チェリスト、Annette Jakovcicである(たぶん日本人ハーフだろう)。
◆Interpretation Class: Prokofiev - Cello Sonata Mvt. 1
◆Schumann Fantasiestücke op 73
◆Interpretation Class: Prokofiev - Cello Sonata Mvt. 1
ーーいやあ、スゴクイイ女だ、プロコフィエフのこの曲はこんなにも美しかったのか。しかも、Benjamin Zanderが褒めているようにとても上手い。
あんまり美しいので荷風になっている爺さんまでいる。
あんまり美しいので荷風になっている爺さんまでいる。
昭和四十年頃に私は或る同人誌に加わっていたが、その同人の一人で戦中にお年頃を迎えた女性がこんな話をしていた。終戦直後、その女性は千葉県のほうにいたらしいのだが、或る日総武線の電車に乗っていたら市川の駅から、荷風散人が乗りこんできた。例の風体をしていて、まず車内をじわりと物色する。それからやおらその女性の席の前に寄ってくると、吊り皮につかまって、身を乗り出すようにして、しばし脇目もふらずに顔をのぞきこむ。
色白の細面、目鼻立ちも爽やかな、往年の令嬢の美貌は拝察された。それにしても荷風散人こそ、いかに文豪いかに老人、いかに敗戦後の空気の中とはいえ、白昼また傍若無人な、機嫌を悪くした行きずりの客に撲られる危険はさて措くとしても、当時の日本人としては何と言っても懸け離れた振舞いである。(古井由吉『東京物語考』)
みなさん、Annette Jakovcicを応援しましょう!