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2024年9月5日木曜日

軍産複合体なる戦争機械の超SF

 

もはや同じことの繰り返しだな、いくら分析しても「軍産複合体なる戦争機械」は止まらないんだよ

◾️Jeffrey Sachs, in an interview with Tucker Carlson, August 31, 2024.

YouTube: The Looming War With Iran, CIA Coups, and Warning of the Next Financial Crisis

タッカー・カールソン:

ブリンケンが政権や外交政策を運営しているようにきこえます。


ジェフリー・サックス:

さあ誰がブリンケンに何をするように指示しているかなど誰にもわからない。


タッカー:

誰が彼に指示を出していると思いますか?


ジェフリー・サックス:

これは大きな機械だということを理解することが重要だと思う。これは 1 兆ドル以上の機械であり、米国の軍産システムだ。とても深いところに軌道が設置されている。戦略があり、その戦略は新大統領が就任しても変わらない。彼らはそれについて発言権があると思っているかもしれないがが、実際はそんなものはほとんどない。


TC: It sounds like Blinken is running the administration or its foreign policy.


JEFFREY SACHS:

Well, who knows who tells Blinken what to do?


TC: Who do you think tells him what to do?


JS: I think it’s important to understand that this is a big machine. It’s a trillion-dollar-plus machine―the military-industrial system of the United States. It gets set in course in a pretty deep way. There’s a strategy, and that strategy doesn’t change when a new president takes office. They may think they have some say about it, but they don't have very much say.



このジェフリー・サックスも次の繰り返しだ。



◼️ジェフリー・サックス、イラクからウクライナまで、超党派の戦争支援が米国の債務危機を助長している 2023年5月24日

Jeffrey Sachs: Bipartisan Support of War, from Iraq to Ukraine, Is Helping Fuel U.S. Debt Crisis MAY 24, 2023

ウクライナに関して言えば、NATOをウクライナまで拡大しようという軍産複合体による圧力が続けば戦争になると、私たちは知っていたし、外交官たちも警告していた。しかし、そのことをアメリカ国民に伝えることはなかった。説明もしなかった。そして今日に至るまで、彼らはこの戦争が本当は何なのかを説明していない。


リビアについて考えてみよう。またしても嘘だ。説明もない。国連安全保障理事会違反だ。シリアについて考えてみよう。シリアの取り組み全体が米国の嘘であっただけでなく、オバマ大統領がCIAに命じてシリア政府を転覆させた作戦であったことすら、アメリカ国民には説明されていない。それは失敗したが、非常に高価で破壊的だった。


つまり、これらは選択の戦争であり、嘘の戦争なのだ。軍産複合体が後押ししている。両党のネオコンたちによって推進されている。ウクライナだけでなく、今度は中国との戦争だ。想像を絶する。世界が終わるかもしれない。しかし、これがワシントンで大人の議論とされるものにおける普通の言説であり、私の考えでは、まったく大人ではない。

When it comes to Ukraine, we knew — our diplomats knew and warned that the continued pressure by the military-industrial complex to expand NATO to Ukraine would provoke war. But they never told the American people that. They never explained it. And 'til this day they haven't explained what this war is really about.

You think about Libya. Again, lies. No explanation. Violation of the U.N. Security Council. You think about Syria. Not only was the whole Syrian effort a lie of the United States, it’s never even been explained to the American people that this was an operation that President Obama ordered the CIA to overthrow the Syrian government. It failed, but it was extremely costly and destructive.

So, these have been wars of choice and wars of lies. They are pushed by the military-industrial complex. They are pushed by neoconservatives in both parties. Now we have new drumbeats of war, not only ― as if Ukraine was not devastating and threatening enough with nuclear annihilation, now we’re talking war with China. Unimaginable. It could end the world. And yet this is normal discourse in what passes for grown-up discussion in Washington, which is not grown-up at all, in my opinion.



ところで、先のタッカー・カールソンインタビューでジェフリー・サックスはあの発言のあと、以前引用したことのあるーー「ほぼすべての学者を含むほとんどの市民が気づいていない事(2023年2月6日))ーー、プーチンのフィガロインタビューの話を出している。







私はすでに3人のアメリカ大統領と接してきた。大統領は入れ替わるが、政治はいつも同じだ。なぜか? 官僚機構が強大だから。大統領が選ばれたとき、彼らは何かアイデアを持っているかもしれない。そして、ブリーフケースを持った人たちが、身だしなみよく、私と同じようなダークスーツを着てやってくる。赤いネクタイを除いてだが、彼らは黒か濃紺のものを好むようだから。この人たちは、物事がどのように行われるかを説明し始める。すると、たちまちすべてが変わってしまう。これは、どの政権でも起こることだ。(プーチンインタビュー、フィガロ 2017/05/29

I have already spoken to three US Presidents. They come and go, but politics stay the same at all times. Do you know why? Because of the powerful bureaucracy. When a person is elected, they may have some ideas. Then people with briefcases arrive, well dressed, wearing dark suits, just like mine, except for the red tie, since they wear black or dark blue ones. These people start explaining how things are done. And instantly, everything changes. This is what happens with every administration. Vladimir Putin's interview with Le Figaro. recorded on May 29 2017



結局、軍産複合体なる戦争機械は、マルクスの G -W - G '(G + ⊿ G)ーー、G(貨幣) - W(商品) - G '(貨幣G+剰余価値⊿ G )ーーなる資本の欲動機械(資本の駆り立てる力)であり、ここから逃れない限り、誰が米ボスやっても同じだということだ。




こうやってクルクル回転してんだよ、ルーレットみたいに。ボスの人格関係なしにね。



危機は、主人の言説ではなく、資本の言説である。それは、主人の言説の代替であり、今、開かれている [la crise, non pas du discours du maître, mais du discours capitaliste, qui en est le substitut, est ouverte.  ]〔・・・〕

資本の言説…それはルーレットのように作用する。こんなにスムースに動くものはない。だが実際はあまりにはやく動く。自分自身を消費する。とても巧みに、自らを貪り喰う [le discours capitaliste… ça marche comme sur des roulettes, ça ne peut pas marcher mieux, mais justement ça marche trop vite, ça se consomme, ça se consomme si bien que ça se consume.]

さあ、あなた方はその上に乗った…資本の言説の掌の上に…[vous êtes embarqués… vous êtes embarqués…](Lacan, Conférence à l'université de Milan, le 12 mai 1972)



ドゥルーズ &ガタリは既に1980年時点で、この戦争機械はSFだと言っているぐらいで、いまなら超SFの審級に突入してもはや呆れ果てて笑って眺めるほかないよ。


問題は、戦争機械がいかに戦争を現実化するかということよりも、国家装置がいかに戦争を所有(盗用)するかということである [La question est donc moins celle de la réalisation de la guerre que de l'appropriation de la machine de guerre. C'est en même temps que l'appareil d'Etat s’approprie la machine de guerre]〔・・・〕


国家戦争を総力戦にする要因は資本主義と密接に関係している「les facteurs qui font de la guerre d'Etat une guerre totale sont étroitement liés au capitalisme ]。

現在の状況は絶望的である。世界的規模の戦争機械がまるでSFのようにますます強力に構成されている[Sans doute la situation actuelle est-elle désespérante. On a vu la machine de guerre mondiale se constituer de plus en plus fort, comme dans un récit de science-fiction ;](ドゥルーズ &ガタリ『千のプラトー』「遊牧論あるいは戦争機械』1980年)



でも笑っていると世界は終わっちまうんだよ、


ああ実に不幸な1990年だったな、ほとんどの人はマルクスは終わったと思い込んでしまって。


マルクスは間違っていたなどという主張を耳にする時、私には人が何を言いたいのか理解できない。マルクスは終わったなどと聞く時はなおさらだ。現在急を要する仕事は、世界市場とは何なのか、その変化は何なのかを分析することである。そのためにはマルクスにもう一度立ち返らなければならない。

Je ne comprends pas ce que les gens veulent dire quand ils prétendent que Marx s'est trompé. Et encore moins quand on dit que Marx est mort. Il y a des tâches urgentes aujourd'hui: il nous faut analyser ce qu'est le marché mondial, quelles sont ses transformations. Et pour ça, il faut passer par Marx:(ドゥルーズ「思い出すこと」死の2年前のインタビュー、1993年



似非へーゲリアン、フランシス・フクヤマのたぐいを真顔で信じ込む経済音痴が国際政治を語るようになっちまったからな。



第二次大戦後の世界は全体として、アメリカのヘゲモニーの下で“自由主義”的であったといえる。それは一九世紀半ば、世界経済がイギリスのヘゲモニー下で“自由主義”的であった時期に似ている。しかし、このような世界体制は、一九七〇年代になって揺らぎ始めた。一つには、敗戦国であったドイツや日本の経済的発展とともに、アメリカの圧倒的ヘゲモニーが失われたからである。


しかし、一般に注目されたのは、一九九一年にソ連邦が崩壊し、それとともに、「第二世界」としての社会主義圏が消滅するにいたったことのほうである。このことは、「歴史の終焉」(フランシス・フクヤマ)として騒がれた。愚かしい議論である。このような出来事はむしろ、「歴史の反復」を示すものであったからだ。


そのことを端的に示すのは、一九八〇年代に、それまで「第一世界」を統率し保護する超大国とし“自由主義”を維持してきた米国が、それを放棄し“新自由主義”を唱え始めたことである。つまり、ソ連の「終焉」より前に、資本主義経済のヘゲモンとしての米国の「終焉」が生じたのだ。それは、一九世紀後半にイギリスが産業資本の独占的地位を失い、それまでの“自由主義” を放棄したこと、 すなわち、 “帝国主義”に転化したことと類似する。 (柄谷行人『力と交換様式』2022年)