蚊居肢日乗 令和弍年四月弍十日 齢六十弍歳
何よりもまず膝のまるみである、この写真にひどく魅了されるのは。
老婆に膝枕をして寝ていた。膝のまるみに覚えがあった。姿は見えなかった。ここと交わって、ここから産まれたか、と軒のあたりから声が降りた。(古井由吉「白い軒」『辻』)
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トカゲの自傷、苦境のなかの尻尾切り。享楽の生垣での欲望の災難 l’automutilation du lézard, sa queue larguée dans la détresse. Mésaventure du désir aux haies de la jouissance(ラカン,E 853)
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プロセルピナを生垣の割目からみる
偉大なたかまるしりをつき出して
接木している
接木の仕方はちょっとちがうが、何よりもまずこの感覚である。女の庭との結婚といってもよい。
野ばらと人間の結婚
この生垣をのぞく
女の庭
ファウスト(娘と踊りつゝ。)
いつか己ゃ見た、好い夢を。
一本林檎の木があった。
むっちり光った実が二つ。
ほしさに登って行って見た。
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美人
そりゃ天国の昔からこなさん方の好な物。
女子に生れて来た甲斐に
わたしの庭にもなっている。
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メフィストフェレス(老婆と。)
いつだかこわい夢を見た。
そこには割れた木があった。
その木に□□□□□□があった。
□□□□けれども気に入った。
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老婆
足に蹄のある方と
踊るは冥加になりまする。
□□がおいやでないならば
□□の用意をなさりませ。
ーーゲーテ「ファウスト」 森鴎外訳
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MEPHISTOPHELES (mit der Alten):
Einst hatt ich einen wüsten Traum
Da sah ich einen gespaltnen Baum,
Der hatt ein ungeheures Loch;
So groß es war, gefiel mir's doch.
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DIE ALTE:
Ich biete meinen besten Gruß
Dem Ritter mit dem Pferdefuß!
Halt Er einen rechten Pfropf bereit,
Wenn Er das große Loch nicht scheut.
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