クリス・ヘッジズChris Hedges@ChrisLynnHedges 2025/07/15 |
ガザにおける予測AI戦争の役割はカタストロフィ的であり、ビッグテックと安全保障国家が構築した大規模デジタル監視システムが、ついに標的を絞った暗殺と大量殺戮に使われるようになったことを示す完璧なショーケースである。 |
The role of predictive AI warfare in Gaza has been catastrophic, and is a perfect showcase of the mass digital surveillance system that Big Tech and the security state have built finally being used for targeted assassinations and mass slaughter. |
折に触れて言ってきたが、人工知能兵器の発展で、とんでもない世界に着々と足を踏み入れているこの今だ。クリス・ヘッジズも特にイスラエル軍に関して繰り返しいるがね。
◼️クリス・ヘッジズ「ジェノサイドから利益を得る」2025年7月3日 Profiting From Genocide, Chris Hedges@ChrisLynnHedges 2025/07/03 |
戦争はビジネスだ。ジェノサイドもまたビジネスだ。パレスチナ占領地問題特別報告者フランチェスカ・アルバネーゼが提出した最新報告書には、パランティア・テクノロジーズ、ロッキード・マーティン、アルファベット社、アマゾン、インターナショナル・ビジネス・マシン・コーポレーション(IBM)、キャタピラー社、マイクロソフト、マサチューセッツ工科大学(MIT)など48の企業・団体に加え、ブラックロックなどの銀行・金融機関、保険会社、不動産会社、慈善団体が、国際法に違反してパレスチナ人の占領とジェノサイドから数十億ドルもの利益を得ていると記載されている。〔・・・〕 報告書は、イスラエル軍が「『ラベンダー』『ゴスペル』『ダディはどこ?』といった人工知能システムを開発し、データ処理と標的リストの作成を可能にし、現代の戦争を変革し、人工知能の軍民両用性を浮き彫りにしている」と指摘している。 イスラエルと長年にわたる関係を持つパランティア・テクノロジー社が、「自動予測型警察技術、軍事ソフトウェアの迅速かつ大規模な構築・展開のための中核防衛インフラ、そして戦場データをリアルタイムで統合し自動意思決定を可能にする人工知能プラットフォームを提供してきた」と信じる「合理的な根拠」があると報告書は述べている。 |
War is a business. So is genocide. The latest report submitted by Francesca Albanese, Special Rapporteur on the Occupied Palestinian Territories, lists 48 corporations and institutions, including Palantir Technologies Inc., Lockheed Martin, Alphabet Inc., Amazon, International Business Machine Corporation (IBM), Caterpillar Inc., Microsoft Corporation and Massachusetts Institue of Technology (MIT), along with banks and financial firms such as Blackrock, insurers, real estate firms and charities, which in violation of international law are making billions from the occupation and the genocide of Palestinians.(…) The Israeli military, the report points out, “has developed artificial intelligence systems such as‘Lavender,’ ‘Gospel’ and ‘Where’s Daddy?’ to process data and generate lists of targets, reshaping modern warfare and illustrating the dual-use nature of artificial intelligence.” There are “reasonable grounds,” the report reads, to believe that Palantir Technology Inc., which has a long relationship with Israel, “has provided automatic predictive policing technology, core defence infrastructure for rapid and scaled-up construction and deployment of military software, and its Artificial Intelligence Platform, which allows real-time battlefield data integration for automated decision-making.” |
◼️クリス・ヘッジズ「イスラエルがガザの屠殺場を再開」2023年12月2日 Israel Reopens the Gaza Slaughterhouse, by @ChrisLynnHedges open.substack.com/pub/chrishedge… |
イスラエルの攻撃は目まぐるしい勢いで行われており、その多くはハブソラ(福音)と呼ばれるシステムによって行われている。このシステムは人工知能(AI)を基盤としており、1日に100の標的を選定する。イスラエルのウェブサイト「+972 Magazine」と「Local Call」では、このAIシステムは「大量暗殺工場」の支援を行っていると説明されている。イスラエルは、例えば携帯電話からハマス工作員と推定される人物の居場所を特定すると、標的周辺の広範囲に爆撃や砲弾を投下し、数十人、時には数百人の死傷者を出している。イスラエルは、弾頭のないロケット弾を建物の屋上に着弾させて屋内の住民に避難を警告するルーフノッキング戦術を放棄した。また、攻撃の差し迫った状況を電話で警告することも停止した。現在、アパートや住宅街に住む数十世帯が予告なしに殺害されている。 |
Israeli strikes are generated at a dizzying rate, many of them from a system called Habsora (the Gospel) which is built on artificial intelligence that selects 100 targets a day. The AI system is described on the Israeli sites +972 Magazine and Local Call, as facilitating “a mass assassination factory.” Israel, once it locates what it assumes to be a Hamas operative from a cell phone, for example, bombs and shells a wide area around the target, killing and wounding dozens, sometimes hundreds of people. Israel has abandoned its tactic of roof knocking, where a rocket without a warhead lands on top of a building, to warn those inside to evacuate. It has also ended its phone calls warning of an impending attack. Now, dozens of families in an apartment block or a neighborhood are killed without notice. |
人工知能兵器は「戦争における第三の革命ーーまず火薬。次に核兵器。そして人工知能兵器」と言われるぐらいで(The Third Revolution in Warfare First there was gunpowder. Then nuclear weapons. Next: artificially intelligent weapons. By Kai-Fu Lee SEPTEMBER 11, 2021)、戦争の戦略・戦術は急激に変貌しつつあるのは紛いようもない。 フロイトのいう皆殺しがいっそう容易になった2020年代の革命ーー以前から暗々裏にあったのだろうが、2020年代になって特に顕著になった革命ーーだよ。 |
私の見るところ、人類の宿命的課題は、人間の攻撃欲動ならびに自己破壊欲動による共同生活の妨害を文化の発展によって抑えうるか、またどの程度まで抑えうるかだと思われる。この点、現代という時代こそは特別興味のある時代であろう。 いまや人類は、自然力の征服の点で大きな進歩をとげ、自然力の助けを借りればたがいに最後の一人まで殺し合うことが容易である。現代人の焦燥・不幸・不安のかなりの部分は、われわれがこのことを知っていることから生じている。 |
Die Schicksalsfrage der Menschenart scheint mir zu sein, ob und in welchem Maße es ihrer Kulturentwicklung gelingen wird, der Störung des Zusammenlebens durch den menschlichen Aggressions- und Selbstvernichtungstrieb Herr zu werden. In diesem Bezug verdient vielleicht gerade die gegenwärtige Zeit ein besonderes Interesse. Die Menschen haben es jetzt in der Beherrschung der Naturkräfte so weit gebracht, daß sie es mit deren Hilfe leicht haben, einander bis auf den letzten Mann auszurotten. Sie wissen das, daher ein gut Stück ihrer gegenwärtigen Unruhe, ihres Unglücks, ihrer Angststimmung. |
(フロイト『文化の中の居心地の悪さ』第8章、1930年) |
どうなるのかね、近未来は。生物兵器のたぐいもいっそう開発されるだろうし。
いずれにせよ科学は発展し過ぎたのだよ、ーー《科学はとりわけ死の欲動と結びついている[La science est liée à ce qu'on appelle spécialement pulsion de mort]》(ラカン、S25, 20 Décembre 1977)
ラブレーはこう書いている、《良心なき科学は魂の墓場にほかならない》と。まさにその通り。坊主の説教なら、昨今の科学は魂の荒廃をもたらしているとの警告になるが、周知の通り、この時世では魂は存在しない。事実、昨今の科学は魂を地に堕としてしまった 。〔・・・〕魂以外に人間は存在しないのにもかかわらず。 |
ce qu'a écrit RABELAIS… « Science sans conscience - a-t-il dit - n'est que ruine de l'âme ». Eh ben, c'est vrai. C'est à prendre seulement, non pas comme les curés le prennent, à savoir que ça fait des ravages, dans cette âme qui comme chacun sait n'existe pas, mais ça fout l'âme par terre ! …il n'y a pas plus de monde que d'âme(Lacan, S21, 19 Février 1974) |
……………
※附記 なおラブレーの良心[ conscience]とは「意識」である。 |
良心なき科学は魂の墓場にほかならない[ Science sans conscience n'est que ruine de l'âme] (ラブレー『ガルガンチュアとパンタグリュエル』) |
中井久夫は「良心」について次のように注釈している。 |
||
フランス語でもスペイン語でもイタリア語でも、「良心」という言葉と「意識」という言葉とは同じである。日本人はちょっと当惑する。 これはラテン語の conscientia(コンスキエンティア)にさかのぼる。それが各国語に語形変化しただけのことである。聖ヒエロニスムが聖書をラテン語に訳したとき、ギリシャ語の syneidesis(シュネイデーシス)の訳に使ったのである。このギリシャ語は、もともとは「共に知ること」という言葉で、「他人(の傷みなど)を知ること」を指し、次に自己認識をも指した。キリスト教に入って初めて超越的なものとの関係の意味になって、「神に知られるもの」という意味で「良心」と「意識」とが同じ言葉で表されるようになった。「良心」と「自己認識」はひとつである。だから、「無意識」が自分の行動を決定しているというフロイト派精神分析の考えに、西欧の人が大変な抵抗を覚えるのだと私は思う。「自分が知らない自分の内なるもの、すなわち神に自分の責任をもってみせられないもの」に動かされているなんて、とんでもないことである。それは内なる「悪魔」ではないか。 |
||
ドイツ語の意識は「ゲヴィッセン」といって「知っていることの総体」である。ルターが聖書をドイツ語に訳するときに「シュネイデーシス」につけた訳である。意味からは「意識」に近いようであるけれども「良心」を指す。「自分が知っていることの総体」は、神との関係において初めて「良心」の意味をもつことができる。我々なら、だれも見ていなくても「天知る、地知る、己知る」ということが一番近そうである。 なるほど、英語では「良心」 conscienceと「意識」consciousness とを区別するけれど、前者がフランス語同様、元来は双方を指していたのであり、後者は学術用語として一七世紀に生まれた、ずっと遅い言葉である。「良心」と「意識」の分離はどうもプロテスタンディズムの成立と深い関係がありそうである。 |
||
「意識」と「良心」とはいまでもフランスやスペインやイタリアでは、強いて区別するときには「心理的」「道徳的」と形容詞をつける。そういう近さは、日本語からは見えてこない。「意識」は漢語であるけれども、大乗仏教の翻訳によく使われた言葉である。 日本語の「良心」という言葉は、元来は『孟子』に出てくる言葉である。キリスト教は人間を罪深い存在とするから、孟子の性善説とは本来非常に違うものであるけれども、井上哲次郎という、明治初期にたくさんの哲学用語を日本語に訳した人が、ドイツ語の Gewisswen を訳すときに『孟子』から引っ張ってきたという。聖書の日本語訳のほうが先かもしれないが、私にはそこまで調べられない。 このように、西欧の「良心」は神と向かい合う自己意識である。神の姿が遠くなった近代西欧において、意識は「自己意識」を指すものになった。ここで、近代哲学においてもっともやっかいな問題の一つ、「他者問題」すなわち「他者認識が可能か」という問題が出てきた。「神のごとき自己が認識する自己等価物」という意味では他者は認識できないと私は思う。ベルギーのルーヴァン大学を中心とする新トマス主義のカトリック哲学は、「自己」を「他者からの贈り物」とするそうだが、この考えは、私にはどこか真実さが感じられる。 |
||
逆にキリスト教以前にさかのぼれば、コンスキエンティアもシュネイデーシスも「他人(の痛み)を知ること」であった。オクスフォード・ギリシャ語・英語大辞典の最初の例は産婆が(産婦の)痛みを共に感じることに関するものである。だから、だぶん、そんなに高尚なことでなくてよいのだろう。私は、人がけがをした瞬間、「あ、痛っ」と叫んでしまうことが何度かあった。こういうのもシュネイデーシスなのだろう。だとすれば、神を介する以前の古代ギリシャ・ローマの倫理的基礎は惻隠の情とそんなに遠くない。(中井久夫「ボランティアとは何か」初出1998年『時のしずく』所収) |
||
この注釈に準拠して、ラブレーの《良心なき科学は魂の墓場にほかならない》の「良心」に「他人の痛みを知ること」を代入、そして「魂」に「人間」を代入して、「他人の痛みを知ることなき科学は人間の墓場にほかならない」としておこう。つまりは科学の言説の時代は惻隠の情なき時代である。 ところで、エビデンス至上主義の時代は、他人の痛みを知ることなき科学の言説の時代であることにお気づきであろうか➡︎「エビデンスはプロパガンダである」
|