墓地の鉄柵のか細い網目々々を噛む入り海よ、
わが閉ぢた眼の上の眩ゆい秘密は?
この無為の果てに私を呼んだ身体は?
この骨散る地に身体を引きつけた額は?
ここに亡き人らを思ふ一つの火花。
Godard, Nouvelle vague |
光の牝犬よ、傀儡(でく)崇めを遠ざけよ!
私が独り羊飼ひの微笑みに
神秘の羊ら、静かな墓の
白い群れを長々と眺める時、
遠ざけよ、賢しらの鳩を、
虚しい夢、知りたがりやの天使を!
ーーヴァレリー「海辺の墓地」(中井久夫訳)
Nouvelle vague |
俺たちのなかみはからっぽ
俺たちのなかみはつめもの
俺たちはよりそうが
頭のなかは藁のくず、ああ!
俺たちがささやきあうと
かわいた声が
うつろにひびく
まるでかわいた草をふきわたる風
ーーエリオット「うつろな人間たちthe hollow men」(高松雄一訳)