラカンの精神分析とはある意味でマザコン学だからな。だから文学が肝腎だよ。チョロいラカン注釈書読むよりまずは文学だ。
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大体、文学は古今東西、本当の意味でのマザコンのものだと思うんですよ。マザコンがないと文学は成り立たない。それは大地母神と言ったり、聖母だとかいうようなものの、女が母に通じていかないと、色気が出ないんですよね。(古井由吉「文芸思潮」2010 初夏) |
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一人の女性とうまくいかないと、すぐに次を求める。常に女性がそばにいて欲しいわけですよ。これは簡単に言えばマザコン。母性を求めてしまう。母子関係の繰り返しみたいなものですよね。相手を人間として、ちゃんと見ていないんですよね。(谷川俊太郎インタビュー「語る 人生の贈りもの」朝日新聞、2018) |
文学ではなくもっと大きく芸術と言ってもいい、ーー《フロイトとともに思い起こさねばならない。芸術の分野では、芸術家は常に分析家に先んじており、精神分析家は芸術家が切り拓いてくれる道において心理学者になることはないのだということを。c'est de se rappeler avec Freud qu'en sa matière, l'artiste toujours le précède et qu'il n'a donc pas à faire le psychologue là où l'artiste lui fraie la voie.》(ラカン 「マルグリット・デュラスへのオマージュ (HOMMAGE FAIT A MARGUERITE DURAS )」AE193、1965年)
何はともあれ、エロを無視した通俗哲学や社会学とかのたぐいで誤魔化したらダメだよ。
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母として[quoad matrem]、すなわち《女なるもの》は、性関係において、母としてのみ機能する[quoad matrem, c'est-à-dire que « la femme » n'entrera en fonction dans le rapport sexuel qu'en tant que « la mère »](Lacan, S20, 09 Janvier 1973) |
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男は女に興味などない、もし母がなかったら。[un homme soit d'aucune façon intéressé par une femme s'il n'a eu une mère.] (Lacan, Conférences aux U.S.A, 1975) |
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男は女と寝てみることだ、そうしたら分かる。それで充分だ。逆も一緒だ[il suffirait qu'un homme couche avec une femme pour qu'il la connaisse voire inversement.]( Lacan, S24, 16 novembre 1976) |
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ーー《ラカンが「女なるものは存在しない」と言ったのは、母こそが存在するということを理解させるためであった。母はいる。Si Lacan a dit La femme n'existe pas, c'était pour faire entendre que la mère, elle, existe. Il y a la mère》. (Jacques-Alain Miller, MÈREFEMME, 2015) |
ラカンの次の三つの格言は事実上すべて「母しかいない」ということだ[参照]。
女性のナルシシズムというのは究極的には、母の身体(乳房と母胎)をもった自らの身体への愛だよ。
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われわれは女性性には(男性性に比べて)より多くのナルシシズムがあると考えている。このナルシシズムはまた、女性による対象選択に影響を与える。女性には愛するよりも愛されたいという強い要求があるのである。 Wir schreiben also der Weiblichkeit ein höheres Maß von Narzißmus zu, das noch ihre Objektwahl beeinflußt, so daß geliebt zu werden dem Weib ein stärkeres Bedürfnis ist als zu lieben. (フロイト『新精神分析入門』第33講「女性性」1933年) |
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男性と女性とを比較してみると、対象選択の類型に関して両者のあいだに、必ずというわけではもちろんないが、いくつかの基本的な相違の生じてくることが分かる。愛着型[Anlehnungstypus]にのっとった完全な対象愛[volle Objektliebe]は、本来男性の特色をなすものである。このような対象愛は際立った性的過大評価をしているが、これはたぶん小児の根源的ナルシシズム[ursprünglichen Narzißmus] に由来し、したがって性対象への転移に対応するものであろう。 Die Vergleichung von Mann und Weib zeigt dann, daß sich in deren Verhältnis zum Typus der Objektwahl fundamentale, wenn auch natürlich nicht regelmäßige, Unterschiede ergeben. Die volle Objektliebe nach dem Anlehnungstypus ist eigentlich für den Mann charakteristisch. Sie zeigt die auffällige Sexualüberschätzung, welche wohl dem ursprünglichen Narzißmus des Kindes entstammt und somit einer Übertragung desselben auf das Sexualobjekt entspricht.〔・・・〕 女性の場合にもっともよくみうけられ、おそらくもっとも純粋一で真正な類型と考えられるものにあっては、その発展のぐあいがこれとは異なっている。ここでは思春期になるにつれて、今まで潜伏していた女性の性器[latenten weiblichen Sexualorgane]が発達するために、根源的ナルシシズム[ursprünglichen Narzißmus ]の高まりが現われてくるように見えるが、この高まりは性的過大評価をともなう正規の対象愛を構成しがたいものにする。 Anders gestaltet sich die Entwicklung bei dem häufigsten, wahrscheinlich reinsten und echtesten Typus des Weibes. Hier scheint mit der Pubertätsentwicklung durch die Ausbildung der bis dahin latenten weiblichen Sexualorgane eine Steigerung des ursprünglichen Narzißmus aufzutreten, welche der Gestaltung einer ordentlichen, mit Sexualüberschätzung ausgestatteten Objektliebe ungünstig ist. (フロイト『ナルシシズム入門』第2章、1914年) |
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フロイトは『性理論』の段階では母の乳房が愛の起源と言ってたがね、《小児が母の乳房を吸うことがすべての愛の関係の原型であるのは十分な理由がある。対象の発見とは実際は、再発見である[Nicht ohne guten Grund ist das Saugen des Kindes an der Brust der Mutter vorbildlich für jede Liebesbeziehung geworden. Die Objektfindung ist eigentlich eine Wiederfindung ]》(フロイト『性理論』第3篇「Die Objektfindung」1905年)。でも究極的には上のナルシシズム論にあるように愛の起源はマンコだよ。あるいは《喪われた子宮内生活 [verlorene Intrauterinleben]》(フロイト『制止、症状、不安』第10章、1926年)だ。 この点に関してもモンテーニュは既にいい線ついてたよ。 |
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女というものは、たとえどんな醜女に生れついても、まったく自惚れを持たないことはない。あるいは自分の年頃から、あるいは自分の笑い方から、あるいは自分の挙動から、何かの自惚れをもたずにはいないのである。まったく、何もかも美しい女がいないように、何もかも醜い女もいない。il n'y a guère de femme, si disgraciée soit-elle, qui ne pense être digne d'être aimée, qui ne se fasse remarquer par son âge, ou par sa chevelure , ou par sa démarche, car des femmes absolument laides, il n'y en a pas plus que d'absolument belles. (モンテーニュ『エセー』第3部第3章16節) |
…………
最近の社会学、とくにポリコレに走ったフェミニズムの連中の言うことなんかマガオで聞いてたら社会は滅びちゃうよ。
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エロスの力は取り戻さなければまずいんです。社会の存亡にかかわるんです。少なくとも、 エロスがなくなれば小説はなくなり、文学がなくなる。〔・・・〕 エロスの感覚は、年をとった方が深くなるものです。ただの性欲だけじゃなくなりますから。(古井由吉『人生の色気』2009年) |
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究極のエロスは例えばこういうもんだよ。 |
母 吉田一穂
あゝ麗はしい距離〔デスタンス〕、
つねに遠のいてゆく風景……
悲しみの彼方、母への、
捜り打つ夜半の最弱音〔ピアニツシモ〕。
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これもついでに挙げておこう。 |
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享楽は去勢である[la jouissance est la castration.](Lacan parle à Bruxelles, Le 26 Février 1977) |
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要するに、去勢以外の真理はない[En somme, il n'y a de vrai que la castration] (Lacan, S24, 15 Mars 1977) |
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唯一の真理は享楽なる去勢とはどういうことか。去勢は母なる自己身体の喪失であり、つまり母の乳房あるいは母胎の喪失だ。 |
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乳児はすでに母の乳房が毎回ひっこめられるのを去勢、つまり、自己身体の重要な一部の喪失と感じるにちがいない。〔・・・〕そればかりか、出生行為はそれまで一体であった母からの分離として、あらゆる去勢の原像である[der Säugling schon das jedesmalige Zurückziehen der Mutterbrust als Kastration, d. h. als Verlust eines bedeutsamen, …ja daß der Geburtsakt als Trennung von der Mutter, mit der man bis dahin eins war, das Urbild jeder Kastration ist. ](フロイト『ある五歳男児の恐怖症分析』「症例ハンス」1909年ーー1923年註) |
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ワカルカイ、これがフロイトラカン精神分析の唯一の真理だよ。 |
