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2020年8月13日木曜日

男は女に好まれるように努力するしかない

この論文は気合いが入ってるな、実に多くのことを考えさせられるね、ボノボとチンパンジーではなくヒト族のことを。


■ボノボのメスの発情の長期化ーー「霊長類進化の科学」京都大学学術出版会. (2007)、 「ボノボとチンパンジーの性行動」PDF より

ボノボにおける同性間の性行動だけでなく,オスとメスとの交尾も,ボノボの社会構造の特徴と関係がありそうだ。 

ボノボもチンパンジーも,ヒトと同じようにほぼ 1 ヶ月(ボノボで約 35 日,チンパンジーで 37 日)の排卵周期をもつ(図 4) 。排卵と排卵の真ん中あたりに月経があり,この周期に伴うホルモンレベルの変化などは,どちらの種もヒトとほとんど同じだ。 

ボノボもチンパンジーも,メスは排卵日前 2 週間ほど性皮(ヒトでいうと小陰唇の部分)が丸く腫脹する。性皮はピンク色をしていて,個体差はあるものの腫長した状態で顔くらいの大きさがあるので,腫長した性皮は遠くからでもかなり目立つ。この性皮が腫脹している期間(最大性皮腫脹期と呼ぶ) ,メスはオスと交尾を行う。この期間の長さは,ボノボで約 14 日,チンパンジーで約 11 日と,ボノボの方が多少長いが大きな差はなく,いずれも排卵から排卵までの月経周期のうち 3 分の 1 の間発情をしていることになる。一方,精子や卵子の寿命がヒトと同じくらい (精子が約 3 日,卵子が約 1 日)だとすると,この最大腫脹期のうち排卵の起きる直前の 3,4 日以外は, 交尾しても受精しない時期だということになる。つまり,ボノボもチンパンジーも,妊娠可能な期間の 1 週間以上前から交尾をしていることになる。

これはおそらく,チンパンジーやボノボ特有の離合集散の社会構造と関係があるのだろう。雌雄がいつも行動をともにしているとは限らない彼らの社会では,オスがメスの発情に気づいて集まってくるにはある程度の日数が必要になる。排卵時に確実に交尾をしているようにするためには,メスはある程度先立って自分の発情をオスに知らせなくてはならない。つまり,妊娠が可能な期間よりかなり早くからおこる発情は,排卵日にできるだけ確実に妊娠するための宣伝の意味をもった発情なのだ。 

このように 1 回の月経周期においては,ボノボとチンパンジーであまり差がないが,出産から出産までの期間でみると,はっきりとした違いが出てくる。 

チンパンジーの場合,1 回妊娠するとその後 2 周期発情するが,その後発情しなくなる。そして,生まれた子供が離乳するまで発情を再開しない。一方,ボノボのメスは,妊娠しても出産の直前 1 ヶ月くらいまで発情サイクルを継続し,また,出産後約 1 年で発情サイクルを再開する(図 5)。ボノボの場合も,妊娠している間はもちろん排卵しないし,子どもが離乳するまでの期間も排卵が起きてない。つまり,ボノボのメスでは,妊娠してから子どもが離乳するまでの間,排卵していないにも関わらず,発情し交尾をする。 

実際には排卵が起きていない,つまり,「妊娠に結びつかない」時期に発情することにより,ボノボのメスの生涯における発情期の長さはチンパンジーのメスの 7 倍近くになる(図 5,オトナの期間を 25 年とすると,その 27% の 2464 日)。ボノボでは,オスとメスの比率がもともと近いこともあり,集団内のオスに対する発情メスの数はそれほど小さくない。平均的なボノボ集団として,オスが 10 頭メスが 10 頭いるとすると,同時期にメスが 3 ~ 4 頭が発情している計算になる。

複数のメスが同時に発情すると,オスにとって発情メスに対する競争率が低いだけでなく,高順位のオスが発情メスを独占することが難しくなる。そうすると,オスの順位による発情メスへのアクセスの違いがそれほどはっきりしなくなるだろう。 

一方,チンパンジーのメスでは,生涯のかなりの時間を妊娠~子育てに費やし,発情しているのはほんのわずかな時間となる(図 5,4.2%とすると約 383 日)。平均的なチンパンジーの集団としてマハレの例をとり,オスが 10 頭にメスが 35 頭いるとすると,同時期に発情しているメスは平均 1.5 頭ということになる。このわずかな数のメスとの交尾をめぐって,10 頭のオトナのオスがしのぎを削ることになる。その結果,高順位のオスほど優先的に交尾の機会を確保できるようになる。実際,タンザニアのゴンベ国立公園で生まれてきた子どもの DNA を調べて父親を調べた研究では,高順位のオスほど多くの子どもを残している [6] 。 

また,チンパンジーでは,発情というのは排卵を伴う発情サイクルに入っていることに限られるのに対し,ボノボでは,発情メスの大半は妊娠期・授乳期にある排卵を伴わないニセ発情をしているメスになる。つまりボノボのオスにとっては,苦労して発情メスを独占したとしても,得られる利益はかなり小さいことになる。ボノボのオスが順位にそれほどこだわりなく見えるのも,発情メスとの交尾を巡る競争にあまり意味がないからなのかもしれない。 

こうした発情における違いは,オスとメスとの社会関係にも影響しているようだ。チンパンジーでは,オスがメスをめぐって順位を争い,時には高順位オスが発情メスを囲い込んでしまう。 オスたちが命がけでメスをめぐって争う状況では,メス側の好みが入り込む余地はあまりなく,メスは基本的には高順位のオスを受け入れるしかない。高順位のオスの目を盗んで低順位のオスと交尾したり,低順位のオスと駆け落ちしたりといった行動も見られるが,いずれもメスにとって危険な行為である。 

一方,ボノボでは,交尾の最終的な選択権はメスにある。順位に関係なく,多くのオスが自由にメスを交尾に誘えるとなると,メスは誘いかけてくるオスの中から気に入ったオスと交尾をすればよい。 メスが応じなければ交尾は成り立たず,オスたちはメスに好まれるように努力するしかない。ボノボのメスたちが,オスたちに対して優位に行動できるのは,こういった事情による可能性が大きい。




人間のメスは、性皮は腫脹しないにしても(たぶん?)常時ニセ発情してるみたいなものなのかな、それでなければ《ヒトのように年中セックスをしている動物は、他に実験動物のマウスぐらいではないだろうか。》(中井久夫「赤と青と緑とヒト」1997年)なんてありえないからな。

もっともボノボがいくらヒトに近いと言ったって、基本的にはやっぱり種の保存のために、「正しい」相手に対する、時宜にかなった、「正しい」性行動をする本能の動物だろう。他方、ヒトはの保存とは関係なしに時宜かまわず手当たりしだいに性交する「本能の壊れた動物」だ。この奇怪な多形倒錯的特徴の力を、フロイトは「欲動Trieb」あるいは「衝迫Drang 」と呼んだ。

こういった面はあるが、ボノボの特徴の一つとされるオスたちはメスに好まれるように努力するしかない》は、男女平等社会におけるヒト族の宿命じゃないだろうかね。

ヒト族のなかの最近の日本種についてはどうだか知らないが。



 この記事の元データは➡︎「日本成人における異性間性交渉未経験の割合の推移について: 出生動向基本調査の分析, 1987 – 2015年」PDF

ーーオスのほうはどうでもいいが、メスのほうの処女率ってのはボクの感覚からすると信じがたいね。上の表を30歳までで換算しても30パーセント以上が処女となり、どんな統計とってんだろと疑いたくなるね。もしこれが正しかったら人類史上の異変だよ、アアモッタイナイ!

世界は女たちのものに決まってるんだから、遠慮せずにデルタ力でせっせと男たちをたぶらかしたらいいのに。

世界は女たちのものだ Le monde appartient aux femmes、いるのは女たちだけ il n'y a que des femmes、しかも彼女たちはずっと前からそれを知っていて、それを知らないとも言える、彼女たちにはほんとうにそれを知ることなどできはしない、彼女たちはそれを感じ、それを予感する、こいつはそんな風に組織されるのだ。男たちは? あぶく、偽の指導者たち、偽の僧侶たち、似たり寄ったりの思想家たち、虫けらども …一杯食わされた管理者たち …筋骨たくましいのは見かけ倒しで、エネルギーは代用され、委任される …

Le monde appartient aux femmes, il n'y a que des femmes, et depuis toujours elles le savent et elles ne le savent pas, elles ne peuvent pas le savoir vraiment, elles le sentent, elles le pressentent, ça s'organise comme ça. Les hommes? Écume, faux dirigeants, faux prêtres, penseurs approximatifs, insectes... Gestionnaires abusés... Muscles trompeurs, énergie substituée, déléguée...(ソレルス『女たち』鈴木創士訳、原著1983年)