駅馬車/ジョン・フォード
晩春/小津安二郎
のらくら兵/ジャン・ルノワール
香も高きケンタッキー/ジョン・フォード
非常線の女/小津安二郎
十字路の夜/ジャン・ルノワール
周遊する蒸気船/ジョン・フォード
父ありき/小津安二郎
素晴らしき放浪者/ジャン・ルノワール
散り行く花/D・W・グリフィス
結婚行進曲/エリッヒ・フォン・シュトロハイム
キッド/チャールズ・チャップリン
キートンの蒸気船/バスター・キートン
スピオーネ/フリッツ・ラング
栄光/ラオール・ウォルシュ
サンライズ/F・W・ムルナウ
あるじ/カール・テオドール・ドライエル
港々に女あり/ハワード・ホークス
帽子箱を持った少女/ボリス・バルネット
紐育の波止場/ジョセフ・フォン・スタンバーグ
風/ヴィクトル・シェストレム
十月/セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
アッシャー家の末裔/ジャン・エプスタイン
イタリア麦の帽子/ルネ・クレール
パンドラの箱/ゲオルク・ヴィルヘルム・パプスト
ボリシェヴィキの国におけるウェスト氏の異常な冒険/レフ・クレショフ
アンダルシアの犬/ルイス・ブニュエル
ウィンダミア夫人の扇/エルンスト・ルビッチ
鉄路の白薔薇/アベル・ガンス
偉大なるアンバーソン家の人々/オーソン・ウェルズ
赤ちゃん教育/ハワード・ホークス
忘れじの面影/マックス・オフュルス
我輩はカモである/レオ・マッケリー
第3逃亡者/アルフレッド・ヒッチコック
丹下左膳餘話 百萬兩の壺/山中貞雄
踊らん哉/マーク・サンドリッチ
女性たち/ジョージ・キューカー
暗黒街の弾痕/フリッツ・ラング
祗園の姉妹/溝口健二
パームビーチ・ストーリー/プレストン・スタージェス
死刑執行人もまた死す/フリッツ・ラング
フィラデルフィア物語/ジョージ・キューカー
いちごブロンド/ラオール・ウォルシュ
牛泥棒/ウィリアム・A・ウェルマン
霧の波止場/マルセル・カルネ
脱出/ハワード・ホークス
曳き舟/ジャン・グレミヨン
偽れる装い/ジャック・ベッケル
デデという娼婦/イヴ・アレグレ
河/ジャン・ルノワール
夏の嵐/ルキノ・ヴィスコンティ
裸の拍車/アンソニー・マン
女の一生/アレクサンドル・アストリュック
この女たちのすべてを語らないために/イングマール・ベルイマン
バンド・ワゴン/ヴィンセント・ミネリ
女は女である/ジャン=リュック・ゴダール
暗殺のオペラ/ベルナルド・ベルトルッチ
パジャマゲーム/スタンリー・ドーネン
シェルブールの雨傘/ジャック・ドゥミ
ラルジャン/ロベール・ブレッソン
捜索者/ジョン・フォード
エル/ルイス・ブニュエル
ヴァニナ・ヴァニニ/ロベルト・ロッセリーニ
黄金の馬車/ジャン・ルノワール
イワン雷帝/セルゲイ・M・エイゼンシュテイン
東京物語/小津安二郎
飾窓の女/フリッツ・ラング
めまい/アルフレッド・ヒッチコック
西鶴一代女/溝口健二
夜の人々/ニコラス・レイ
緑色の髪の少年/ジョセフ・ロージー
勝手にしやがれ/ジャン=リュック・ゴダール
大人は判ってくれない/フランソワ・トリュフォー
殺し/ベルナルド・ベルトルッチ
ポケットの中の握り拳/マルコ・ベロッキオ
アンナ・マグダレーナ・バッハの日記/ストローブ=ユイレ
時は止った/エルマンノ・オルミ
ミツバチのささやき/ヴィクトル・エリセ
ストレンジャー・ザン・パラダイス/ジム・ジャームッシュ
ママと娼婦/ジャン・ユスターシュ
さすらい/ヴィム・ヴェンダース
ラ・パロマ/ダニエル・シュミット
あんなに愛しあったのに/エットレ・スコーラ
カサノバ/フェデリコ・フェリーニ
クレールの膝/エリック・ロメール
恋のエチュード/フランソワ・トリュフォー
狩人/テオ・アンゲロプロス
オトン/ストローブ=ユイレ
拳銃王/ヘンリー・キング
ちゃちなブルジョワ/マリオ・モニチェリ
生き残るヤツ/アイヴァン・パッサー
ガルシアの首/サム・ペキンパー
リトアニアへの旅の追憶/ジョナス・メカス
アラモの砦/フランク・ロイド
不戦勝/イエジー・スコリモフスキー
夕なぎ/ジョセフ・ロージー
現金に体を張れ/スタンリー・キューブリック
キング・コング/メリアン・C・クーパー
クレオパトラ/ジョセフ・L・マンキウィッツ
華氏451/フランソワ・トリュフォー
ハメット/ヴィム・ヴェンダース
悪の塔/アベル・ガンス
シャイアン/ジョン・フォード
地獄の黙示録/フランシス・フォード・コッポラ
天国の門/マイケル・チミノ
断絶/モンテ・ヘルマン
ある女の存在証明/ミケランジェロ・アントニオーニ
ポパイ/ロバート・アルトマン
勇者の赤いバッヂ/ジョン・ヒューストン
不実な女/クロード・シャブロル
熱砂の秘密/ビリー・ワイルダー
乙女の星/クロード・オータン=ララ
挑戦/フランチェスコ・ロージ
ミュリエル/アラン・レネ
神秘の騎士/リカルド・フレーダ
リリー/チャールズ・ウォルターズ
成功の甘き香り/アレクサンダー・マッケンドリック
家族日誌/ヴァレリオ・ズルリーニ
夏の遊び/イングマール・ベルイマン
四十二番街/ロイド・ベーコン
傷心/クロード・オータン=ララ
ブーベの恋人/ルイジ・コメンチーニ
避暑地の出来事/デルマー・デイヴィス
君去りし後/ジョン・クロムウェル
弾痕/アンリ・ドコアン
秘めたる情事/フィリップ・ダン
さすらいの涯/ジーン・ネグレスコ
想い出/アナトール・リトヴァク
かくて我が恋は終りぬ/コンプトン・ベネット
荒野の女たち/ジョン・フォード
ガートルード/カール・テオドール・ドライエル
悲しみは空の彼方に/ダグラス・サーク
パサジェルカ/アンジェイ・ムンク
今は死ぬ時だ/B・ベティカー
日曜日が待ち遠しい!/フランソワ・トリュフォー
捕えられた伍長/ジャン・ルノワール
ルイジアナ物語/ロバート・J・フラハティ
ヒッチコックのファミリー・プロット/アルフレッド・ヒッチコック
スチームバス 女たちの夢/ジョセフ・ロージー
イノセント/ルキノ・ヴィスコンティ
かつて『映画に目が眩んで』という分厚い本を比較的熱心に読んだことがあるが、だいたいこれと同じような作品群の名が(まずは)挙げられていた記憶がある。
「映画ベスト141」は、たぶん最初はベスト100を選ぼうとしたのだろうが、どうしてもそれだけではすまずに、41作品が付加されたのではないだろうか。
わたくしは三十前後に、蓮實重彦にひどくイカレテおり、上の作品群をできるだけ観てみようとしたことがある。当時は京都に住んでいたので、もちろんあのような作品が上演されることは稀である。レンタルビデオ屋を探し回ったが、一軒だけ京都大学のある東大路通りに、それなりの作品が置いてあった。だから、たぶん半分ぐらいは観たかな、ーーいやいや今チェックしてみると、そこまではいかない。
なにはともあれ、「あなたに映画を愛しているとは言わせない」の人、蓮實重彦である。ああやって「自信をもって」--人によっては偽伯爵の「ハッタリの力」で、と言うのかもーー列挙する「愛の力」にまずはオマージュを捧げよう。
映画でなくてもいい。たとえば文学、絵画、音楽でも。列挙するには愛の力がなくてはできない。わたくしには映画も文学も絵画もとうていできない。
音楽なら「音楽ベスト141」を列挙しうるかもしれない。実はすこしまえ試みようとしたことがあるのだが、半分くらいはバッハの作品になってしまって、これはどうもいけない。偏っているのである。そもそも多くの作品をきいていない。
おい、誰かやってみないか。文学ベスト141、絵画ベスト141、音楽ベスト141等を。
わたくしの心持としては、「あなたに音楽を愛しているとは言わせない」と一度でもいいから言ってみたいね。でもベスト141を列挙するとバッハおたくと言われるんだろうな。
音楽がムリだったら、「あなたに女を愛しているとは言わせない」にしてみる手もあるな・・・
好きな女優ーーわたくしの場合は音楽家もふくまれるーーや絵のなかの女を列挙するのさ
たとえば現在一般にはあまり知られていないだろう女優のあの時のあの表情をね。
ゴダールも、ひょっとして、「あなたに女を愛しているとは言わせない」をやろうとしたのではないかな。
マネやダビンチ、フェメールの女たちと同様、マルタ・アルゲリッチは欠かせないね、ボクにとっても。
◆Martha Argerich et Charles Dutoit (1972)
音楽がムリだったら、「あなたに女を愛しているとは言わせない」にしてみる手もあるな・・・
好きな女優ーーわたくしの場合は音楽家もふくまれるーーや絵のなかの女を列挙するのさ
たとえば現在一般にはあまり知られていないだろう女優のあの時のあの表情をね。
人は忘れ得ぬ女たちに、偶然の機会に、出会う、都会で、旅先の寒村で、舞台の上で、劇場の廊下で、何かの仕事の係わりで。そのまま二度と会わぬこともあり、そのときから長いつき合いが始まって、それが終ることもあり、終らずにつづいてゆくとこもある。しかし忘れ得ないのは、あるときの、ある女の、ある表情・姿態・言葉である。それを再び見出すことはできない。
再び見出すことができるのは、絵のなかの女たちである。絵のなかでも、街のなかでと同じように、人は偶然に女たちに出会う。しかし絵のなかでは、外部で流れ去る時間が停まっている。10年前に出会った女の姿態は、今もそのまま変わらない、同じ町の、同じ美術館の、同じ部屋の壁の、同じ絵のなかで。(加藤周一『絵のなかの女たち』)
ゴダールも、ひょっとして、「あなたに女を愛しているとは言わせない」をやろうとしたのではないかな。
マネやダビンチ、フェメールの女たちと同様、マルタ・アルゲリッチは欠かせないね、ボクにとっても。
◆Martha Argerich et Charles Dutoit (1972)