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2017年11月2日木曜日

母の顔色

ひどい子供だ
いま彼奴に出会ったら叩きのめすだろう
弱虫、臆病、卑屈、盗癖
押入れの暗闇、物置の暗闇
そこに押し込まれ泣き叫んでいた

母の顔色を常に窺っていた
母は荒れ狂った、私にも父にも
過去を掘りおこしても不快になるばかり
よく彼処から少しはまともになったもんだ

だがほんとうは今でもあのままじゃないか
救いがあったとしたら音楽の捧げもの
それに伊古部での海辺の墓地との出会い
それしかない

⋯⋯⋯⋯

隣に住んでいた母方の末の叔父が MJQファンだったので、中学一年前後からSwingle Singers & Modern Jazz Quartetを聴くようになった。

Swingle Singers & MJQを聴かなかったら、こむずかしいバッハのフーガなどをはやくから好むようにならなかっただろう。

◆J. S. Bach - Ricercare a 6 from "Musikalisches Opfer" BWV 1079 - Jazz-Voices transcription



もっとも最初に魅了されたのはフーガのたぐいではなく、バッハの協奏曲の緩徐楽章(ラルゴやアダージョ)あるいはCantata BWV 147だった。

(おそらく誰もが知っているBWV 1068のアリアも、Swinger Singersの歌声で初めて聴いたはず。)

◆Les Swinger Singers J S Bach Concerto in F Major largo 1969



このラルゴを聴くことによってグレン・グールドのラルゴ入りのレコードを母から与えられたはずだが、前後関係はあまり確かではない。

スウィングル・シンガーズ のラルゴはもはやたまにしか聴かない。もし聴きたいときは、グールドを聴く(グールドのラルゴ入りレコードは50歳で死んだ母の棺のなかに入れた。それとカンタータBWV4)。

だがBWV 1016のアダージョは、swingle singers の次の録音がいまでも一番美しい。

◆les swingle singers - JAZZ SEBASTIEN BACH 20/23 - Adagio: Sonata per Violino MiM BWV 1016 (1968)




Swinger Singers(+MJQ)はいまでもたまに聴く(生き残っている)が、MJQ自体はもはや聴かない。

45年ぶりぐらいに叔父がことさら好んでいたDjangoを聴いてみたが、冒頭の旋律を懐かしく感じるだけで、たいした感銘はない。

ああそれにしても三声のインヴェンション11番!

◆The Swingle Singers - J.S. Bach - Sinfonia XI (Three Part Invention) BWV 797



これを聴いて幼いころすこしだけならった切りのピアノにふたたび触れだした。