と、わたくしは馬鹿なことを言っているのではないかと思い、すこし調べてみたらこうある。
お酒を飲みすぎて二日酔いとなると、凄く臭くなってしまいます。
これはアルコールが代謝されることでアセトアルデヒドという物質に変わるのですが、これが強烈な臭いを発するのです。
この一部は汗や尿から体外へと排出されるのですが、その残りが体臭となって表れます。
この際に体臭だけに表れるのではなく、実はおならの臭いにもこの成分は混じってしまうのです。
そのため、お酒をたくさん飲んだ後に出るおならは臭いということを把握しておかなければなりません。(おならとお酒について)
とはいえ、アセトアルデヒドは日本酒だけに特有のものでもあるまい。
日本酒やワインなどの醸造酒はさまざまなアルコールが複雑に絡み合って出来上がっており、アセトアルデヒドが複雑に発生し分解もしにい。焼酎などの蒸留酒はシンプルな構成のアルコールなので、アルデヒドを発生させにくいうえに、分解も早いといわれる。これが、焼酎は悪酔いしないといわれる要因かもしれない。
では焼酎と同じ蒸留酒のウイスキーとかブランデーも同じなのか? そう、実は同じ。樽熟成するぶん香気成分が含まれるのでより濃厚で複雑なアルコールのように思えるが蒸留酒のアルコールには変わりない。(焼酎、本当に「悪酔い」しない?)
ははあ、醸造酒がいけないのだな、わたくしは当地産の純米酒や米焼酎をそれなりの量飲むことはしばしばあるのだが、このオナラの臭いがしないのだ。
いやあ、でもじつに懐かしい。日本の風土独特の粘り気のある臭いなのだ、この「蒸されて醗酵したような不快な汚物のようなにおい」は。この「鼻を刺激する醗酵性のにおい」は。日本列島の曖昧模糊として春のような風土につねに纏わりついている腐臭。かつてウール製ズボンの臀部にクリーニングに出してもへばりついていたあの臭い!
(この中年男の)機械的に熱中ぶりを操作しているといったふうな長広舌が続いている間、わたしは濡れた身体を濡れた衣服に包んで、それが徐々に体温でかわくのをじっと待っていたが、部屋の空気は湿っていたし、それに、すり切れた絨毯や、 同じようにすり切れてやせた織糸の破れ目から詰め物とスプリングがはみ出ているソファが、古い車輌に乗ったりすると、時々同じようなにおのすることのある、人々の体臭や汗のしみ込んで、それが蒸されて醗酵したような不快な汚物のようなにおいを発散させていたので、その鼻を刺激する醗酵性のにおいに息がつまりそうになり、わたし自身の身体からも、同じにおいを発散させる粘り気をおびた汗がにじみだして来ては、体温の熱でにおいをあたりに蒸散させているような気がした。(金井美恵子『くずれる水』)
蚊居肢子晩酌シテ酔ヘリ。
寝ニ就カントスルニ猶早シ、書ヲ読マントスルニ亦懶シ。
鳥語ニ耳ヲ傾ケントついつたあノ窓ヲ覘クモ欠伸スル而已。
毫モ感ズル所無シ。
諸氏ノ美シキ魂ノ汗ノ果物ニ敬意ヲ表スレド
諸氏ノ誠実ナ重ミノナカノ堅固ナ臀ヲ敬ヘド
余少シバカリ窓ヲ開ケタシ。
にいちえト共ニ「空気ヲ! モツト空気ヲ!」ト叫ビタシ。
余新鮮ノ空気ニ触ルヽコトヨリ暫シ隔タリ、
鼻腔ヲ見栄坊ニテ鵞鳥ノ屁屎尿ノ穢臭ニ穿タレ
身骨ヲ美シキ魂ニテ猫カブリノ垢衣汗物ノ腐臭ニ埋メルガ如シ。
蚊居肢氏喟然トシテ嘆ジテ曰ク、衆何ノ為メニ囀ルヤ。
其ノ無用ナル之レヲ号ケテ屎ト云フモ可ナリ、屁ト云フモ亦可ナリ。