確かにイマージュとは幸福なものだ。だがそのかたわらには無が宿っている。そしてイマージュのあらゆる力は、その無に頼らなければ、説明できない。(ゴダール『(複数の)映画史』「4B」)
イマージュは対象aを隠蔽している。l'image se cachait le petit (a).(ジャック=アラン・ミレール 『享楽の監獄 LES PRISONS DE LA JOUISSANCE』1994年)
《対象aは、大他者自体の水準において示される穴である。l'objet(a), c'est le trou qui se désigne au niveau de l'Autre comme tel》(ラカン、S18, 27 Novembre 1968)
The painting, oil, behind the wooden sliding door is Gustave Courbet's L'Origine du Monde, from 1866.
The carved picture on the wooden door is André Masson's draft of the painting behind the actual sliding door. It used to hang at Jacques Lacan's country house—in Guitrancourt, France.
Silvia Macklès, Lacan's wife, charged her brother in law, André Mason, with the task of hiding such a potentially troublesome work-of-art.(ラカンとギュスターヴ・クールベ)
内面世界を隠蔽していると思われている、いわゆるカーテン Vorhange の背後には、無しかない(見られるべき何ものもない nichts zu sehen ist)、もし我々がカーテンの背後に廻り込まねば。我々が何ものかを見うるとするためには。あたかもカーテンの背後に見られうるべき何ものかがあると想定するためには。⋯⋯⋯
この全き空無 ganz Leeren は至聖所 Heilige とさえ呼びうるものだが、しかしながら、そこにおいては何かがありうる doch etwas sei(と思念される)。我々は、その空無の穴埋めをせねばならない es müßte sich gefallen lassen、意識自体によって生み出される、空想(夢想 Träumereien)・仮象 Erscheinungen によって。何としても必死になって取り扱わねばならない何ものかがあると考えるのだ。というのは、何ものも空無よりはましであり、空想Träumereienでさえ空無 Leerheit よりはましだから。(ヘーゲル『精神現象学』Hegel, Phänomenologie des Geistes)