《米国は日中対立を煽っている(The U.S. Instigates Japan-China Conflict)》(Einar Tangen)と言っている人もいるぐらいで、少なくとも高市早苗の発言はたんなる失言ではなく、何ものかに操られての結果だろうよ。
ここでの「米国」というのは、ジェフリー・サックスの云う米国だね、
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◾️ジェフリー・サックス「米国覇権の死は平和をもたらすか、それとも第三次世界大戦をもたらすか?」 Jefferey Sachs: Will the Death of U.S. Hegemony Lead to Peace―Or World War III? in an interview with Mike Billington, May 15, 2024. |
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米国ーー私がこの語で意味するのは、軍産複合体、つまり安全保障機構・情報機関・国防総省・軍需企業、そして議会における彼らの支持者たちからなる少数の権力者たちだが、彼らが考える米国の覇権を維持したいと考えている。〔・・・〕構造的に、米国の安全保障体制は覇権を求めて戦っており、世界大戦を引き起こす可能性がある。 |
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The U.S.—and by that I mean the military-industrial blob or complex, a small number of powerful people from the security establishment, the intelligence agencies, the Pentagon, the military companies, and their supporters in Congress—wants to preserve American hegemony as they see it.[...]Structurally, the U.S. security establishment is fighting for its hegemony and it could end up creating a world war. |
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別名、ディープステートだ➤「トランプはディープステートに支配されている」 |
次の記事は上のEinar Tangenの観点の穏やか版だね
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A “ripple-on” effect following Sanae Takaichi’s remark Vladimir Terehov, December 07, 2025 The scandal triggered by a comment made by Japan’s Prime Minister Sanae Takaichi on November 7, 2025 about the Taiwan issue is still reverberating and shows no sign of dying down. |
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◼️ウラジーミル・テレホフ「高市首相の発言に続く波及効果」 2025年11月7日に日本の高市早苗首相が台湾問題について発した発言が引き金となったスキャンダルは、今なお余波が広がり、収束の兆しを見せていない。 |
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彼女の発言が世界の政治舞台に投げかけた「水面の波紋」は、消えるどころか新たな関係者にまで広がり続けている。 |
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日本の防衛大臣が台湾近海の離島を訪問 |
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NEOは既に高市氏の前回の発言について触れている。北京が台湾問題に軍事的解決を選択する可能性があり、それによって日本に「存亡の危機」をもたらすという主張だ。今や、高市氏の発言が単に経験不足の政治家の不運な失言だったという残された期待も、消え去りつつあるようだ。初の女性首相として、その道のりのまさに始まりに立つ彼女は、理論上、ベテランの男性政治家たちが巧妙に仕掛けた罠にまっすぐはまる可能性があった。例えば、その話題とは無関係な議会イベント中に投げかけられた予期せぬ質問などである。 しかし高市氏は発言を撤回しないばかりか、何らかの「和らげる」説明すら拒んでいる。北京が「説明があれば一件落着」と暗に示唆しているにもかかわらずだ。 高市氏の発言が単なる失言だったという見方は、2週間後に起きた出来事でさらに揺らいだ。小泉進次郎防衛相が、日本の最西端の有人島で台湾東海岸に最も近い与那国島(人口1500人)を訪問したのだ。さらに重要なのは、同氏が「わが国への武力攻撃の可能性を減らすため」として、同島へのミサイル配備計画を発表したことである。 具体的なミサイル種別は明言されなかった。日本は現在、多様な海上・陸上ミサイルシステムを開発中であり、与那国島に配備されれば、中国本土の複数の省が射程圏内に入る可能性がある。中国沿岸までの最短距離は500キロ未満だからだ。中国国防省の反応は、日本のほのめかしに近い脅威に対して予想以上のものだった。 特筆すべきは、二国間関係の悪化がさらに進む前に、日本外務省の特命全権大使による緊急訪中という事態収拾の試みがあったことだ。しかし結局、それは無駄に終わった。もしこれら二つの動きが東京の「飴と鞭」戦略の試みだとすれば、世界第二位の強国を相手にするには全く不適切な手法である。 |
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深まり広がる危機 |
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高市発言で始まった地域二大国の関係悪化に、現状では逆転の兆しは見えない。南アフリカG20サミットで予定されていた李強首相との会談は実現しなかった。当初2026年1月に予定されていた「日中韓」形式の三カ国首脳会談は、無期限に延期された。これは特に注目すべき点である。というのも、3年間の空白を経て2024年5月に再開されたこの三カ国メカニズムは、長年にわたり「三カ国側」すべてに存在する深刻な問題がついに解決される兆しとして歓迎されていたからだ。 しかし今日、特に観光分野において日中間の人的交流に新たな障害が生じている。また、長年主に中国が購入してきた日本の水産物輸出を巡っても新たな制限が浮上している。 過去2年間、この分野の状況は日中の関係状態を示す確かな指標となってきた。関係改善の兆しが見えた際には、福島第一原発の損傷した原子炉を冷却するために使用された処理水の放出に起因する、日本の海水および水産物の品質に対する中国当局の懸念は薄れていた。現在、中国当局は輸入停止を正当化するため、「不完全な」書類だけでなく、「台湾問題に関する高市氏の発言が中国国民の憤慨と非難を招いた」とも主張している。 |
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中国側の一般市民や専門家の日本に対する言説が急激に硬化していることも見逃せない。彼らは第二次世界大戦から戦後初期までの多様な事実データを活用している。特に注目されているのは、1947年に制定された平和憲法の改正を東京が試みている点だ。この問題に関する論評は概して、反論の余地のない警告で締めくくられる。「戦争を愛する者は滅びる」と。しかし、問題は、再び、そしておそらくは最後となる世界的な大虐殺を引き起こす「彼ら」は、何年も公の場で免責され、生き残ることを期待して行動していることが多いということだ。 現在の米国大統領は、その政治的な特異性や個人的な欠点にもかかわらず、そのようなカテゴリーには属していないようだ。彼は、東アジアの2つの主要大国間の急速にエスカレートする対立に、心から警戒しているように見える。両国の首脳と直接会談してからわずか 1 か月後、ドナルド・トランプは電話をかけることを決めた。一部の報道によると、彼は高市氏との会話の中で日中関係の現状について「懸念」を表明し、「事態の悪化は避けるべきだ」と促したという。それにもかかわらず、この対立は世界政治の舞台で拡大を続けており、すでに国連にも波及している。 この問題は、11月下旬、中国の王毅外相とエマニュエル・ボンヌ仏大統領外交顧問との電話会談、および王毅外相とジョナサン・パウエル英国国家安全保障顧問(中国を訪問中)との会談で表面化した。特に、ボンヌ氏自身はわずか1カ月前に中国を訪問していた。 |
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台湾の反応 |
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台湾は、台湾問題をめぐる大国間の地政学的ゲームにおいて、決して受動的な駒ではないことを改めて強調しておく価値がある。しかし、北京は「台湾問題」はまったく存在しないと主張し、台湾は単に歴史的な事情や「誤解」によって中国の行政管理の外にあるだけだと、おおむねこのように描いている。 とはいえ中国は、台湾の活発な国内政治のあらゆるニュアンスを注視している。同島の主要政治勢力の中では、明らかに野党である国民党(KMT)を支持している。孫文の時代から、その後継者である蒋介石、そして現在の党指導者たちに至るまで、国民党は「一つの中国」原則への順守を宣言してきた。もっとも、それは当然ながら国民党自身の条件に基づくものである。同党は日本との関係構築の必要性を否定していないが、複数の国民党議員と馬英九前総統(2008年から2016年まで在任)は、高市氏の発言に対し慎重な批判を示し、本質的には「我々は本土との関係を自ら処理する」と述べた。 これに対し、民進党の賴清徳(ライ・チンテ)総統をはじめとする台湾現政権の代表者らは、高市氏の発言と前述の日本の防衛計画の双方について、全面的な理解を示している。一方、国民党と連立を組む台湾人民党は、浮上しつつある日中対立における仲介役としての役割を申し出ている。 その今後の展開は、現代の国際政治安定に対する主要な脅威の一つとなっているため、絶えず注視する必要がある。 |
➤「台湾問題で日本が行き過ぎたのは脚本の一部(ダニー・ハイフォン)」という指摘も既に10日ほど前にあったがね。
さらにアンジェロ・ジュリアーノ(Angelo Giuliano)もまさに高市は操り人形と言っていた。
外部から見たら、少なくともこう見えるんだよ。日本国内の表層的な見方に右顧左眄しなかったら。ーー《浅薄な誤解というものは、ひっくり返して言えば浅薄な人間にも出来る理解に他ならないのだから、伝染力も強く、安定性のある誤解で、釈明は先ず覚束ないものと知らねばならぬ。》(小林秀雄「林房雄」)

