覗き見する荷風が好きだ
ワカメ酒詩を書く西脇順三郎も好きだ
おれは スカートの奥の太腿のあいだの
ぴっちりした木綿の白パンティーが好きだ
足首にひっかかかったパンティーなら
白でなくてもコットンでなくてもいける
でも小さな布切れじゃなくちゃいけない
とはいえこのたぐいのパンティなら
コットンでも白でもなくても
足首にひっかかっていなくても
許容しないではない
人生からパンティがなくなったことを想像してみたまえ
人生はなんの味気もないものになる
パンティで性器を隠すことによって、
性器の価値は高まる
そう書いたのは上野千鶴子だ
「スカートの下の劇場」とは美しい書名だ
とはいえ著者は実のところオレのタイプではない
脚のあいだの黒々とした
油断のならぬ鼠の頭が
猛々しく露骨に見えてしまったら
男たちは退却するばかりだ
ナボコフが好きだ
「けだるそうに足をあげて、
太腿の内側をパンティの
股のところまでのぞかせながら
股のところまでのぞかせながら
靴紐をほどく」と書いたから
大江健三郎が好きだ
「膝からぐっと太くなる腿の奥に、
半透明な布をまといつかせ
性器のぼってりした肉ひだが
睾丸のようにつき出している
のが見えた」と書いたから
のが見えた」と書いたから
金井美恵子も好きだ
「ぴりぴり放電している手で、
薄い布地の小さなパンティを脱がし
(片方の足首のところに小さな布切れがひっかかったままで)、
手よりももっと鋭い欲情に放電しているもので、
彼女の内部に深く触れ」たと書いたから
続きもとってもいい
「眼を見開いて放心した凝視を注ぎかけながら、
ぴったりとわたしに腰を押しつけ、
無言のうちに、
熱っぽい溶解点に近づきある」なんて
足首のパンティ効果がきいている
行を替えるだけで詩になるわ
と書いたのも彼女だ
全裸というのはどうも欲情しない
ストッキングというのは平凡だ
いかにもヤッてくださいという感じだ
パンティストッキングが好きだ
パンティストッキングの下に
なにも穿かず誘う女がいたが
あれは痒くならないものか
じっとりと網目からおつゆが滲んできたところで
おれは遠慮深いタチだから
乱暴に引き裂くなどとはせず
鼻毛用ハサミをつかって股間を縦に切った
ノーパンといえば、ソルレスも好きだ
「彼女の白いパンティー…
そしてある日、黒い染みが…
そんな、まさか、あり得ない…
パンティーがない…
腿をだんだん開いて…」
最初のパンティ効果が効いている
はじめから黒い染みでは味気がない
「その上