このブログを検索

2025年9月30日火曜日

タロウは終わってるんだろうか? いや起死回生策がある。

 

金融リテラシー調査というものがあるらしい。




ーー統計サンプルの取り方等の詳細は➤「野村アセットマネジメント」(2025年5月)

で、日本人の金融リテラシーはやっぱり終わってんだろうか? OECDの①②の問いの正答率の低さも気になるがね、OECD加盟国全体でもそれなりに終わってんだろうよ。世界はこんなものだ、と思っておいたほうがいい。

とはいえ③「インフレの定義」の日本の正誤率の低さは、やっぱりバラマキ政治に直結するんだろうな。

で、金融リテラシー調査のなかには難問もあるよ、特に⑥債権価格の「金利が上がったら、通常、債権価格も上がる」なんてね。これは少し前、レイワの山本太郎が何もわかっていなかったことが暴露されていたが[参照]、タロウファンはこの⑥の問いには正誤率が限りなく低いのだろうからな。

正解も書かれているから、そのとき拾った米山隆一と池田信夫のツイートを掲げとくよ。





で、ここであらためて問いを提出するが、経済音痴のタロウは終わってるんだろうか?

イヤイヤ彼もいいところはあるよ、トンデモ財政政策以外はね。そこに目を瞑ればオワッテルなんて言ったらシツレイだね。タロウも③のインフレの定義ぐらいはわかってるだろうしな。


ここでタロウファンの方々に是非学んで欲しいのはインフレタックス、つまりインフレ税だね。れいわ政策をマジで取ったら過激なインフレ税が実現するだろうからな。ある意味で起死回生な政策だ。



この池田信夫の言っていることをもっと具体的な事例をあげて言えば次の通り。


インフレ課税というのは、インフレを進める(あるいは放置する)ことによって実質的な債務残高を減らし、あたかも税金を課したかのように債務を処理する施策のことを指す。具体的には以下のようなメカニズムである。


例えばここに1000万円の借金があると仮定する。年収が500万円程度の人にとって1000万円の債務は重い。しかし数年後に物価が4倍になると、給料もそれに伴って2000万円に上昇する(支出も同じように増えるので生活水準は変わらない)。しかし借金の額は、最初に決まった1000万円のままで固定されている。年収が2000万円の人にとって1000万円の借金はそれほど大きな負担ではなく、物価が上がってしまえば、実質的に借金の負担が減ってしまうのだ。


この場合、誰が損をしているのかというと、お金を貸した人である。物価が4倍に上がってしまうと、実質的に貸し付けたお金の価値は4分の1になってしまう。これを政府の借金に応用したのがインフレ課税である。


現在、日本政府は1000兆円ほどの借金を抱えているが、もし物価が2倍になれば、実質的な借金は半額の500兆円になる。この場合には、預金をしている国民が大損しているわけだが、これは国民の預金から課税して借金の穴埋めをしたことと同じになる。実際に税金を取ることなく、課税したことと同じ効果が得られるので、インフレ課税と呼ばれている。(加谷珪一「戦後、焼野原の日本はこうして財政を立て直した 途方もない金額の負債を清算した2つの方法」2016.8.15)



より専門的に言えば、もう10年以上前の論文だが、次の抜粋の最後にインフレタックスとあるもの。



◼️日本の財政破綻のシナリオーー深尾光洋「日本の財政赤字の維持可能性」2012年、PDF

(1)選挙民を恐れる政治家が増税を先延ばし続けて政府の累積赤字が拡大する。この結果、金利上昇による利払い負担増加のリスクが蓄積されていく。


(2) 日本の金融資産の大部分を保有する 50 歳以上の高齢者層も、 政府に対する信頼を徐々になくし、円から不動産、株式、外貨、金等に資金を移動し始める。


(3)長期国債価格が下落し、長期金利が上昇を始める。


(4)新規発行や借り換え国債の利払い負担増加に直面した政府が、発行国債の満期構成を短縮し、主に短期国債で赤字をファイナンスするようになる。日銀がゼロ金利政策を続けている間は、 政府の利払い負担は増加せず、 財政破綻を先延ばしできる。 しかし同時に、国債の満期構成の短期化は、将来の短期金利の上昇で、政府の利払いが急増するリスクを増大させる。

(5)政府の財政悪化に伴い、上記(2)の資金シフトが加速する。特に高齢化に伴う貯蓄率の低下や財政赤字の拡大によって経常収支が赤字化すると、大幅な円安になるリスクが高まる。実際に円安、株高が発生すれば、景気にはプラスとなりバブル的な景気回復を達成する可能性もある。そうなればインフレ率も上昇し始める。景気回復は税収を増大させ、財政赤字を減少させる。この時点で大幅な増税と赤字の削減が出来れば、財政破綻は避けられる可能性がある。


=>この場合、政府はタイミングの良い増税で健全化を達成できる。


しかし政府が増税に躊躇すると、以下のシナリオに突入する。


(6)日銀はインフレ率の上昇に対して金利引き上げによる金融引き締めを行うが、これで政府の利払いが爆発的に増大し、政府の信用が急激に低下する。


(7)政府が日銀の金融政策に介入して、低金利を強制したり、国債の買い取りを強制したりすれば、インフレがさらに加速し、国債価格は暴落する。


(8)金利の急激な上昇で長期国債を大量に保有する銀行が、巨額の損失を被り、政府に資金援助を要請する。

(9)政府が日銀に国債の低利引き受けを強制する場合には、政府は利払い増加による政府債務の急増を避けることが出来る。この場合は、敗戦直後のインフレ期と同様に、政府債務を大幅に引き下げることが可能で、政府は財政バランスの回復に成功する。しかし、所得分配の上では、預金や国債、生命保険、個人年金などの金融資産を保有する人々が、その実質価値の喪失で巨額の損失を被る。


=>この場合、政府はインフレタックスにより財政を健全化できる。しかし金融資産の実質価値の大幅低下により、生活資金に困る多数の人々を生み出す。



深尾光洋氏の実に論理的なシナリオだが、現在は(6)から(7)へと徐々に移行中だろうな(むかしの論なので細部にいくらかの異同はあるが)。


最近では、一橋大学名誉教授《齊藤誠[2023]は、ハイパーインフレ(激性インフレ)により敗戦国と同じ方法で国債費の重圧を大幅に軽減しようという処方箋を提案している 》そうだよ[参照]。私の知る限りで齊藤誠さんはひどく穏健で誠実な方なのだが、どうやら吹っ切れたようだね。


どうだい、金融リテラシーの低さなんて気にしなくてもいいよ、でもタロウファンの方々はせめてこの程度はかすかにでも知っておいて彼を応援し続けた方がいいぜ。


最後にふたたびイヤミなノリピーのツイートを掲げておこう。



目の前のことしか考えられない金融低脳でも起死回生に貢献できるんだ、タロウファン万世!!