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2025年8月31日日曜日

トランプによるジェノサイドの絶対的な常態化は、西側文明全体を共犯者にしてしまった

 

上海協力機構(SCO)ーー事実上のBRICSのイデオロギー部門ーーは西側を排除しつつ当面は団結しているようだ。


敵がいるので団結するのであって、敵がいなくなったら少なくとも経済的には
玉石混淆であり、いまだ指針が明瞭化されておらず紛糾が心配される、というのが何人かの経済学者ーーとくにマイケル・ハドソンーーの見立てだが。


ところでペペ・エスコバルがアラステア・クルックのYouTube動画に準拠しつつ面白い事を言ってる。


◼️ペペ・エスコバル「神話のトランプ:付け火のナルキッソス」2025年8月27日

Mythic Trump: the incendiary Narcissus, Pepe Escobar August 27, 2025

ーー神話的ナルキッソスは、プールに映る自分の姿を見つめながら、気分次第でいつでもキエフによるモスクワとサンクトペテルブルクへの長距離ミサイル攻撃を承認するかもしれない。 

Mythic Narcissus, depending on his mood while facing his reflection in the pool, may at any moment authorize Kiev hits on Moscow and St. Petersburg with long-range missiles.

アラステア・クルックによる、神話を地政学の文脈で捉えたトランプに関する注目すべき分析は、私たちに多くの考察を促した。トランプが世界的に「言論を支配する並外れた能力」と「人々を意のままに操る」能力、ひいては地政学的なチェス盤に大混乱を引き起こす能力から逃れることはできない。

アラステアは、トランプがいかに巧みに「神話的イメージ」 ― 実際には粗雑な原型 ― を用いて、常に彼自身の(強調は筆者)物語を印象づけているかを強調している。唯一の物語である。


しかし、トランプはアポロン的なプーチンと比べると、純粋にディオニュソス的とは言えない。むしろ、(自ら作り上げたプールで)溺れたナルキッソスのような存在だ。そしてポップ・アイコン論で言えば、彼は決して「ソウルのゴッドファーザー」ジェームス・ブラウンではない。むしろヴィレッジ・ピープル――彼ら自体がパロディだった存在――に近い。

Alastair Crooke’s remarkable analysis of Trump in the context of myth as geopolitics has left us with much to ponder. There’s no escape from Trump’s “extraordinary ability to dominate the discourse”, globally, as well as his capacity for “bending people to his will” – and thus wreak havoc on the geopolitical chessboard.

Alastair stresses how Trump is skillfully “using mythic imagery” – actually crude archetypes – to always impress his (italics mine) narrative. The only narrative.


Yet Trump may not be straight-up Dionysian, compared to Apollonian Putin; he’s more like a Narcissus Drowned (in a pool of his own making). And when it comes to pop iconography, he’s certainly not The Godfather of Soul James Brown; more like the Village People – which were themselves a parody.


トランプという自作自演の神話で最も気がかりなのは、西アジアの死のカルトが彼の想像力をどれほど支配しているかということだ。トランプによるジェノサイドの絶対的な常態化は、西側文明全体を共犯者にしてしまった。アラスターは再び、トーラーによって目覚めさせられた「ガザの血への渇望」が「メシア的で過激なシオニズム」を「野蛮」へと突き動かしていると警告する。まさに今、私たちはそこにいる。残忍で非寛容な神、ヤハウェによって「殺害許可証」を与えられているのだ。


トランプが恐れることなく踏み込む神話の領域の遥か下で、欧州政治「エリート」を装う悪党どもが別の神話を創り上げた。プーチンを「食べる必要のある人食い人種」(著作権:Le Petit Roi)と位置づけるのだ。彼は「戸口に立つ獣」であり、ロシアは反欧州・反西欧の存亡的脅威として描かれる。プーチンとロシアはアンクリストへと変貌したのだ。

The most disturbing aspect of Trump the Self-Made Myth is what grip that death cult in West Asia holds over his imagination. Trump’s absolute normalization of genocide has made the whole – Wild – West civilization complicit. Alastair once again reminds us that “the bloodlust in Gaza”, awakened by the Torah, is driving “messianic, extreme Zionism” all the way “to barbarism”. That’s where we are now – with a License to Kill provided by a vicious, intolerant God: Yahweh.

Way below the mythical spheres where Trump does not fear to tread, rascals posing as the European political “elite” have created another myth: Putin as a “cannibal needing to eat” (copyright Le Petit Roi). He’s “The Beast at the Door”, with Russia framed as anti-Europe and anti-West, an existential threat: Putin and Russia morphed as The Anti-Christ.

(以下、略)



プーチンのアポロンに対して、トランプがディオニソスあるいはナルキッソスかはいざ知らず、《トランプによるジェノサイドの絶対的な常態化は、西側文明全体を共犯者にしてしまった》のは紛いようがない。日本もその西側文明の一員である。「脱米入BRICS」の動きはいまだ見えてこない。むしろ対中露の米国前哨基地になりつつあり、ここに現在の日本外交の最大の不幸がある。何よりもまず日本はジェノサイド共犯国家なのだ。


なぜ脱米入BRICSができないのだろうか。マルウェアの噂はホントなのかね。


オリバー・ストーン監督の映画「スノーデン」の中で、米国によって、送電網やダム、病院などの社会インフラに不正プログラムが仕込まれ、もし日本が同盟国でなくなったら不正プログラムが起動し、日本は壊滅するとスノーデンが証言するシーンがあります。


私は、アメリカはそういうことをする国だと思います。いや、そういうことを考えて実行する人達が存在する国だということです。このような最悪の事態も想定しなければなりません。(山岡鉄秀「賛否両論 岸田しゃもじ外交‐日本人が知っておくべき事実」2023/03/27


YouTube:米国の同盟国をやめた瞬間に、CIAのマルウェアが日本中のインフラを崩壊させる!?スノーデン証言の真偽は⁉︎ーー映画『スノーデン』のオリバー・ストーン監督に岩上安身が直撃質問! 2017.1.18


………………



※附記

アポロン/ディオニュソスは、私はサドとニーチェの信奉者カミール・パーリアの定義が好きなんだがな。

西欧文明が達してきたものは、よきにしろわるきにせよ、アポロン的である。アポロンの強敵たるディオニュソスは冥界の支配者であり、その掟は生殖力ある女性性である。ディオニュソス的なものは流動的自然、不吉な沼沢地あり、その原型は沈黙した子宮の海である。

western achievement are, for better or worse, largely Apollonian. Apollo’s great opponent Dionysus is ruler of the chthonian whose law is procreative femaleness. As we shall see, the Dionysian is liquid nature, a miasmic swamp whose prototype is the still pond of the womb. 

(カミール・パーリア『性のペルソナ』1990年)