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2025年12月4日木曜日

高市早苗が首相になってホントによかったこと

 


トランプが大統領になってホントによかったことがあるなら、高市早苗が首相になってホントによかったこともあるよ。今までオブラートに包まれて一般には明瞭でなかったのかもしれない日本の軍国主義の復活、そして経済面での債務危機が赤裸々になってさ。いわば快哉だよ。


原子力事故に関して清水修二さんのとっても印象的な発言があったがね。


原発批判を口にしている私自身の心理の奥底に、原子力事故の到来を歓迎する危険な心理が潜んでいることを、私は正直に告白します。平生から〈きっと事故が起こる〉と警告している者にとっては、事故の発生はアタリですから〈それみたことか〉と快哉を叫びたくなる気持ちは抑えがたいものがあります。きわめて不道徳なことであることは百も承知でありつつも、危篤状態の大内さん〔臨界被曝したJCOの職員 〕の容態が持ち直すことを望まない心理すら、私自身の内部で頭をもたげることがなかったとはいえない。自分の手落ちで人が瀕死におちいればワラにもすがる思いで回復を神に祈るにちがいありませんが、自分自身に落ち度がなく〈向こう側〉の失策であるという事情が、つい良心を鈍らせます。これは俗人の業のようなものかもしれません。(清水修二『臨界被曝の衝撃』、2000年)



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◼️ジェフリー・サックスの警告「日本軍国主義の復活」CGTN 2025年11月28日

Jeffrey Sachs warns: Japan militarism back, CGTN 2025/11/28

それ(高市発言)は日中間の緊張を著しく高めた。そして、率直に言って、日本はもっと慎重になるべきだ。日本は1894年から1945年までの期間中、中国を侵略し続けた。私の見解では、この事実は非常に基本的な基準だ。つまり日本は対中問題において慎み深く、慎重に、平和を指向すべきだ。日本の新しい首相は誤った一歩を踏み出した。同様の過ちを繰り返さないことを希望する。

It (Takaichi's remarks) did escalate tensions tremendously between China and Japan, and in general, honestly, Japan should be a lot more careful. It was not China that invaded Japan repeatedly between 1894 and 1945. It was Japan that invaded China repeatedly. Japan should be careful, measured, prudent, and peace-oriented vis-à-vis China, so it just seems to me as a very basic measure. Japan should be careful, measured, prudent, and peace-oriented vis-à-vis China.And I think the new prime minister of Japan got off on the wrong foot, and I hope that it was a mistake that won't be repeated.

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日本は過去10年間において、平和主義をそれほど堅持しなくなり、むしろ軍事志向を強めてきた。軍事費を増加させ、より強硬な態度の発言を行うようになった。私の見るところ、これらはすべて日本自身の利益に反する。

過去10年間で緊張が高まったことは疑いようがなく、第二次世界大戦後の日本の平和主義は多くの点で過去のものとなった。日本が露骨に軍国主義的になっているわけではないにしろ、軍事志向が強まっていると言える。軍事費の増加、緊張の高まり、そして高市首相の発言は、彼女が代表する与党の強硬派の主張と一致している。

When it comes to Japan, it is the fact that over the last 10 years, Japan has become less pacifist,  more militaryoriented. It is raising its military spending. It talks in a more hawkish way. None of which to my mind makes sense for Japan's interests.

No doubt the tensions have risen in the last 10 years and Japan's pacifism after World War II is in many ways a thing of the past. It's not that Japan is flagrantly militaristic, but it is becoming more militaryoriented. Rising military spending, rising tensions, and the statement that Prime Minister Takaichi made is consistent with the the hardline faction of her party that she represents.














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※附記

先の清水修二さんの発言はいくらか言い過ぎなところもないではないが、あれが人間というものだよ。ほとんどの人がやってることだね。


私の身辺にある人間がいる。私はその人を憎んでいる。だからその人が何かの不幸にもで遭えば、私の中には烈しい喜びの衝動が動く[in mir eine lebhafte Regung zustande kommt, mich zu freuen, wenn ihr etwas widerfährt]。ところが私の徳義心は、私自身のそういう衝動を肯定しようとしない。私はあえて呪いの願望を外に出すことをしかねている。


さて偶然その人の身の上に何か悪いことが起こったとき、私はそれに対する私の充足感を抑えつけ、相手を気の毒に思うことを口にも出すし、自分の気持にも強制するであろう。誰にもこんな経験はあるにちがいない。


ところがその当の人間が不正を犯してそれ相当の罰をこうむるというようなことでも起ると、そのときこそ私は、彼が正当にも罰をこうむったことに対する私の充足感を自由に外に出すことができる。そして、彼に対して愛憎を持っていない多くの人々と自分もこの点では同意見だとはっきり口外する。

しかし私の充足感はほかの人たちのそれよりも一段と強いものであることを、私は自分自身のうえに観察しうる。私の充足感は、情念動出を内心の検閲によってそれまでは妨げられていたが、今や事情が一変してもはやそれを妨げられることのなくなった私の憎悪心という源泉からエネルギーの補助を受けているのである。


こういう事情は、反感をいだかれている人物であるとか、世間から好かれていない少数党に属する人間であるとかがなんらかの罪を己が身の上に招くようなときには普通世間でよく見られるところのものである。こういう場合、彼らの受ける罰は彼らの罪に釣り合わないのが普通で、むしろ彼らに対して向けられていたが外に出ることのなかった悪意プラス罪[Verschulden vermehrt um das bisher effektlose Übelwollen]というものに釣り合うのである。


処罰者たちはこの場合明らかに一個の不正を犯す。彼らはしかし自分たちが不正を犯しているということを認め知ることができない。なぜならかれらは、永いこと一所懸命に守ってきた抑制が今こそ排除されて、彼らの心の中には充足感が生まれてきて、そのために眼が眩んでしまっているからである。


こういう場合、情動はその性質からすれば正当なものであるが、その度合からすれば正当なものではない。そして第一の点では安心してしまっている自己批評が、第二の点の検討を無視してしまうのはじつに易々たることなのである。扉がいったん開かれてしまえば、もともと入場を許可しようと思っていた以上の人間がどやどやと入りこんでくるのである。

神経症患者における、情動を湧起せしめうる動因が質的には正常だが量的には異常な結果を生むという神経症的性格の著しい特色は、それがそもそも心理学的に説明されうるかぎりではこのようにして説明されるのである。しかしその量的過剰は、それまでは抑制されて無意識のままにとどまっていた情動源泉に発している。そしてこれらの源泉は現実的動因と連想的結合関係を結びうるものであり、また、その情動表出には、何の要求をも持たないところの、天下御免の情動源泉が望みどおりの途を拓いてくれるのである。


抑制を加える心的検問所と抑制を受ける心的な力とのあいだにはいつも必ずしも相互的妨害の関係が存するばかりではないということにわれわれは気づかされるわけである。抑制する検問所と抑制される検問所とが協同作業をして、相互に強化しあい、その結果ある病的な現象を生じせしめるというようないくつかの場合も同様注目に値する。 (フロイト『夢解釈』第6章H「夢の中の情動」第5節、1900年)