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2017年3月16日木曜日

BWV639とBWV914

◆BWV639 'Ich ruf zu dir, Herr Jesu Christ' 2016



ーーだれの演奏だか分からないが、とても美しい。この曲はロマンティックに弾かれるとウンザリするが、ぽつぽつと呟くようでその感じがいい。でもトリルの音がちょっと大きすぎるかな。

さてリパッティはどんな演奏だったか。

◆Dinu Lipatti - J S Bach corale prelude bwv 639




クララ・ハスキルはBWV639やっていなかったかな、と探したがない。

BWV659,「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」だ、リパッティと同じくらいの名演は。

◆Clara Haskil in recital (1953) Bach/Busoni, Scarlatti, Beethoven, Schumann, Debussy, Ravel




冒頭のBWV659は、実はいまのわたくしが望んでいる演奏ではないけれど、二曲目のBWV914とそのあとのスカルラッティに眩暈がする。とくにBWV914!--信じがたい演奏だ。グールドのBWV914を特権的に愛してきたのだが、乗り換えるべきだろうか・・・

このクララ・ハスキルのリサイタルは実にいい。レコード録音のものとはくらべものにならない。でもベートーヴェンのOP111はどうでもいいさ、いまのわたくしには縁がないね

ベートーヴェンのピアノ曲だったらパガテルさ、アファナシエフってのは苦悩にまみれて晩年のシューベルトやってないで、つねに平均律かパガテルやってたらいいのに(OP.119)。

それに私も、どうすればこのソナタ(D.960)の心理的な重みに耐えることができるだろう。たとえウィークデーの夜、小さなホールで演奏するだけとしても。このソナタをわが家で弾いたら何が起こるだろう? 大文字の「他者」がそのまったき光輝と恐怖とともに出現する。ある意味において、このソナタは私の不俱戴天の敵なのだ。弾けば弾くほど、私は具合が悪くなる。私を傷つけ、私の苦痛をいつまでも引きのばすことを知りながら―――今回も、とどめの一撃を与えてはくれないのだ―――私はこの他者を抱きしめ、接吻する。日常生活の中でなら、こんなにひどいカタストロフに襲われれば命を落としていただろう。(アファナシエフ)

事実、彼のD.960聴いてると実に耐えられなくなるよ、遠慮するね、心臓にひどくわるい。

たとえばアファナシエフのこのパガテルの演奏は、前代未聞の名演だよ

◆Beethoven - Bagatelle op. 119 no. 9




いやあでもーー話を戻すがーーバッハの若書きといわれることもあるBWV914 ってなんでこんなにいいんだろ? とくに後半のフーガを聴くと、天に手が伸びるようだよ、ぎりぎりのところで届きはしないんだけど。

後半だけ切り取ってアップしている人がいるのもよくわかる。