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2023年11月7日火曜日

米金融業・マスコミ・シンクタンク・民主共和両党の政治資金ネットワークを支配しているのはユダヤ資本

 


伊藤貫は【イスラエル・ハマス戦争状態①】報道されない各国の動きと減衰するアメリカ|伊藤貫×室伏謙一 (youtube 2023/11/01)の8分前後からこう言ってる。


僕はユダヤ陰謀論を唱えている訳ではないですが、本当の事を言います。アメリカの金融業、 マスコミ、 シンクタンク、民主共和両党の政治資金ネットワーク。この4つの大部分を支配しているのはユダヤ人です。


伊藤貫はミアシャイマー信奉者であり、上の発言は少し前引用したミアシャイマーが2017年に行っていることの言い換えだ。


米国はイスラエルと、 現代史上類を見ない特別な関係にあり、それはほとんどロビー活動によるものである。〔・・・〕

援助は無条件に与えられる。言い換えれば、 イスラエルはヨルダン川西岸に入植地を建設するなど、 米国が反対することをしても援助を受けられるのだ。〔・・・〕米国がほとんどあらゆる場面でイスラエルの行動を擁護ゆる場面ですることに深くコミットしていることに気づかないのは目も耳も不自由な人だけだろう。

the United States has a special relationship with Israel that has no parallel in modern history and it is almost wholly due to the lobby.(…)

the aid is given unconditionally.  In other words, Israel gets this aid even when it does things that the United States opposes, like building settlements in the West Bank.(…)Only someone who is blind and deaf would not recognize that the United States is deeply committed to defending Israel’s behavior at almost every turn.

(What Has Changed Since Publication of The Israel Lobby and What the New Administration Can Do Differently 、JOHN MEARSHEIMER ON MARCH 30, 2017)



こういった話は現在いろんな人によって言われている。例えば松田学のブログ「ガザ紛争と戦争の本質…茂木誠氏との対談(その1)なぜ戦争は起きるのか、日本の立ち位置は国民」2023-11-03 )にはこうある。

●米国がイスラエルを戦争支援する三つの理由

イスラエルを一貫してサポートした大国は世界で一つだけ。米国だ。なぜか。理由が三つある。

いちばん武器を造っているのが米国の武器メーカー、これが一つ。

②次に、ユダヤ人が一番住んでいたのは米国。欧州で迫害されたユダヤ人が大量に米国に移り、そのまま居座った。イスラエルロビーが結束して投票する。多くは民主党、党の票田であり、資金源でもあるから、イスラエルをサポート。

③米国は宗教国家。日欧は世俗化したが、米国は政教一体であり、キリスト教国家。特にプロテスタント。米国民の3~4割は熱狂的なクリスチャン。宗教票田が日本の何十倍。特に共和党のバックは熱心なクリスチャン。彼らはイスラエルで大きな戦争が起きることを望んでいる。聖書の黙示録では、世界最終戦争でが起きなければならない。ハルマゲドン。そのあと、キリストが現れて、クリスチャンだけを救うという設定。自分たちが救われるためにイスラエルで戦争が起きてほしいと本当に思っているので、かなり厄介。


ガチなクリスチャンを福音派という。ペンス前副大統領もそうだ。米国で毎回、選挙で問題になるのは妊娠中絶を認めるか。赤ちゃんは神の授かりものであり、人間がその命を絶つのは神への反逆。トランプの支持母体にも福音派。トランプに近い流れ。

ロバート・ケネディ・ジュニアとトランプ派は反グローバリズムでは手を組めるが、ここでは組めない。ケネディはリベラル。

要するに、米国がイスラエルを支援するのは、軍事利権、②ユダヤロビー、③福音派。


※「ガチなクリスチャンを福音派」とあるが、これについても少し前メモした。➡︎キリスト教福音派(Christian Evangelicals)のヤバさ



ツイッターで検索すると代表的なもののひとつだけを掲げるならこうだ。




重要なのはユダヤ資本であり、その内実は世界資本主義である筈なのに、松田学はもとよりミアシャイマーも伊藤貫もグローバル資本主義に対してひどく弱いね、現状分析はあれでいいとしてもなぜ世界資本主義批判、あるいは新自由主義批判に向かわないんだろ?




ここでは『世界史の構造』からではなく、近著『力と交換様式』(2022年)から上図の簡略な説明として扱いうる文を掲げておこう。


第二次大戦後の世界は全体として、アメリカのヘゲモニーの下で“自由主義”的であったといえる。それは一九世紀半ば、世界経済がイギリスのヘゲモニー下で“自由主義”的であった時期に似ている。しかし、このような世界体制は、一九七〇年代になって揺らぎ始めた。一つには、敗戦国であったドイツや日本の経済的発展とともに、アメリカの圧倒的ヘゲモニーが失われたからである。


しかし、一般に注目されたのは、一九九一年にソ連邦が崩壊し、それとともに、「第二世界」としての社会主義圏が消滅するにいたったことのほうである。このことは、「歴史の終焉」(フランシス・フクヤマ)として騒がれた。愚かしい議論である。このような出来事はむしろ、「歴史の反復」を示すものであったからだ。


そのことを端的に示すのは、一九八〇年代に、それまで「第一世界」を統率し保護する超大国とし“自由主義”を維持してきた米国が、それを放棄し“新自由主義”を唱え始めたことである。つまり、ソ連の「終焉」より前に、資本主義経済のヘゲモンとしての米国の「終焉」が生じたのだ。それは、一九世紀後半にイギリスが産業資本の独占的地位を失い、それまでの“自由主義” を放棄したこと、 すなわち、 “帝国主義”に転化したことと類似する。 (柄谷行人『力と交換様式』2022年)


……………


ミアシャイマーも伊藤貫も現状分析においてとても優れているのを認めるのに吝かではないが、とはいえマルクスのオベンキョウがひどく足りないんじゃないかね。それが彼らの限界だろうな、➡︎ほぼすべての学者を含むほとんどの市民が気づいていない事


問題は、戦争機械がいかに戦争を現実化するかということよりも、国家装置がいかに戦争を所有(盗用)するかということである [La question est donc moins celle de la réalisation de la guerre que de l'appropriation de la machine de guerre. C'est en même temps que l'appareil d'Etat s’approprie la machine de guerre]〔・・・〕


国家戦争を総力戦にする要因は資本主義と密接に関係している「les facteurs qui font de la guerre d'Etat une guerre totale sont étroitement liés au capitalisme ]。

現在の状況は絶望的である。世界的規模の戦争機械がまるでSFのようにますます強力に構成されている[Sans doute la situation actuelle est-elle désespérante. On a vu la machine de guerre mondiale se constituer de plus en plus fort, comme dans un récit de science-fiction ;](ドゥルーズ &ガタリ『千のプラトー』「遊牧論あるいは戦争機械』1980年)

マルクスは間違っていたなどという主張を耳にする時、私には人が何を言いたいのか理解できない。マルクスは終わったなどと聞く時はなおさらだ。現在急を要する仕事は、世界市場とは何なのか、その変化は何なのかを分析することである。そのためにはマルクスにもう一度立ち返らなければならない。

Je ne comprends pas ce que les gens veulent dire quand ils prétendent que Marx s'est trompé. Et encore moins quand on dit que Marx est mort. Il y a des tâches urgentes aujourd'hui: il nous faut analyser ce qu'est le marché mondial, quelles sont ses transformations. Et pour ça, il faut passer par Marx:(ドゥルーズ「思い出すこと」死の2年前のインタビュー、1993年


………………



※附記


ミアシャイマーは「失敗する運命ーーリベラルな国際秩序の興亡.」(2019年)などにて、超グローバル化(ハイパーグローバリゼーションhyperglobalization)という用語を使いつつ、事実上の新自由主義批判をしていないではない。だがこの「新自由主義=世界資本主義」の構造分析はほとんど常に避けている。


2000年代の最初の10年の半ば、リベラルな国際秩序に深刻な亀裂が入り始め、それ以来、亀裂は着実に拡大している。

Midway through the first decade of the 2000s, serious cracks began to appear in the liberal international order, which have since steadily widened.[...]


かつて有望と思われたオスロ和平交渉は失敗し、パレスチナ人は自国の国家を獲得する望みを事実上失っている。ワシントンの支援を受けて、イスラエルの指導者たちは、2人の元イスラエル首相が言ったように、アパルトヘイト国家となる大イスラエルを作ろうとしている。

The Oslo Peace Process, which once seemed so promising, has failed, and the Palestinians have virtually no hope of acquiring their own state. With Washington's help, Israeli leaders are instead creating a Greater Israel, which, as two former Israeli prime ministers have said, will be an apartheid state.[...]

リベラルな国際秩序が衰退の一途をたどっていることは認めつつも、冷戦後の秩序の行き過ぎを避けるような、より実用的なバージョンに置き換えることができると主張する人もいるかもしれない。より穏健なリベラル秩序とは、自由民主主義を広めるためのよりニュアンスに富んだ、より攻撃的でないアプローチを追求し、超グローバル化(ハイパーグローバリゼーション)を抑制し、国際機関の権力にある程度の制限を設けるものである。この視点によれば、新秩序は冷戦期の西側の秩序に似ているが、それはグローバルでリベラルなものであり、非束縛的で、現実主義的なものではないだろう。しかし、この解決策は実現不可能である。というのも、一極集中は終わりを告げ、リベラルな国際秩序が維持される可能性は当面ないからである。

One might acknowledge that the liberal international order is in terminal decline, but argue that it can be replaced with a more pragmatic version, one that avoids the excesses of the post–Cold War order. This more modest liberal order would pursue a more nuanced, less aggressive approach to spreading liberal democracy, rein in hyperglobalization, and put some significant limits on the power of international institutions. The new order, according to this perspective, would look something like the Western order during the Cold War, although it would be global and liberal, not bounded and realist. This solution is not feasible, however, because the unipolar moment is over, which means there is no chance of maintaining any kind of liberal international order for the foreseeable future. (John J. Mearsheimer, Bound to Fail. The Rise and Fall of the Liberal International Order  2019)


※資本の構造分析とは例えば➡︎資本とは自己増殖する貨幣」を参照。