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2023年5月23日火曜日

新病原菌激減計画

 

もはや人類という種は存在しない。核爆弾の管理者となった共同体は、自然界の彼岸にいる。なぜなら、自らの生と死に責任があるからだ。Il n'y a plus d'espèce humaine. La communauté qui s'est faite gardienne de la bombe atomique est au-dessus du règne naturel car elle est responsable de sa vie et de sa mort〔・・・〕


もしも人類が生存し続けて行くとするなら、それは単に生まれてきたからというのではなく、その生命を存続させようという決意をするがゆえに存続しうるということになるだろう。l'humanité tout entière, si elle continue de vivre, ce ne sera pas simplement parce qu'elle est née, mais parce qu'elle aura décidé de prolonger sa vie. (サルトル「大戦の終末」Jean-Paul Sartre, La Fin de la guerre , 1er octobre 1945)



サルトルのこの文は1945年に書かれたのであり、現在は核兵器だけではない。例えばウイルス兵器やワクチン兵器で人類を滅亡させうることをわれわれはしかと知ったばかりだ。科学文明は進歩し過ぎたのだ。全滅か否かは別にして近い将来、新種のポルポト事件が起こらない可能性は少ないんじゃないか。



二〇世紀には今までになかったことが起こっている。〔・・・〕百年前のヒトの数は二〇億だった。こんなに急速に増えた動物の将来など予言できないが、危ういことだけは言える。


しかも、人類は、食物連鎖の頂点にありつづけている。食物連鎖の頂点から下りられない。ヒトを食う大型動物がヒトを圧倒する見込みはない。といっても、食料増産には限度がある。「ヒトの中の自然」は、個体を減らすような何ごとかをするはずだ。ボルポトの集団虐殺の時、あっ、ついにそれが始まったかと私は思った。(中井久夫「親密性と安全性と家計の共有性と」初出2000年『時のしずく』所収)





ヒトなる病原菌を激減させないとな


地球から見れば、ヒトは病原菌であろう。しかし、この新参者はますます病原菌らしくなってゆくところが他と違う。お金でも物でも爆発的に増やす傾向がますます強まる。(中井久夫「ヒトの歴史と格差社会」初出 2006年『日時計の影』所収)

地球にとってもっともよいのは、三分の二の人間が死ぬような仕組みをゆっくりとつくることではないだろうか。 Wouldn't the best thing for the earth be to organize slowly so that two thirds of the people will die? (ジジェク『革命を語る DEMANDING THE IMPOSSIBLE2013



冗談はさておき(?)、もう少し我慢したら自然に世界人口減少が起こるらしいよ。



21世紀の大いなる決定的出来事ーー人間の歴史における大いなる決定的出来事のひとつーーがあと30年ほどで起こる。世界人口が減り始めるのである。いったん減少が始まれば、2度と増加に転じることはない。(ジョン・イビットソン&ダレル・ブリッカー『Empty Planet(無人の惑星)』2019年)



国連推計を除けば、人口減少開始時期は異なるとはいえ、だいたいは『Empty Planet』の予測の線だね。